第四話 耳原病院事件と、似て非なるフェーズ

①父の耳原病院での医療事故死と、執拗なパワハラが原因による息子正五郎の死。病院内部での隠蔽派と良識派の正確なパワーバランスは部外者である私には知りようがないのであるが、目に見える形というか、現象面に現れた隠蔽派と良識派の葛藤は十分すぎるほど、私には認識できるものだった。以前も述べたように、耳原病院事件における隠蔽派の急先鋒は医療法人の理事でもある事務長と総婦長(看護部長)だった。そして順心病院における隠蔽派の急先鋒は、私の知る限り、パワハラ医Kと事務長である。


②「ご連絡ありがとうございます。順心病院 栗原理事長とよくよく相談して現場復帰できるようにしてください。私もがんばっていきますので」


③ 上のメールは、正五郎が亡くなる二日前に、良識派の先輩ドクターから送られてきたメールである。脱力感に襲われ、一日の大半を寝て過ごした日の夕方、ようやく体調も良くなり、気力も充実してきたのであろう。良識派のドクターの方に、12月からの職場復帰を伝え、母親をあきれさせた日に、そのドクターから送られてきたメールである。我々は早くとも翌年1月からの職場復帰を考えていたので、12月からの病院復帰は母親から問題なく、正五郎は却下されてしまった。いずれにしても、正五郎は親しい先輩ドクターに12月からの職場復帰を伝え、彼からいただいた返信のメールが先のメールであり、温かい心遣いが見て取れる文面である。


④さて、ここからは第四話のテーマである〈耳原病院事件と息子正五郎が受けた執拗なパワハラ事件。その似て非なる点〉について、具体例を挙げながら、二つの事件の類似と相違点を検討していく予定であった。が、審査請求を受理してくれた兵庫労働者災害補償保険審査官の方から戴いた書面の内容を熟読した結果、そんな悠長なことをしている場面ではないと理解し、第四話の続きは後日加筆することで、緊急事態ともいえる状況に対処することにした。すなわち、未支給の休業補償給付不支給処分取消審査請求事件について、私が意見を述べたいのであれば、令和5年2月13日までに審査官に申し出るようにとの通知が、令和5年1月30日付で届いていたのだ。弁護士事務所に任せきりにしたい案件で、内容的にも正五郎の診療結果は詳しく読みたくもなかったので、流し読み程度で放置しておいたのだが、三日前から読みだして、あまりの内容にまず、愕然としてしまった。現在、令和5年2月11日。昨夜はほとんど眠れなかったが、タイムリミットに急かされ図書館へ出てきて、審査官へ提出する意見書の作成に取り掛かっている。次の第五話に審査官へ提出する意見書として、まとめあげ、読者の方に読んで貰って、それの清書したものを審査官に提出して、審査請求に対する裁決を下す際の、参考の用に供していただくようにしたい。

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