第10話 member = ["自分","旧メンバー","新人"]


 嵌められた……


 どうやら俺達は完全に主任に嵌められた様だ。

 完っ全に悪意を感じる。


 どうして俺のチームに加古川君じゃ無くて、妹にソックリの冬海ちゃんを入れて来たんだ。目の前に妹の冬美が居るみたいで、仕事に集中が出来ない。


 名前の漢字の後半が違っては居るものの、妹とまるっきし同じ名前なのは変わりない。それにだ、困った事にもう1人丸山さんが居るため、彼女をどうしても下の名前で呼ばなきゃ行けない。もう1人の丸山さんは俺よりも歳上で社会人で先輩、とてもじゃ無いが下の名前でいきなり早苗さんと呼ぶ事なんて出来そうにない。


 加古川君はと言うと、コレも絶対主任はワザと決めたに違い無い。

 さっき休憩室で狂矢と会ったのだが、いつも以上にグッたりしていた。


 優秀なのは良い事何だろうけど、彼の質問が凄いらしい。プログラミングの構成の違いに疑問が湧くと、スグに狂矢に噛み付くのだとか。まあ、他の狂矢のメンバーに詳しいことを聴いたら、噛み付いていたわけではなく、どっちかと言うとしがみつく感じらしい。しかも、瞳をキラキラとさせて尻尾を振っているように皆には見えたのだとか。


 しかも質問の仕方は、Pythonを独特の形式らしく、どんな感じなのかっていうと、プログラミングをやってる奴には馴染があるとは思うが、#を使ってプログラムの中にコメント入れる方式を採用しているのだとか。


 例えば、こんな感じ。

 print("プロジェクト") # 先輩質問が有ります。


 みたいな感じだ。


 大量の質問がコメント内に記述されているらしい。それを1つ1つ狂矢もプログラマー特有の職業病らしく、馬鹿丁寧に全部応えているのだとか。


 うん、俺には冬海ちゃんもインプット君もとてもじゃ無いが、扱えん。


 参った、簡単に人員の交換をする訳には行かない。それにもし出来たとしても何て説明して交代して貰えば良いのかも、上手い言葉が浮かんで来ない。『冬海ちゃんは俺の妹にソックリだから集中出来ないので、他のチームに異動してください』何て事言える訳が無い。しかも理由何て訊かれたら……俺は何て応えれば良いんだ?『俺は実は妹を愛していて、だから目の前にソックリな君が居ると興奮して』いやいや、そんな事言ったら絶対に退かれるに決まってる。しかも冬海ちゃんだけじゃなくって、チーム全員に。


はあ……溜め息が止まらない。



「どうしたんですか? 白川先輩?」


「え? いやっ、何でも無いっす。自分特に問題無いっす」


「そうですか〜〜、なら良いんですけど。ちょっと口調がオカシイ様な~~? まあ、それはひとまず置いといて、さっきからずうっと溜め息突かれてるので、どこか具合でも悪いんじゃないですか、夏先輩?」


「う〜〜ん、そうだな~~確かに少し疲れたかも」



 君が僕の傍に居るのが原因だよなんて、とても言える訳が無い。

 かと言ってこのままだと、俺はほんっとにぶっ倒れる自信があった



「おい、白川」


「何でしょう、手塚さん」


「利根川主任がお呼びだぞ、ここの現場は俺が指揮を執るから行ってこい」


「俺、何かやらかしましたかね?」


「ん? いやっ、別に何も俺は聴いてないが、思い当たる節でもあんのか?(苦笑)」


「いやあ……寧ろ有り過ぎて、どの事かなと(汗)」


「おいおい、でも別に怒ってる感じじゃ無かったけどな~~」


「そっすか、じゃあ後は現場宜しく御願いします、手塚さん」


「おう、任せとけ」



 何で呼び出されたのか色々と思い当たるものがあるだけに正直怖い。けど、そのお陰で冬海ちゃんから一時的にではあるが、距離を置く事が出来そうだ。何だかさっき迄の肩の重さが消えていた、さっき迄の悩みがまるで気のせいだと言えてしまうくらいに。俺は三階の研究所まで、エレベーターでは無く、階段を使って登ることにした。


 ずっとパソコンの前で座って血行が悪くなっていたのも有ったが、とにかく身体を動かさずにはいられなかった。


 脈拍と心拍数が上がるに連れて、多くの酸素を採り入れる事で、興奮を自発的に引き起こした。アドレナリンが脳の中枢神経をより刺激する事により、俺は自分自身を活性化させ、疲れを一気に吹き飛ばすことにした。


「ふぅーーふぅーふぅー、マジか、たかが三階へ上がるだけで息が上がるなんて」


 俺は部屋の前に到着すると、呼吸を整えゆっくりと3回ほどドアを叩いた。『入っていいぞ』と言う声がしたのでドアを開けると、俺の前には先約がいた。



「狂矢!?」


「夏!?」



 とても見慣れた顔がそこに揃った。


to be continue ・・・・・・the younger sister plus

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妹+(Plus)ー俺が高校生の頃、死んだ尊い二個下の妹はバーチャル空間の中に居る。俺はまた絶対彼女をこの世界に連れ戻して、萌える日々を過ごすため、今日も俺はプログラミングをし続けます。 夢七夜 孤島(ムナヤ コトウ) @SashaBill

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