第5話 禁忌
「鴨さん、カメラ頼むよ」
「あい」
夏音の掛け声とともに、俺はカメラを彼女に向けた。人込みの中を颯爽と進む彼女を背後からとらえる。
前祭初日。まだ八時だと言うのに、参道は参拝客で溢れている。
見ると、団体客がほとんどで、単独でお参り来た人の姿はごく僅かだ。
拝殿に向かうと、中で紗代が祝詞をあげており、透き通った声が広い神殿内に朗々と響き渡っている。その脇ではあやめが腰を降ろして控え、沙耶がご神体に捧げる奉納の儀式を静かに見つめていた。
拝殿に向かって二礼二拍一礼する夏音を、横から捉える。
拝殿には厳粛な雰囲気が漂い、綺麗に整列された椅子は参拝客でびっしりと埋め尽くされていた。
昨夜、ここで繰り広げられていた戎を誰が想像できるだろうか。
あれは夢だったのだろうか。
そんなはずはない。
俺は昨夜から一睡もしていないのだから、夢なんか見るはずはない。
俺だけじゃない。夏音も、あやめも、紗代も。
事が終焉を迎えたのは、空が白み始めた頃だった。
鳥の囀りと共に行為を終えた俺達は、衣類を身に着けると、その足で露天風呂に向かい、身を清めたのだ。
その後、紗代とあやめは何事も無かったかもように巫女の衣装に着替え、拝殿へと向かった。
俺達も紗代から祈祷用の椅子の準備を頼まれたので、すぐに彼女達の後を追う。
拝殿の引き戸を開け、空気を入れ替える。そして掃き掃除をした後、拝殿の両端にある小部屋から背もたれの無い折り畳み式の椅子を出し、拝殿に並べた。
並べ終えると、紗代達は供物の準備に社務所に戻り、俺達はテントに向かった
最初に拝殿を出た時は人影など全く無かったのに、今や複数の参拝客が徒党を組んで参道を行進してくる。
戎を終えるタイミングがもう少しでも遅かったら、参拝客達は思いも寄らぬ光景に戦慄したに違いない。
戎と言う表現はおかしいかもしれなかった。
紗代曰く、あの行為は産童神への「ササゲモノ」らしい。
「生」の力を捧げる事で郷の繁栄と御加護に対する感謝を意味するそうだ。
行為を行うの定例祭の前祭の間。本祭ではやらないとのことだった。
因みに、あやめが来るまでは一人で神に捧げていたらしい。
真偽の程は明らかではないが、そこは追及するのも大人げないので深くは掘り下げなかった。まあ、昨夜の彼女を見ていると、いつも一人でとは限らなかったとは思う。
キャンプサイトに戻ると、いつの間にかテントの周りは既に参拝客の車で埋まりつつあった。駐車エリアに収まらなかった車が、有無を言わさずキャンプサイトにまで侵食していたのだ。
今までなら、徹夜明けの朝となればフラフラの状態で自分の寝床に潜り込むと、すぐに睡魔の支配下に陥るのが常だった。。
でも、今日は違う。
眠気も気怠さも無かった。
それどころか、いつにも増して全身に記録と活力が満ち溢れていた。
不思議だった。あれだけ体力を消耗したにもかかわらずだ。
ぞろぞろと裏参道を歩む参拝客に多さに驚きながら、俺と夏音は朝食代わりに珈琲を一杯だけ飲むと、機材を手に足早に境内へと向かったのだった。
拝殿では紗代の祝詞が厳粛な調べを奏で、祭事が粛々と進められている。拝殿の横には祈祷を待つ人々が長い行列を作り、時折同伴者と会話を交わしながら、時がたつのを心待ちにしている姿が見て取れた。
俺はカメラを構え、拝殿の賽銭箱の横から中の祈祷の様子をカメラに収めた。
一般客が拝殿内で祈祷を受けられるのは前祭まで。本祭に参加できるのは氏子の郷人のみなので、誰しもが参加できる前祭りが始まると、我先に拝殿へと向かうのだ。
これが二日後の二十時になると、拝殿の引き戸は固く閉じられ、入室を許されるのはこの郷の住民のみとなる。
紗代の話では、この時に神殿から熱い風が吹いたりと不思議な神気に触れる事が出来るらしい。
紗代に何とか本祭の取材が出来ないか頼んでみたが、残念ながら答えはNOだった。但し、前祭の祈祷シーンを拝殿の外から撮影するのは許可してくれた。
俺は拝殿の前で頭を下げ、昨夜から早朝までに及んだ淫行を詫びた。
が、特に神罰を下される訳でもなく、無事参拝を終えると社務所に向かった。
社務所では巫女の衣装をまとった谷上達氏子の重鎮三名と袴姿のFU・FU・FUメンバー達が参拝客の対応に追われていた。
