幕間三


 我々は一刻も早く新しいブレインを探しに一路東京皆星工科大学を目指した。ハッキリ言ってこれが都内で足を運ぶ最期の大学。一縷の望みに賭けるしかなかった。


「主任、もうすぐ大学に到着します。しかし、これが駄目なら……」


「これが駄目なら関西まで足を運べばいいわ」


「そ……そうですね」


「ああ、もぉ。まだ見ても居ないんだから、勝手に絶望してもしょうがないでしょう。そんな無駄なことを考えて居る暇が有ったら、新しいアイディアでも練りだしてちょうだい。別にこれから会う大学生達から、アイディアを貰う必要もなんて本来はないんだからね。本当は私達自身でアイディアを出さなきゃいけないのよ」


「すっ、すいません」


「あっ、いや……私こそごめんなさい。自分もアイディア出せてないのに」


「いえ」


 全く持って恥ずかしい。偉そうなことを言っておいて、私は主任になってから一度も自分から斬新なアイディアなど出せなくなっていた。責任という重圧がまるで私の前頭前野の閃きを奪った。シータ波が全く発生しないのだ。くよくよしていても仕方がない、私は自分を鼓舞し、そして皆を鼓舞した。


「もお、皆辛気臭い顔なんかしてちゃ駄目でしょ。これから会う子達は、私たちを勝手に尊敬した眼差しで見て来る子達なのよ。まるで、なんでも知っていて、正にエリート集団だと思わるのは間違いないわ。そんな私達が、苦虫を潰した顔してたらまずいでしょ? 違う」


「「「はい、その通りです。主任」」」


「もお~~、理解しているならさ、笑顔笑顔、眉間を真ん中に寄せちゃ駄目よ。良し、着いたわ。こっから戦場でもある。気を引き締めて、新たな仲間となるブレインを探すわよ、いいわねっ」


「「「はい!?」」」


 大きな期待は決してしては居ないが、まだ望みがある。故意にして貰ってるこの大学の教授から打診が有った。『いまうちに面白い奴が居ます。きっとあなたの意に適うとおもいますよ、利根川さん』


 面白いのは最期に取って置くのが、私の主義だ。

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