八 鳥を捕る人
「ここへかけてもようございますか。」
がさがさした、けれども
それは、茶いろの少しぼろぼろの
「ええ、いいんです。」ジョバンニは、少し
赤ひげの人が、少しおずおずしながら、二人に
「あなた方は、どちらへ
「どこまでも行くんです。」ジョバンニは、少しきまり
「それはいいね。この汽車は、じっさい、どこまででも行きますぜ。」
「あなたはどこへ行くんです。」カムパネルラが、いきなり、
「わっしはすぐそこで
「何鳥ですか。」
「
「鶴はたくさんいますか。」
「
「いいえ。」
「いまでも聞えるじゃありませんか。そら、耳をすまして
二人は
「鶴、どうしてとるんですか。」
「鶴ですか、それとも
「鷺です。」ジョバンニは、どっちでもいいと思いながら答えました。
「そいつはな、
「鷺を押し葉にするんですか。
「標本じゃありません。みんなたべるじゃありませんか。」
「おかしいねえ。」カムパネルラが首をかしげました。
「おかしいも
「ほんとうに鷺だねえ。」二人は思わず叫びました。まっ白な、あのさっきの北の
「
「ね、そうでしょう。」
「鷺はおいしいんですか。」
「ええ、毎日
「こっちはすぐ喰べられます。どうです、少しおあがりなさい。」鳥捕りは、黄いろな雁の足を、
「どうです。すこしたべてごらんなさい。」鳥
「も少しおあがりなさい。」鳥捕りがまた
「ええ、ありがとう。」と
「いや、
「いいえ、どういたしまして。どうです、今年の
「いや、すてきなもんですよ。
すすきがなくなったために、向うの野原から、ぱっとあかりが
「
「それはね、鷺を
「こいつは鳥じゃない。ただのお
「そうそう、ここで
「どこへ行ったんだろう。」二人は顔を見合せましたら、
「あすこへ行ってる。ずいぶん
鳥捕りは、二十
「ああせいせいした。どうもからだに
「どうして、あすこから、いっぺんにここへ来たんですか。」ジョバンニが、なんだかあたりまえのような、あたりまえでないような、おかしな気がして
「どうしてって、来ようとしたから来たんです。ぜんたいあなた方は、どちらからおいでですか。」
ジョバンニは、すぐ
「ああ、遠くからですね。」鳥捕りは、わかったというように
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