「お疲れ様です! 」
俺が声を掛けると彼らはにこやかに返事をしてくれた。
「コスプレみたいでしょ! 」
少し照れながら谷上が微笑んだ。
「よくお似合いですよ」
俺は即座に言葉を返す。
お世辞ではない。本当に似合っていた。ただ清楚な風貌の紗代とは違い、妖艶な色っぽさを醸してはいたが。
「定例祭の時は皆さんでお手伝いするんですか? 」
「ええ。祭りの間は巫女は祈祷がメインになっちゃうからね。今年からあやめちゃんがプラスになったから負担は軽くなったみたいだけど、こっちの仕事までは手が回んないから」
「何かお手伝いしましょうか」
「有難う。大丈夫よ、その気持ちだけ頂くね。鳥居の外の表参道に出店が出てるから見て行って。この郷の氏子衆が出している店だから、良心的な値段よ! 」
「え、本当ですか? 」
谷上の言葉に、夏音が目をきらきらと輝かせる。
お子様かよ。
「鴨さん、行こっ! 」
俺は夏音に引っ張られるようにして参道に向かった。
「お、おい。取材は? 」
「こっちの取材をすればいいじゃん。食べ歩き、食べ歩きい~」
ぐいぐいと俺の腕を引っ張りながら、夏音は表参道に向かって歩き始めた。
俺は仕方なく彼女に従う。
鳥居をくぐると、大手参道沿いにはキッチンカーやワンボックスカーが並び、ソースや醬油の香ばしい匂いが漂っている。
夏音はきょろきょろと品定めをしながら目を丸くする。
「焼きそばが一皿二百円、ソフトクリームが百円? ほんとだ、お手頃価格! 」
確かに。ジュースやビールも売っているが、スーパーで買うのとそんなに変わらない価格だ。
クレープが食べたいと言うので、付き合う事に。フルーツとクリームがたっぷり入って三百円。安過ぎるだろ。
食べながら、行き交う参拝客に目を向ける。
今日は金曜日。平日と言うのに、朝早くからこれだけの人々が参拝に訪れるなんて、中々ないのでは。
それも、余り知られていない郷の鎮守を司る神社だというのに。
知らなかったのは俺だけなのだろうか。
それにしても。
何となく若い人が多い。友達同士なのか、会社の同僚同士なのか、グループで来ている人が圧倒的に多く、家族連れらしき参拝客を遥かに凌いでいる。
これだけ、人生の転生を願っている人がいると言う事か。
つまり、今の人生を不満に思っている人が沢山いるって事。
そう考えると、何だか寂しい世の中になっちまった。
「私、思うんだけど、ひょっとしたら参拝客って、この村の出身者か、籍をここに残して村を出た人じゃない? 人生をやり直せたお礼参りで来ているんだったら、御利益すげーよ」
夏音は俺の心中を見透かしたかのように、俺とは正反対の意見を述べた。
成程、そうとも考えられるか。流石、ネガティヴに物事を捕えがちな俺とは違う。
今までポジティヴに人生を駆け抜けて来た彼女らしい答えだ。
「鴨さん、私さあ」
クレープを食べ終えた夏音が徐に呟く。
「ん? 何? 」
「郷民になろうかな」
「え、マジか」
俺は彼女の顔を覗き込んだ。
「取りあえず、住民票は移す。ここに籍を置いたって、全国は回れるし。本祭の様子も見れるじゃん。撮影までは無理かもしれないけど」
「お、おう」
夏音の真っ直ぐな気を宿した真剣なまなざしが、俺を正面から射貫いていた。
冗談ではなさそうだ。
「鴨さんは? 」
夏音が目を細めて探りを入れて来る。
「うーん、もう少し考える」
俺は困惑しつつ、曖昧ながらも答えを返す。
「カオ」
「ん? 」
「カオがやろうとしてるのは、籍だけここにおいて今まで通り旅を続けるってこと? 」
「ちょっと違う。ここをベースにあっちこっち彷徨うって感じかな」
「それもありか」
「うん、ありかも」
結構軽いノリで頷く夏音。
まあ、この郷から出たくなれば出ればいいんだし。それは無理に引き留められないのは、谷上達からこの郷の状況を聞いて分かっている。氏子総代を務める谷上ですら、そろそろこの郷を出ようと考えているくらいだからな。
俺は――どうだろ。
住んでも悪くは無いとは思っている。
ストレートに言うと、俺は紗代と一緒に暮らしたい。
彼女を独占したい――その強い感情が、根底にはある。
