エピローグ
数か月後、夜葉の刑が執行されたというニュースを見た。聞いたこともない速さだけれど、罪の大きさに加え本人が事件を詳細に語ったおかげで、速やかに調査、裁判が行われたことも大きいみたい。
あれ以降、時間の巻き戻りは起こっていない。平凡で憂鬱な毎日を過ごしている。夜葉と話をするために、ときどき飛び降りようとも考えてしまう。今も時間が巻き戻る保証はないけれど、でもきっと時間は巻き戻るんでしょう。だって、命を絶とうとするのはあの出来事が理由で、それは私の運命ではないはずなのだから。
……そうよね、戻るのよね。夜葉に会いたい。会って話をしたい。あの日を繰り返していた時ほど死に恐怖がないわけではないけど、今日は珍しくそれよりも話をしたい欲の方が強い。夜葉と話ができると思えば怖くない。ベランダに出る。下を見ながら飛び降りる勇気はないかな。手すりに腰掛ける感じで後ろに倒れよう。
月の光は、夜空を見上げた朝妃の身体と血溜まりを、静かに照らしている。
目覚めの天井 @monochros
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます