行きずりの男と女

@h-d-o

出会い,そして…

 

 今日、女は久しぶりにステディな関係の彼氏とデートの約束した日で、逢える事に期待が高まり下着も彼のお気に入りの物を身に着けてきた。

女は彼と食事やお酒を済ませた後はホテルで思う存分抱かれる事を想像していたのだが、待ち合わせ場所で携帯に彼から急に急用で会えないと連絡があり口論になった。

 (急用ですって? なによ、私の気持ちも知らないくせに…)

今日は彼に抱いて欲しくて欲求不満を解消させるべく自身の体調(生理日)も考えて逢う日を決めたのだった。

 女は怒りは収まらず当てもなく街中を暫く歩きまわり、気持ちを静めるために看板が目にとまったバーに入り、カウンターの隅の止り木に座ってカクテルを頼んだ。

何杯目かのお代わりの時に中年と思われる男性が入店して来た。

男は空いているカウンターの仲程の止り木に腰かけた。

スーツ姿で手提げ鞄を持った男性に女の目は釘付けになった。

男の背格好や顔立ちが彼氏に似ていたので思わず動揺を覚えたのだった。

 (えっ、彼?そんな事はないわよね…)

自分の思いに反して、照明を落とした薄暗いバー内では見間違えても仕方なかった。

離れた場所から女は長い事男から視線を外さなかったが、男がマスターに飲み物を オーダーした際に一瞬だがお互いの視線が交差した。

女は咄嗟に視線を逸らせたが、男はマスターに何事か言葉をかけると止り木から離れ て女の近くに来た。そして、

 「此処よろしいですか?」

と、隣の止り木を指差して言葉をかけられ、女は男に笑顔を見せて首を縦に振った。

男は女の隣に座ると、

 「お一人ですか?」

 「ええ、今日はたまたま…」

男の問い掛けに女は返答を濁らせた。

初対面で素性の判らない男に直ぐに打ち解ける事は出来なかったのである。

他愛のない会話にのめり込み、杯を重ねるごとに何時しかお互いの心の中にに踏み入った内容まで話し込んでしまった。女はいつの間にか面白い男への警戒心が解けてきて、彼氏への怒りの気持ちが穏やかになっているいる事に気がついた。この男との会話が自分のすさんだ心を鎮め、楽しいと思える時間を過ごせていた。

 「もうこんな時間か、そろそろ…」

男がそう言うと止り木から立ち上がろうとした時に女が、

 「あの~、明日はお仕事かしら?」

 「いや、出張は今日までで明日は休暇、でも明日には帰らないと…」

 「どちらから来られたの?」

 「関西なんです」

これを聞いた女は目を輝かせて、

 「ねぇ…、よかったらもう少し貴方の事知りたいな?」

 「えっ?」

女の強引な誘いにたじろいた男だったが内心、

 「いいですよ、喜んで!」

 (明日帰ればいいんだ、今夜はもしかしたらこの女と…)

と、下心を湧き上がらせ 期待に胸を膨らませて会計を済ませた。

 バーを後に繁華街を歩いて男は次の店を探し、あるスナックを指さすと女は、

 「二人っきりになれるところがいいわ、いいでしょ?」

女は逢えない彼氏の事でやるせない心をこの風貌のよく似た男で疼いた身体を慰めようと思ったのだ。悪い男ではなさそうだと感じた女は男に腕を絡ませるとネオン輝く繁華街へと足を運んだ。

 (オレの思った通りだな…、でも、美人局?じゃあないよな)

男は一抹の不安を駆られたが据え膳食わぬは男の恥とばかりにこの女に賭けてみた。

 林立するラブホのある繁華街から路地に進む。地方から来た男には初めての場所なので女に従うしかなかった。少し歩くと小綺麗なラブホを指差して男の顔を見てウインクした。男は頷いて女に従って入った。部屋を決めると手を繋いでエレベーターが来るのを待った。選んだ部屋は3階だった。


