第17話 過 去

菜々子さんと帰る車内。


俺は、菜々子さんが運転する中、いつの間にか助手席で眠っていた。


彼女・紫尾川さんに何かを呑まされ、体に違和感があったものの、安心したのか、すぐに眠気がきた。


多分、身体に危害のない微量程度の興奮剤を睡眠薬に混合させたのだろう?


彼女は裏社会の知人がいるという話も聞いていた。



その間、俺は夢を見た。


俺が当時、付き合っていた同級生の彼女の夢だ。


その記憶が蘇るかのように……





「ねえ、裕斗。もし私が死んでも恋はしてね。例え年がどれだけ離れていても……だって恋愛には年の差なんて関係ないから」


「俺は君以外の人なんて現れないと思うけど~?」


「何言ってんの?現れるよ。まだまだ人生は、これからなんだよ?」


「俺は、ずっと君との人生を歩むんだよ」


「そう?ありがとう。だけど約束して欲しいな?もしもの時を考えて恋はするって」


「分かった。約束するよ」


「ありがとう。私…裕斗に会えて良かったよ」


「改めて言わないの」




そんなある日────




「私が病気じゃなかったら良かったのにね」

「あいり」



彼女は持病があった。


入退院の繰り返しの日々だ。


そんなある日、彼女は事故に遭う。

応急措置をするも合併症を引き起こし


ある日、彼女の病室に向かっていると病院が慌ただしかった。


そこの病院は大きいけど、静かな日は静かで何もない日もある。




「あいり、あいりの大好きな…」



俺は目を疑った。



まさかの状況に──────




看護婦や医師が彼女のベッドを囲んでいた。



「…あいり…?」



彼女は還らぬ人となった。




その後、日本行く話が出た。


俺は、これを機に日本に行く事にした。


そして、彼女に出会った。


美人な人だな~。見た目の雰囲気で思った事だった。


それから学校と家の彼女の姿。


一日一緒にいるのと変わりはしない。


彼女の色々な所を見て、いつしか彼女を一人の女性として見るようになった。


だけど、目立った行動は避けたい。


普段通りに毎日を過ごしていた。


そして徐々に、お互いの身の回りに異変が起き始めていて、魔の手によって身の危険を感じ始めていた。


それが今の現状だ。


家に戻り、部屋に移動。

俺はベッドに横になっていた。



「裕斗君、大丈夫?」

「菜々子さん…すみません…ありがとうございます」

「ううん。何か飲み物、持って来るね」



部屋を後に出て行ことする私の手をグイッと掴まれた。


ドキン



「裕斗…」




グイッと再び引き寄せられると、抱きしめられた。




「…裕…」



キスされた。




ドキン



「傍にいてほしい」



至近距離で言われ私の胸がドキドキ加速する。


そして、私を布団の中に引きずり込ませ、再び抱きしめられた。


私の胸は更にドキドキ加速。




「菜々子さん…」

「…何?」



顔をあげると、オデコにキスされ、唇にキスされた。


そして、深いキスをされ、私の上に体重かけると首筋に唇が這う。



「さっきの事…継続していい?」



ドキン



「…えっ…それは…えっと…」




「…………………」




キスをされ唇が離れるも、すぐに唇を塞がれ深いキスをされる。




「…裕斗…君…私…こう見えても…」


「…うん…俺に身を委ねて…1つになろう…」


「裕斗…君…ま、待って…やっぱり、だ、駄目だよ…私達…」


「…好きな人を目の前にして…」




ドキン



「ここは学校じゃないし先生と生徒でいなきゃいけない理由ないよ?…誰にも邪魔はされない…」



「…………………」




私は裕斗君の両頬を優しく包み込むように触れる。




「…ひろ…」




キスをされ深いキスをされ、私は裕斗君に身を委ねた。




「実は前付き合っていた彼女…他界したんです」

「えっ…?」


「持病もあって…入退院の繰り返しで…ある日退院した彼女は、その後、交通事故に遭い合併症を引き起こして還らぬ人になってしまって……」


「…そう…だったんだ……」


「はい。その後、日本(こっち)に戻る話があって…戻って来てから、菜々子さんに出会いました。美人な人だな~って思ったのが第一印象でした」


「…えっ…?そうだったんだね」


「はい。同居人として、学校も一緒で…しかも担任なんて…運命のイタズラと言うべきか…彼女が引き合わせているんだか分かりませんが…偶然の重なりが立て続けて起こった事に驚くばかりでした」


「確かに、そうだよね…私も驚いたけど…」


「菜々子さん」


「何?」


「改めて…俺との事、考えて下さい!」


「えっ?」


「菜々子さんが好きです!」


「裕斗君…」


「返事はすぐにとは言いませんので」




私は裕斗君の両頬を優しく包み込むようにするとキスをした。




「待たなくても…私も裕斗君が好きだから」


「えっ?菜々子…さん…」


「これからも改めて宜しくお願いします」


「はい」





私達は正式に付き合う事になった。



だけど、学校では先生と生徒。


その距離感をきちんと保ちながら─────









~ THE END ~





長い間、待たせてしまいました。


ご愛読ありがとうございました。


読んで下さった皆様、ありがとうございましたm(_ _)m




















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同居人~先生と生徒~ ハル @haru4649

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