7 授乳
その難は、
同じ
帝壼宮の黄師は
瓊高臼の黄師は
疑心は暗鬼を
本来的な黄師がどちらかと言えば、当然大師長に
帝壼宮側の黄師の残虐性について
「――この八年で、両者間の状況は、更に悪化の一途を
保食はただ黙って
室内は変わらず薄暗い。女二人は、
「本当に――ここまでになるとは、誰も思わなかったのです」
震え声で
そもそも
変えたのである。――他でもない、この
元来、
自然、皆彼に
果たして、保食の読みは当たった。
出産の前後を
彼女の直属の上役は、思いがけぬ大人物であった。
黄師の頂点――大師長
禁軍は皇帝の為の軍。宮廷の黄師もまた、
対する廂軍は、より民に近い存在だ。
反乱分子があるという噂は事実だった。降り積もった不満と、かつての信仰穏やかな時代への回帰願望が、その勢力を拡大させていた。
この問題に帝壼宮側の黄師は動けない。こちらはより
彼女の
反乱分子は、
恐ろしい事だと保食は思う。
保食が最も驚いたのは、月の民は授乳をしないという事だった。
そもそも生物的に
授乳が不要ならば世話は誰にでもできる。
水泥は、赤子の頃から保食の面倒を見ていた事もあり、
状況が変わったのは、一年を過ぎた頃だった。
その寿命の長さと比例すれば、
が、
――かつて保食が脅し文句として彼に聞かせた言葉が大きく影を落としていたのである。
当然水泥にはそんな事をする理由がない。これは
しかし、
『真名』の特性は『
事が起きたのは、
「
その時、丁度室内には
泣きながら
彼が自ら選んだ事だった。
この頃には、捕らえた他の黄師達も、一部はある程度自由に行動できるようにしていた。現在に至っては仙山に加わった者すらいる。八年という月日にはそれだけの長さがあった。
いつかは起きる事だったのかも知れぬ。しかし起きてはならぬ事だった。水泥は彼等の事を常々気に
水泥が
離れにまで戻ると、保食は
真っ直ぐな美しい目が、きらと光る。
「
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