《第一章》 最終話

ベレヌス展望台 5時39AM

故郷を前に

見晴らしの良い場所から

夜明けを眺める3人


シュナイザー:

「で?どーするつもり?これから

って…聞かなくても決まってるか」


ゼファ:

「ったりめぇだろ、俺達に喧嘩売ったんだ

あの野郎、タダじゃあ済まさねぇよ…

メルも、一緒に行くだろ?」


メル:

「…うん、どこまでも一緒」


シュナイザー:

「なら、西の城塞都市に向かおう

正直な所、今の装備じゃ心もとないし

あそこなら此処より良い資源があるよ

最後に撃ったアレ…エクリプスだっけ?

アレの衝撃でコラプサーも限界だろ?」


ゼファ::

「…すげぇチカラだったなぁ

随分と無茶、させちまったよ…」


取り出した銃を眺めながら呟くゼファ

銃身に大きな亀裂が入り、

至る処のパーツが破損して

ボロボロになりながらも

最後まで共に戦った…”戦友”


メル:

「ゼファは悪くない…悪いのは、私…」


ゼファ:

「メルのせいじゃねぇよ!」


シュナイザー

「そうだよ!むしろ、凄く助かったんだから!」


メルを真剣に見る二人


メル:

「二人とも…ありがと…」


シュナイザー:

「だから、”耐えれる”ようにするんだ」


ゼファ:

「…できるのか!?」


シュナイザーを見る二人


シュナイザー:

「…作ったの誰だと思ってるの?

良い素材を使って更に強化するんだ

制圧させたって言ってたから、

あんまり残ってないかもだけど

その街を帝國から解放したらきっと

力になってくれる人も居るはずだよ」


ゼファ:

「さすがシュナイザーだぜ!」


メル:

「シュナイザー…すごい」


ゼファ:

「ん?でもよ…西を目指すってんなら遠いぜ?」


シュナイザー:

「嗚呼、それなら問題ないよ」


ゼファ:

「あぁ?」


メル:

「…?」


シュナイザー:

「ルーツ、”モード・チェンジ”」


シュナイザーの”合図”で

ルーツが動き出す…

首が後方に移動して格納されると

それに伴って胸の装甲がせり上がり

駆動部に固定されていたタイヤが

大きく露出して、前面に配置される

伸びた腕がその前輪を包み込んだ


ゼファ:

「おいおい…聞いてねぇぞ…」


脚部パーツは関節部が展開

左右の補助タイヤは連結し、

一つのタイヤになって固定されると

伸びた廃熱機構が蒸気を吹き出し

同時に腰のパーツから

二つのサスペンションを搭載した

座り心地の良さそうなシートが現れた

所々むき出しでやや無骨ではあるものの

その風貌はまさしく大型の―――


ゼファ:

「―――”バイク”に、変身するなんてよ…」


シュナイザー:

「”変形”ね、聞かなかったろ?」


ゼファ:

「けど、この広さじゃあ

二人しか乗れねぇな…」


大型とはいえ、所詮はバイク

特別製で荷物を載せる為か、

後部座席は少し広めの作りではある

が、確かに三人で乗るのは少し厳しい


シュナイザー:

「君がメルちゃんを背中に乗せれば良い」


ゼファ:

「んなッ!」


シュナイザー:

「男の子でしょ~?」


メル:

「…私、重たいから…歩く…」


ゼファ:

「…だぁあああ!わかったよ!

乗せりゃ良いんだろ乗せりゃあ!!」


後部座席に飛び乗り

手を差し出すゼファ


ゼファ:

「…ほらよ」


メル:

「…?ゼファに乗るの…?」


ゼファ:

「は…はやくしろよ…」


メル:

「…うん!」


シュナイザー:

「さぁ準備は良いかい?

目指すは西の大陸ゴブニウの…」


ゼファ:

「城塞都市…”ケルヌーン”だな」


メル:

「…しゅっぱつ」


ゼファ:

「ああ!…いざ、荒野の果てへ!!」


メル:

N『砂煙を巻き上げ、

希望の欠片は西を目指す…

遠く…遠く…やがて影となり、

地平の彼方に消えたとしても

この物語は終わらない…


だって、私達の旅はまだ

はじまったばかりなのだから』





《第一章》ギアス~はじまりの鼓動~完

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