彼女とこの郷で暮らすとなると、今は良好で心優しくヴィジターの俺を迎え入れてくれている人達でも、恐らくは敵対関係になる可能性がある。
今回、郷民達の様子を見て感じたのは、ここでは巫女達が特別な存在であることだ。何しろ、新参者のあやめにすら敬意を払って接している。
そんな彼女を独り占めにすれば、妬みや恨みを買うのは必至だろう。
でも、もう一つ気がかりなことがある。
もし、俺との関係で郷民達と問題が起きたとしたら、彼女はどちらを取るのだろうか。
俺、それとも郷。
ネガティヴな思考が俺をどんよりとしたマイナス方向へと引きずり込んでいく。
「鴨氏、どうしたのさ、さっきから黙っちゃって」
何かを察したのか、夏音が訝し気に俺の顔を覗き込む。
「郷民になるかならないか、考えてた」
と、素直に答えておく。
「だったら迷わず郷民だね。紗代さんも喜ぶんじゃない? 」
夏音が意味深な笑みを浮かべた。
こやつは油断ならぬな。しっかり俺の心中を見透かしてやがる。
俺は苦笑を浮かべた。が、数秒後、俺の顔から笑みが消えた。
嫌なものを見てしまった。
但し、向こうは気付いていないようだけど。
「お久し振りです」
俺の声に、ぎょっとした表情で俺を見るアラサー女子二人連れ。
一人は元上司のチームリーダーで、もう一人は彼女の同期入社の元同僚。リーダーは相変わらずセミロングのヘアースタイルは固辞しながらも、コンタクトに変えたのか、トレードマークの銀縁眼鏡は掛けておらず、白地に黒の水玉のワンピースにスニーカーといった、普段の仕事の時の服装からはイメージできない容姿風貌だった。それと彼女の連れは淡いレモンイエローのワンピースで、長い髪を後ろで束ねており、同色系のスニ-カーを履いている。
俺が会社を辞めた時に、陰湿なハラスメントを暴露いてやった結果、二人も早々に自首退社に追い込まれたのだった。
誰もその後の二人の行方は分からなかったらしいが、まさかここで再会するとは。
「鴨、どうしてあんたがここにいるのよ。いいわよね、しっかり彼女作って幸せそうじゃない」
リーダーは引き攣り笑いを浮かべると、笑っていない冷ややかな目線を俺達に投げ掛けた。
俺と夏音は驚きの表情で互いの顔を見る。
「違いますよ。彼女とはそんな関係じゃない。同業者です」
「え、仕事? 」
「そうです。SNSで色々情報を発信してて。彼女とはコラボ中で、今はここの神社の取材をしているんです」
俺はにこやかに営業スマイルで彼女と対峙する。
「道理でね。その娘何処かで見た事あると思ったんだ」
「有難うございます。チャンネル登録お待ちしています」
「するかっ! 」
リーダーは忌々し気に吐き捨てた。俺に対する逆恨みをいまだに抱いているのは明らかだった。
「リーダーは今、何をなさっているんですか? 」
俺の言葉に、彼女はかっと眼を見開いて怒りの形相を浮かべた。
「してたら平日にこんなとこ来ないわよっ! それにその呼び方はやめてよ。もうあんたの上司じゃないんだしっ! 」
彼女はいきり立った。こめかみに青筋が浮かび、握りしめた手がぷるぷる震えている。
やっぱりそうか。何となくそんな気がしたので、わざとに聞いてみたのだ。仕事と言うワードを驚きと妬みの表情で呟いたのを、俺は見逃さなかった。意地悪といやあ、そうかもしれないが、以前それ以上の事をあやめと俺にしでかしているのだから、これくらいは許されてもおかしくはない。
取りあえず、これで気分を悪くしてさっさと立ち去ってくれればいいのだが。
あやめと会わないうちに。
もし、彼女が精神を病むほどに自分を追い詰めた要因と再会したら・・・悪夢の日々がフラッシュバックして錯乱するかもしれない。
願わくばお参りだけさっさと済ませて帰ってくれれば助かるのだけど。
夏音は言葉の節々に圧を含ませて来るリーダーの対応に嫌悪の表情を浮かべつつも、俺が淡々と言葉を返し、追及をかわす大人の対応にまかせることにしたのか、じっと口を閉ざしていた。
「僕らは取材がありますので。まあ楽しんで行ってください」
俺は軽く会釈すると、夏音を促しその場を離れた。
リーダーはと言うと、返事もせずに元同僚と共にすたすたと足早に立ち去っていく。
