宮澤賢治の作品は、私にとって読みにくい。解する、という回路では読むことがむつかしいしろものなのだろう。
賢治は作品を拾って描く。その執筆スピードは凄まじかったようで、理性をこえた、より内面の奥を、はしなくも描いたものなのだろう。
好き嫌いにわかれるだろうが、私にとっては、とっつきにくいものが多い。
本作は、比較的、そのなかでもとっつき安い作品。
そんな賢治作品理解を、今野勉著『宮沢賢治の真実』は助けてくれた。
本作はことに、それで読みがすすむ。
ジョバンニは、賢治。カンパネラは、賢治の愛したひと。
本作は、賢治が愛したひととの、こころの旅、もしくは別れの旅をしたはなしだろう。少なくとも私は、そう読んでいる。
寂しい、切ない、身につまされる物語。