 部屋に入ると男は女の背後から抱きしめて身体を密着させた。そして、男は女の髪の香りを嗅ぎながら既に力を蓄えつつある下半身を女のヒップに押し当てる。

 (エッ何か?えっ、これもしかして…すっ、凄い…)

女は男の行為から逃れず、目を閉じて“男”の感触を楽しんでいるようだった。

男は背後から抱いている手で女の豊かな胸や下半身を撫で回した。やがて、

 「あっ、ああ~…」

と、湧き上がる快感に喘ぎ声を洩らす女。

男はゆっくりと女の身体を自分と向き合う方向に変えると目を見つめた。

そして、女の潤んだ瞳を見て顎に手を掛けて顔を上向かせ、唇を近づけた。

男の唇は軽く女の唇に触れて反応を見てから改めて唇を合わせた。男の舌が閉じている女の唇を割って侵入していく。そして、それは生き物のように女の口中を動き、女もそれに応じて舌を絡ませて両手で男の首に巻き付けて抱きついた。

男は女の豊かなヒップを撫でながら更に硬度を増した分身を女の下半身に押し付けた。女もそれに反応し、快楽を貪るように自らの腰を密着させて動かしてきた。

長いキスと抱擁だった…

 

 唇を離すと、女は荒い息使いををしながら男の首に巻き付けた両腕を解かずに目を

閉じて身体を振るわせて男に頬を擦り寄せて身体を預けている。

男は女のスカートをたくし上げると、膝頭から大腿やヒップまで優しく撫で上げた。その手が女の股間へ伸びて中心部を擦りはじめると、女はその手を掴んで動きを止めさせ、

 「お願い、シャワーを使わせて…」

と言うや、逃げるように浴室へ行った。

女は昨夜、久し振りに会える彼氏を想い何度も自分を慰めたが、彼氏に裏切られた気分の時にこの男と出会い、男から少し愛撫されただけで恥ずかしい程濡れていて、彼氏の為に穿いてきた勝負下着が凄く濡れてしまっているのを知られたくなかった。

 

 女がシャワーからバスタオルを身体に纏って出てくると交替して入った。本当は

女の後を追って入り、女の裸体を目に焼き付けたかったのだが、初めて合う女であり、この後思う増分、見たり、抱いたり出来る事を思って自重したのだった。

 (今日はツイてるぞ、あの豊かな胸、細いウエスト、そしてアソコもさぞ…)

男はシャワーを浴びながら想像し、硬くなったペニスを石鹸を付けた手で洗いなが ら扱くと更に硬度を増して天を衝くようになった。男は妻とレス状態が数年続いて

いて、女性と関係を持つのは久し振りなので興奮してしまっている。


 男がシャワーから出ると女はバスタオルを着けたままベッドに腰かけていた。その隣に座ると、抱身体をあずけてくる女をき寄せて唇を重ねた。キスしながらバスタオルをはぎ取ると下着は着けてなく、綺麗な形をした豊満なバストが顔を現した。その膨らみに手で覆い優しく揉みしだいた。女は目を閉じて口中に差し入れた舌に自分の舌を絡ませてくる。時々女は喘ぎ声を発し、顔色が紅潮してきたのでベッドに横たえた。男も女の傍らに横になって再び唇を重ね、身体を隅々まで撫で回した。女は顔だけではなく上半身までもピンク色にさせ探し物をするかのように男に手を動かしてきた。女の欲求を察知して身体の位置を変えて勃起したペニスを握らせ、男も女の股間に手を伸ばした。しとどに濡れそぼったクレパスに指を挿入して膣襞を擦ると、

 「あっ,あ~ん…、い、い、いいわ、逝っちゃう」

と、喘ぎ号を発して荒い呼吸をしながら身体を痙攣させた。

 (えっ、もう逝っちゃうの?お楽しみはこれからなのに…)

女が落ち着くのを待って、再び手をクレパスに這わせ狭間や両大腿を撫で、恥ずかしそうに顔を覗かせているクリトリスに刺激を与えると大きな声を上げ呼吸を乱して激しく身体を痙攣させて2度目の絶頂を迎えたようだった。