「鴨氏、あの人が前に行ってた元上司なんだ」
夏音が耳元で囁く。
「そ、とんでもねえだろ」
「綺麗な人だけど、心は相当ひねくれている感じよね」
夏音が呟く。
「あと、つけようか? 」
「ん? 」
「鴨氏の話じゃ、あいつがあやめちゃんを追い詰めたんでしょ? ここで再会したら、何かやらかすんじゃない? 」
夏音は冷ややかな目線を二人が立ち去った方向に向けた。
「俺もそれを心配している」
「じゃあ決まりね」
夏音はそう言うと、神社に向かって歩き始めた。
勿論、俺もそれに従う。
二人の姿はすぐに見つかった。
服装もさることながら、二人が放つ独特のオーラが俺の眼を嫌でも引き付けるのだ。
自分達が天井人であるかのように周囲の者を見下す天性の気質は、そうそう簡単に隠せるものではない。元居た会社でも、二人はそうやって周囲を蹴落としながら地位を奪取してきたのだ。
俺と夏音は少し距離を取りながら、二人の後を追う。
二人は拝殿まで来ると簡単にお参りを済ませ、祈祷の順番を待つ行列を横目で見ながら言葉を交わすと、参道を戻り始めた。余りにも混み様に祈祷は諦めた様だ。
俺達は慌てて人影に身を隠すと、再び二人の背後にまわる。
二人は社務所でお守りを物色した後、谷上らに何かしら尋ねていたが、不機嫌そうな表情を浮かべると鳥居に向かって歩き出した。
「帰るみたいだね。これであやめちゃんと接触する心配は無くなったかな」
夏音の表情が安堵に緩む。
「社務所で何かあったみたいだけど、まあもう戻っては来ないかもな」
鳥居をくぐり、出店の方に向かう二人の後姿を眼で追う。
「ね、私達も祈祷して貰おうよ」
「そだね」
俺は夏音の提案に同意すると、再び拝殿へと向かった。拝殿の横に祈祷の受付所があり、巫女の衣装姿の郷民が受付を行っていた。
神社の定例行事と言うより、郷の行事といった感じなのだろう。
「これを毎月やっているか・・・大変だな」
俺は感嘆の吐息をついた。簡単と言うより、驚愕に近い。
これだけ参拝客が集まる行事が行われる神社と言うのに、その存在が余り知れ渡っていないのが不思議だった。
受付を済ませ、祈祷料を収めると待避所で待つこと約半時間。漸く拝殿の中へと通される。俺は一番奥の席で、隣が夏音。
席に着くと、紗代が参拝客に簡単な挨拶をし、神殿に向き直った。
あやめが、大太鼓を叩き、祈祷の始まりを産童神にお伝えをする。
静かに響く笛の音。巫女衣裳を纏った4人の若い女性達が横笛を奏でている。皆、郷民なのだろう。何となく見覚えがある。
二礼二拍一礼後、紗代が静かに祝詞を読み上げる。
拝殿の空気が変わった。
紗代の紡ぐ言霊が、清廉な調べを刻み、参拝者の魂を浄化へと導いていく。
俺は迷っていた。紗代をこの郷から連れ出したい思いとは裏腹に、その難しさを
祭りを通じて痛感していたのだ。
この郷は、産童神信仰を中心に成り立っている。それは下準備風景から祭りの運営に至るまで見聞きして感じ得たものだった。
見る限り、村人からの紗代の人望は厚く、それが故に行事には郷人総出で取り行っている。
そんな信仰の中心的象徴とも言える彼女を俺が連れ出したら、郷民達はどう思うか。
否、それよりも紗代自身が俺の希望に従ってくれるかどうか。
彼女は語っていた。昨夜の行為は産童神への供物だと。それに過ぎないと言う事は恋愛感情は存在しないか。
そう考えると、俺が彼女の心を手中にしたと思っているのは、大きな勘違いなのか。
苦悶に近かった。
ネガティヴな思考に囚われているうちに、祈祷は終わりを迎え、紗代が参拝客に大麻を降る。
俺は頭を下げ、祓いを受ける。
刹那、植物的な匂いと獣的な匂いが入り混じった甘美な芳香が鼻孔に広がる。
昨夜、俺を狂わせたあの匂い。
紗代から?
でも紗代とは距離が離れている。
彼女は中央。俺は一番奥の端の席だ。
紗代の匂いじゃない。
そう認識した刹那、熱い風が俺を包み込む。
何処から吹いているのか。
神殿からだ。神鏡の無い神殿から、それは俺を包み込むように流れ込んでくる。
これが、紗代の言っていた神気なのか。
でもあれは本祭の時に、しかも郷民しか体験出来ないはずじゃあ・・・。
ただの気のせいなのか?
