第7夜「まつりの前夜」
そうだよ、おハナ。
ぜーんぶオマエが1人でたいらげてかまわないんだよ、
このおナベ。
ほら、遠慮せずに。いっぱいお食べ。
オモチも、シシ肉も。
それに、この、真っ赤な大きいキノコをなぁ。
うんうん、おいしそうだろ?
よしよし、たっぷりよそってやるからな……。
そうだよ、おハナ。
明日は、オマエの嫁入りだ。
おハナは、村の
神さまのお嫁さんだぞ?
こんなに、めでたいこたぁないだろう!
嬉しいだろ、なあ?
ああ、そうだとも。おっ
オマエが嫁入りすれば、おっ
なに? "くちべらし"、……だと?
……そんな言葉を、どこで覚えてきたんだ?
おおかた、町のあの若い
あのヤブ医者め、オマエに色目を使ってやがったからなぁ。
いいかい、おハナ。"くちべらし"ってのはな。
『花しず
ああ、そうだ。そうだとも。オマエのことだよ、おハナ。
神さまにお嫁入りする、せかいで一番しあわせな娘のことだ。
ああ、いや、……なんでもねぇよ、心配するない。
おまえは本当にやさしい娘だなぁ。
だから、よけいに……、
おっ父は、オマエが誇らしくって……誇らしくって……なぁ。
どうにも涙が止まらねぇんだよ。
よしよし、もっとキノコをよそってやろうな……。
キノコをいっぱい食べたほうが、すぐに気持ちよーく眠れるからなぁ。
よーし、よし。
オマエが眠ったら、真っ白いキレイな
いい匂いのする花をいっぱい飾って、真っ赤な紅もさしてやろうな。
いい夢を見るんだよ。かわいいおハナ……。
オワリ
つれづれ夢七夜 こぼねサワー @kobone_sonar
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
契約不履行/こぼねサワー
★15 エッセイ・ノンフィクション 完結済 1話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます