アイデアは常識に囚われるなッ!

 アイデアの発想は、常識に囚われているとダメになることが多い。

 別に、この回は読み飛ばしてもらっても構いません。

 ただ、常識で、物事を考えるなと言いたいだけなので。


 その一例を出します。


 私は当時連載していたラブコメのデート回で悩んでいました。


「うわぁ……どうしよう。今回で通算デート回……十回目だわ……」


 ラブコメを書いていると、同じイベントを書くことが多々ある。

 特に、学園ラブコメになると、学園系で必ず避けては通れない修学旅行や、文化祭と言ったイベントを書かなければならない。


 そんなラブコメ系で、最も書かなければならないのは——。


 デート回なんです。

 特にハーレム作品なら、ヒロイン全員とデートさせないといけない。


 最初の一回目は、誰でも書けるのよ。誰でも面白く書けるの。

 で、二回目も、まだまだ書けるの。

 でもさ、それが、三回目、四回目、五回目、六回目……となると。


「うぎゃああああああああああああ。デート回が書けないぃぃ!!」


 って、感じになるんだよな。

 書こうと思えば、書けるよ。

 でもさ、前回と同じとか、前作と全く同じ展開にしたら……。


『あ、この作家って……引き出しの数が少ないな……あのときと同じ』


 って、思われるかもしれないし、私自身のプライドが傷付くんだよ!!


 実際さ、少年漫画のデート回を読むと、ダイジェスト形式が多い。

 1〜4ページ楽しいデートシーンが描かれたあとに……。


「あぁー今日は楽しかったねー」「うん、意外と楽しかったな」


 みたいな話の流れに大抵の場合ならないかな??


 かと言ってさ、小説ではデート回をかっ飛ばしできないでしょ??


 んで、そのときに——。


 どうやったら、このデート回を面白く書くことができるのか??

 というのを、頭の中で考えまくったのよ。どうすればいいか。

 どうすれば新鮮さ溢れるデート回を、書くことができるだろうか?


 そして——。


 根本的な部分から考えたみたの。


「結局、デート回で何をしたいたんだろう?」と。


 その答えは——。


——主人公とヒロインの絆を深めたい——


 ならば、別に常識的なデートじゃなくてもよくない??


 デート回を、普通のデート回じゃなくしたらどうだろう??


 と、思い立ったわけよ。


 『デート』と聞いて連想するアイデアは、待ち合わせして、適当に街をブラブラ歩いて、そして最後にはお別れして……みたいな流れじゃない?


 でもさ、その普通の考えをやめたの。

 ストーリーが面白くなるように、デート回を作り替えたの。


 別にさ、デート回で樹海に行ってもいいし、昆虫採集してもいいし、幽霊屋敷に突撃したり、無人島に遊びに行って遭難してもいいし、謎の美少女に頬っぺたをキスされて、ヒロインと気まずくなってもいいんだよ!


 とにかく、面白ければ、何でもいい。

 誰かが書いたことがあるようなデート回よりも、斬新で面白いと思えるようなデート回を書こう。絶対にそっちのほうが面白いはずッ!?


 そう思うようになって、アイデアの引き出しが格段的に上がった。

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