一瞬、思考が白紙になる。
想像を絶する快楽に、俺は為す術も無く身を委ねるしかなかった。
荒くなる息をかろうじて押しとどめる。
祭礼が終わり紗代から御札とお守りが配られた。俺はそれを受け取ると、平静を装いながら席から立ち上がった。
「鴨氏、どうしたの? 何か動きがぎこちないよ」
拝殿の階段を下りながら、夏音がそっと囁く。え、ばればれかよ。
「あ、ああ。実はさ、さっき――」
俺は重い口を開いた。勿論神気を感じた事は言うが、それ以上のは言わない。
が、そんな俺の気乗りのしない告白タイムを、ただならぬ足音が掻き消した。
FU・FU・FUメンバー三名が、拝殿の袖から紗代とあやめを呼び出し、深刻な表情で小声で何かを伝えた。
途端に、紗代の顔が青ざめる。
「何かあったみたいだな。言ってみるか」
「うん」
俺は夏音に声を掛けると、紗代のそばに近寄った。
「何かあったんですか? 」
俯きながら小声で話す面々に声を掛けると、はっとした表情で紗代が顔を上げた。
「誰かが山に入ったみたいなんです。さっき、氏子の一人が山道のほうで木々の間を衣服のようなものが動くのが見えたって、社務所に駆け込んだそうです」 」
「えっ! 」
俺は驚きの声を上げた。またSNSの再生回数アップを狙った奴らが、祭りのどさくさに紛れて侵入したのか。山で怪異が起きる事を知らずに。
旧怖怖怖チャンネルの面々が無事だったことを俺達の配信で知って、ある意味安全性が担保されたと思ったのか。
「山へは何処から登るんですか? 」
俺はかつて山に踏み入れた事のある福杜に尋ねた。
「山へ入るには拝殿裏の道からしか入れないんだ。でも入り口には鎖で封じて立ち入り禁止の札は立ててあるから間違って迷い込んだんじゃない。最初から上るつもりで侵入したんだ」
福杜は憤怒に顔を歪めた。
「監視カメラを設置している上に、人感センサーで警報が鳴るようにしてあったんだけどな」
深川が訝し気な表情を浮かべる。
不意に、福杜の携帯が鳴る。
「はい、大鉈です。、あ、伝所さん、どうでした? えっ! 分かりました。ありがとうございます」
福杜は電話を切ると、苦々し気に口を歪めた。
「伝所さんに社務所のモニターをみてもらったら、真っ暗だって。カメラが動いていないらしい」
「壊されたのかもしれない。悪質だ。俺達があれだけ入らない様に注意喚起していたのに」
吹田が忌々しげに呟く。
「さっき、蟲暮のしんちゃんにカメラの確認を頼んだから、そろそろ来るかな」
福杜が爽宇言い終わらないうちに、長身で短髪の青年が駆け寄って来る。
「大鉈さん、大変です。カメラと人感センサーの配線が引きちぎられていました」
青年は、荒い呼吸を繰り返しながら、大鉈――福杜にそう伝えた。
最悪の展開に一同言葉を失う。
「いったい誰が・・・」
紗代が唇を震わせた。
再び福杜の携帯が着信を告げた。
「はい、大鉈です。陣屋さん? え、そうなんですか? じゃあ可能性有ですね」
福杜が大きく吐息を吐く。
「犯人の目星が付きました。陣屋さんとこの宿泊客の様です。さっき社務所で山頂の本宮にお参りできないか聞いてきた客がいたんですが、その客が陣屋さんのお客さんなんだそうです。宿でも、郷民しか出れない本祭の夜祭りに、何とか参加させろとか無理を言っていたらしい」
福祉が淡々と語った。
山頂に本宮があるのか。その客が山道に入ったのはそれが目的ってことか。
「あの時、登山は禁止になってるって言ったら、凄く不機嫌になってたな」
深川が眉間に皺を寄せた。
「そのお客ってどんな容姿してました?」
俺は福杜達にその客の風貌を問うた。
「女性が二人。一人は水玉の、もう一人はレモン色のワンピースを着ていた。美人系だけど、冷たい感じがしたな」
福杜から帰って来た答えは、俺にとって正に死刑宣告だった。
「リーダーだ・・・」
俺は愕然とし、頭を垂れた。
やらかしてくれた。あの二人、いったいどこまで人に迷惑を掛ければ気が済むのか。
「知り合いなのですか? 」
紗代が俺を見つめた。
「元会社の上司です。もう一人は彼女の友人です。さっきばったり会って」
俺は言葉短に答えた。途端に、あやめの表情が硬く強張る。
「あやめちゃんと鴨氏にパワハラしてたとんでもない奴」
夏音が忌々し気に言い放つ。
「苦しめられた挙句に回避せざるを得なくなった者を、更に追い詰めるかのような愚かな話ですね。厄介な事をしてくれた」
紗代の表情が能面のそれになる。
俺は思わず生唾を呑み込んだ。いつも穏やかな彼女が、今までに見せた事の無い表情だった。一見無表情に近いものの、その裏に秘めた底知れぬ怒りと憎悪が、凄まじい殺気を孕んで彼女の身体から迸っていた。
決して自分に向けられたものではないと分かっているものの、思わず一歩退いでしまう程の強烈な圧を否応なしに感じる。
「御代さん、どうします? 我々が追いかけて連れ戻しましょうか」
福杜とFU・FU・FUメンバー紗代に指示を乞う。
紗代は無言のまま、じっと虚空を見つめた。やがて意を決したかのように、鋭い視線を向ける。
その目線の先は、俺だった。
「鴨さんに行って貰います」
紗代の言葉に、俺は呆気にとられたまま立ち竦んだ。
何故、俺が?
そう思ったのは俺だけじゃない。他のみんなも同様に驚愕の顎に魂を咥えられたまま、俺をじっと凝視している。
「鴨さん、さっき産童様の神気を受けられましたよね? 」
真正面から俺を射貫く紗代の眼に、一瞬びくっとする。
「え、はい」
俺はあたふたしながら答えた。紗代には分かっていたのか。だとすれば、俺が魂を打ち上げたのも知っているのか。
「鴨さん、本当? 」
夏音が驚愕に目をおっぴろげながら俺に囁いた。
「ああ。熱い気がぶあっときた」
あれは差しさわりの無い現象だけを彼女に説明する。
「産童様は彼が気に入ったようです。それに、鴨さんと因縁のある人物となれば、適任者は誰かは言うまでもないでしょう」
紗代の力のこもった発言に、FU・FU・FUメンバー達は大きく頷いた。
「大鉈さん、刀人さん、弓曳さんは山道入り口の警護と監視カメラの修理をお願いします。彼女らの真似をして侵入を企てる者が出るかもしれません。申し訳ありませんが、夏音さんと蟲暮さんは社務所のフォローをお願いします」
「分かりました」
福杜達は会釈すると拝殿の裏へと向かい、夏音と青年は社務所へと駆け出した。
「鴨さん、申し訳ありませんが、そう言う事なのでお願いします。私とあやめちゃんは産童様がお怒りにならないよう、祈祷を続けます。そうだ、これを・・・」
紗代は懐から水晶の数珠を取り出した。透明な水晶と紫色やピンク色の推奨が交互に組み合わさっている。確か社務所でもパワーストーンの数珠は売っていたが、其れとは全く異なるものだった。
「これをお持ち下さい。産童様に仕える者の証です。念の為身にお付けください」
「有難うございます」
俺は紗代から数珠を受け取ると、左手首にはめた。
「鴨さん、これを」
あやめが神妙な面持ちで白いビニール袋を俺に手渡す。
「大鉈さん達みたいに、持ち物だけが見つかるって事も考えられますから」
「分かった」
貰ったビニール袋をポケットにねじ込む。
「じゃあ、行ってきます」
俺は拝殿裏に向かって駆け出した。
いくら恨みを抱いた相手とは言え、ほおっておくわけにはいかない。
だからこそ、スルー何て出来ないのだ。
在職中に散々俺達を不愉快な目に合わせておいて、更に会社を離れてからも迷惑を掛けやがったのだ。
連れ帰ったら、土下座じゃ済まない。
素っ裸にして産童神に奉納してやる。
リーダー達の身の心配よりも、無礼極まりない愚かな行為への怒りの方が完璧に勝っていた。
それは、何かしらの怪異が起きるかもしれないといった恐怖心すら、意識の外へと追いやっていた。
拝殿の裏手にまわると、福杜達が工具を片手に監視カメラのケーブル修理に勤しんでいた。
「鴨さん、頼みます」
「何かあったら連絡をください」
「御代さんに許可を貰ってすぐに助けに行きますので」
福杜らが俺に激励の声を掛けて来る。
「有難うございます。何かあったら連絡します」
俺は外された登山口の結界の横をすり抜け、山道を駆け上がった。
以前取材した際に、三人の携帯の番号は教えてもらっているし、俺の番号も伝えている。今の俺にとって、三人は心強い存在だった。
まずは、山に登った経験があること。そして、怪異を経験しながらも無事帰ってこれたこと。この二つを経験し、無事生還している貴重な生き証人なのだ。
必ず無事こちらの世界に戻ってこれる。
そう確信出来るのは、彼らがあってこその事なのだ。
でも。気になった事がある。自主的とは言え、この山――ご神体の守護役を担当している三人にとって、二人の大馬鹿者を連れ戻す大役を郷外者の俺が承るとなったら、普通は嫉妬に怒り狂うんではないかと思ってしまう。だけど、彼らにはそんな素振りは全く感じられず、むしろ俺に畏敬の念すら抱いているかのように見える。
俺なんかとは違い、人間的に出来ているのだろう。あるいは、のどかなこの郷での生活を通じて、がつがつした欲のようなものが削り取られてしまったのかもしれない。
彼らの為にも、郷の大切なシキタリを蔑ろにした二人は必ず連れ戻し、謝罪させてやる。
岩がごろごろと転がる山道を、懸命に駆け上がる。
不思議だった。
徹夜明けのはずなのに、息は全く上がらないし疲労感も無い。
それどころか、反対にいつもよりパワーアップしているような気がする。
徹夜明けに変にハイになる奴がいるけど、そfれとも違う。
万全なコンデションの更に上を行くような状態。
神気を受けて、身体が活性化しているのか。
それとも産童神に導かれているのか。
普通なら足を取られがちな岩やむき出しになった木々の根といった障害物も、難無く回避し進んで行く。
だが、俺の超人的な進撃にもかかわらず、リーダー達の姿は今だ捉えられていない。
二人はかなり前に入山したのか。
ひょっとしたら、社務所で入山出来無い事を告げられた直後に愚行に走ったか。
理由は恐らく自分勝手なものなのだろう。社務所でのやり取りに不満を覚え、その腹いせにやらかしたような感じがする。
でも、どうしてそこまでして本宮に参詣したいのか。
本宮で祈願した方が、自分達によりよく御利益があると考えたのか。
あの人達ならやりかねない。
会社に在籍していた時も、いつも自分中心に事が進んでいると考えていた輩達なのだから。リーダーの同期の友人の事は自分で見聞きした訳ではないが、噂では類が友を呼ぶ関係らしいし。
山道は大きく蛇行しながら頂上まで続いており、標高は数百メートル位なのだが、道程距離はは二倍近くありそうだ。でも恐らくは紗代や郷民達が何かしらの祭事に際には本宮まで参詣するのだろう。下草は綺麗に刈られており、殊の外手入れは行き届いている。
山道を覆っていた木々の枝葉が不意に途切れ、視界が開ける。
頂上だ。
僅かな平地に木製の小さな祠が建てられている。小さなと言ってもファミリー向けのテントくらいの大きさで、数段程の階段を上がると、大人がニ、三人横たわれるくらいの舞台がしつらえてある。
長年の風雨に耐え抜いてきたのだろう、屋根や壁の老朽化はそれなりに進んでいるものの、かえってそれが落ち着きのある風格を醸し出している。
俺は祠の周囲を見渡した。
リーダー達の姿は無い。
俺の追撃に気付いて、木陰に身を潜めたのか。
それとも、産童神の怒りに触れ、神隠しにあってしまったか。
俺は祠をまじまじと見つめた。
まさか、この祠の中にいたりとか。神様に引きずり込まれたと言うのではなく、俺の姿に気付き、隠れようとして自分から祠に飛び込んだ可能性がある。
中を見てみた方がよさそうだ。
俺は恐る恐る祠に近付き,ゆっくりと階段を上がった。
俺は歩みを止め、息を呑んだ。
舞台に、水玉とレモンイエローのワンピースが落ちていた。
あの二人が着ていたものだ。すぐそばに靴下と靴、そして小さなリュックが落ちている。
ただ不思議な事に、リュックはワンピースの背中の部分にのっかり、靴下は靴に半分納まっている。一人だけじゃない。二人共だ。
リーダーが着ていた水玉のワンピースの裾をつまみ、めくってみると、腰の辺りに白いパンティーが履いていた時のままの形で鎮座していた。彼女の友人のワンピースもめくってみたが、淡いブルーのパンティーが同様に臀部の部分を上に向け、そのままの格好で定位置に納まっていた。
これって、まるで服を着ていた状態で中身だけが消えてしまったような・・・。
FU・FU・FUメンバー達の時と同じだ。
二人の身に何が起きたのか。
ただ何か想像を絶する事態に対峙したのだろう。二人のパンティーのクロッチ部分はじっとりと濡れ、染みになっており、鼻を突くアンモニア臭を放っていた。
恐怖なのか驚愕なのかは分からないが、どちらかが二人の理性の箍を破壊したらしく、揃いも揃って失禁していた。
「これ、俺が回収しなきゃならないのかよ」
俺は吐息をついた。
FU・FU・FUメンバー達と同じパターンなら、明日になるか明後日になるかは分からないものの、拝殿で発見されるのだろう。楽観的過ぎるかもしれないが、手掛かりが不自然に残された衣類しかない以上、そう判断するしかない。
まあ、こうなる事を予測してか、あやめが手渡してくれたビニール袋が有難かった。ただ大きなごみ袋一枚なので、汚れ物も一緒になってしまうけど仕方がないだろう。
俺はしゃがみ込むと、リーダーの靴に手を伸ばした。
刹那、木のきしむ音が、直ぐそばから聞こえた。
驚いて顔を上げる。
祠の扉が開いている。
今、自然に開いたよな。
開け放たれた祠を食い入るように見つめる。
中には何も無かった。拝殿同様、神鏡もなければ大麻も無い。
勿論、リーダー達の姿も。
俺は生唾を呑み込んだ。
熱い気の噴流が俺を包み込み、植物的な匂いと獣的な匂いが入り混じった甘美な芳香が鼻孔を埋め尽くす。
俺の目の前に、白装束の女性が立っていた。白装束と言っても、着物ではなく、どちらかと言うと巫女の装束に似ていた。
歳は十代後半から二十代前半位か。
透き通るような白い肌と、それとは対照的な艶やかな長い黒髪。切れ長の眼、薄い唇、筋の通った鼻、やや細めの体躯――全ての造形が完璧な容姿端麗の女性だった。
でも、明らかに人ではなかった。
彼女の身体から清廉な白光が放たれており、俺の視界を白く染め上げていた。
彼女が、産童神なのだろうか。だとすれば、よく言われる山の神の風貌は大きな誤りだと言える。
彼女は仄かな笑みを浮かべながら、俺をじっと見つめていた。
俺は我に返ると、慌てて彼女の足元に跪き、頭を下げた。
「産童様、二人のご無礼、どうかお許しください」
俺は緊張に凍てつく唇を無理矢理引き剥がしながら、謝罪の言葉を絞り出した。
衣擦れの音が、静かな旋律を奏でる。
平伏す俺の目線に、彼女の足元に折り重なっていく衣裳が映っていた。
顔を上げなさい
鈴を転がすような声が、頭の中で響く。
これは、産童神の声?
俺はゆっくりと顔を上げ、息を呑んだ。
彼女は一糸纏わぬ姿で、俺の前に佇んでいた。。
奉仕を
彼女の唇が言葉を綴る。だが声は、聴覚ではなく直接脳裏に言葉として刻まれていた。
彼女の意図を、俺は察していた。
躊躇わなかった。
躊躇う余地も無かった。
妖艶な芳香は更に濃度を増し、俺の思考から理性を消し去って行く。
俺は彼女を抱き締めると、顔を引き寄せ唇を重ねた。
彼女は拒むことなく俺に従い、それを受け入れた。
彼女の豊満な乳房が俺の胸との間に挟まれ、押しつぶされる。
いつの間にか、俺の衣服は足元に散らばっていた。自分で脱いだ記憶は無い。
これぞ神の成せる技なのか。
お前の願い、叶えてやろう
彼女は満足げな笑みを浮かべると、掻き消すように消えた。
呆然と佇む俺の眼には、ゆっくりと閉じられていく祠の扉が映っていた。
自分がいつの間にか服を身に着けている事に気付く。
今のは、夢――なんかじゃない。
ふと、足元を見る。
リーダー達が俯せになって倒れている。
さっきまで衣服だけだった所に、そっくりそのまま体が現れた様な格好で。
「おい、しっかりしろっ! 大丈夫かっ! 」
二人の肩を揺さぶりながら声を掛けると、呻き声を上げながらゆっくりと瞼を開けた。
「鴨川・・・君? 」
リーダーが呆然とした面持ちで俺を見つめた。
「ごめんなさい!、ごめんなさい!」
リーダーは泣きじゃくりながら俺にしがみ付いてきた。
ほぼ同時に、彼女の友人も謝罪の言葉を口にしながら俺にすがって来る。
「もう、大丈夫ですから、落ち着いてください」
俺は二人を抱きしめた。
冷え切った二人の身体が、俺の体温で少しずつ温もりを取り戻していく。
不思議と、二人に対する怒りが静まっていくのを感じ取っていた。小刻みに震えながら謝罪する二人の姿に、俺には嘘偽りが無いように感じられた。
「立てますか? 」
二人が落ち着きを取り戻したの見計らって、俺はそっと声を掛けた。
二人は黙って頷くと、ゆっくりと立ち上がった。
「山を下りましょう」
俺の言葉に従い、二人はよろよろと階段を降り始めた。恐怖に腰を抜かしたのか、今にも転倒しそうなおぼつかない足取りだ。
仕方がない。
俺は二人の間に入り、腰に手をまわして体を抱えると、そろそろと歩みを進めた。
二人は俺に身を委ねるような形で何とか足を踏み出していく。
登山口まで来ると、俺達が戻って来るのを待ちかねていたのか、FU・FU・FUメンバーと紗代とあやめが出迎えてくれた。
皆、憤怒の表情を浮かべながら、じっとリーダー達を見据えている。
リーダー達は紗代達の顔を見ると、崩れるように地面に平伏し、額を地面に摺りつけて土下座した。
「ご迷惑をお掛けして申し訳ございませんでした」
二人は体を震わせながら謝罪した。
二人に無言の圧を掛けていた紗代の表情が緩む。
「顔を上げて下さい」
紗代は二人の前にしゃがみこむと、そっと優しく話し掛けた。
二人は顔を強張らせながら、恐る恐る顔を上げた。
「どうしてこんな無茶をなさったのですか? 何か訳がおありなんですか? 」
紗代は微笑を浮かべながら二人に話し掛けた。
二人の瞳が潤み始める。やがて、大粒の涙が頬を止めども無く流れ落ちると地面を黒々と湿らせていく。
「お話・・・聞いていただけますか? 」
リーダーは、声を詰まらせながら重い口を開いた。
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