 ペニスを握ったまま呼吸を整えた女はトロンとした目で起き上がるとペニスを見つめて顔を近づけ、舌を出して舐め始めた。亀頭部分に舌先を這わせたり口に咥えると根元まで飲み込みリズミカルに顔を動かせた。

 男は女にペニスを咥えさせながら身体を仰向けにした。そして、女を上に載らせて下半身を顔の前に引き寄せた。足を開かせると愛液を湛えたクレパスが開き気味に待ち構えていた。女はこの体位になってもペニスへの刺激を止めずにいた。男はクレパスの下で完全に露出したクリトリスに舌をそよがせた。

 「あっ、あっ、あ~ん」

瞬間、そう短く叫ぶとペニスを外して身体を仰け反らせて痙攣して倒れ込んだ。男は更に開いて動めくクレパスの陰唇に舌を這わせ、尖らせた舌先を愛液が溢れ出るクレパスの中心部に差し入れた。膣口の中に入った舌は生き物のような動きで女を何度も逝かた。

 「お、お願い…、もう…これ…頂戴、我慢できないわ!」

女は逃れるように男から降りるとペニスを握ったまま男の下半身に跨った。愛液で潤んだクレパスに亀頭部分を擦り付けて湿らせ一気に膣口に押し入れた。硬いペニスで膣壁を押し広げるように静かに腰を下して根元まで飲み込んだ。

 「あ~、いい~、いいわ…、そうよ、これが、これが欲しかったの…」

目を閉じた女はそう叫ぶと繋がった腰を上下、左右、前後はたまた円を描くように動かして快感が得られるところを探しているようだった。男は高まりゆく女の表情を観察しながら指で勃起して硬くなった乳首を揉み解し、もう一方の手でクリトリスに刺激を与えた。女の腰の動きが早まり、胸や顔を紅潮させて荒い呼吸をしながら何か叫んで男の胸に突っ伏した。呼吸が静まるのを待って男は女のヒップに手をかけて浮かせると激しくピストンさせると繋がった部分からはジュポ、ジュポと卑猥な音を立てた。その音によって女は直ぐに高まりの頂点に達したのかまだ紅潮している顔を仰け反らせてガクガクと身体を痙攣させた。女を降ろすと仰向けに横たわらせ両足を広げてまだ硬度を保っているペニスを挿入し、ピストンを開始した。

 感じ易くなっているのか女はまた直ぐに喘ぎ声を挙げて仰け反って両手で枕を力強く掴んで何度目かを迎そうになっていた。男も限界を感じてコンドームを付けようと動きを止めて ペニスを抜こうとしたが女は、

 「いや~、抜いちゃあいやよ、このまま中に出して~」

と叫ぶやペニスを抜かせまいと男の下半身を両足で挟んでロックした。

 「いいの?本当に中に出して…」

 「ええ、今日は安全日なの…、だから中に頂戴…」

男はその言葉を信じてペニスを挿入したまま改めて女を抱きしめ、口付けして舌を絡ませ合った。その後上半身を起こして女の足を広げ持つと、

 「じゃあいくよ…」

と言いながら最初から激しく動いた。、それは力強く膣壁を何度もえぐった。

 部屋中にその動きによるパン、パンと腰を打ち付ける音と共に女は歓喜の渦に引き込まれているかのように絶叫を挙げ続けた。我慢に我慢を重ねていた男も放出を迎えた時の発する雄叫びが響き亘った。こうして、二人はお互いの目標を達成した。

 

 二人は全裸のまま抱き合い充実感のもと深い眠りについた…

 

 翌朝、一夜を共にした初対面の男女は二人共感謝し合ってお別れしたのだった。


 男は出張地での思いがけない出会いに満足し、女も彼氏の代役を見つけて身体の疼きを解消させて楽しんだのだ。

 

 

                                     完










  












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