三 家
ジョバンニが
「お母さん。いま帰ったよ。
「ああ、ジョバンニ、お
ジョバンニは
「お母さん、今日は角砂糖を買ってきたよ。
「ああ、お前さきにおあがり。あたしはまだほしくないんだから。」
「お母さん。姉さんはいつ帰ったの。」
「ああ三時ころ帰ったよ。みんなそこらをしてくれてね。」
「お母さんの牛乳は来ていないんだろうか。」
「来なかったろうかねえ。」
「ぼく行ってとって来よう。」
「あああたしはゆっくりでいいんだからお前さきにおあがり、姉さんがね、トマトで何かこしらえてそこへ
「ではぼくたべよう。」
ジョバンニは
「ねえお母さん。ぼくお父さんはきっと間もなく帰ってくると思うよ。」
「あああたしもそう思う。けれどもおまえはどうしてそう思うの。」
「だって
「ああだけどねえ、お父さんは漁へ出ていないかもしれない。」
「きっと出ているよ。お父さんが
「お父さんはこの
「みんながぼくにあうとそれを
「おまえに
「うん、けれどもカムパネルラなんか
「あの人はうちのお父さんとはちょうどおまえたちのように小さいときからのお
「ああだからお父さんはぼくをつれてカムパネルラのうちへもつれて行ったよ。あのころはよかったなあ。ぼくは学校から帰る
「そうかねえ。」
「いまも毎朝新聞をまわしに行くよ。けれどもいつでも家中まだしいんとしているからな。」
「早いからねえ。」
「ザウエルという犬がいるよ。しっぽがまるで
「そうだ。
「うん。ぼく
「ああ行っておいで。川へははいらないでね。」
「ああぼく
「もっと
「ああきっと一緒だよ。お母さん、
「ああ、どうか。もう
ジョバンニは立って窓をしめお
「では一時間半で帰ってくるよ。」と
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