第23話目 敗北

(何をやっているんだろう本当に何をやっているんだろう)

地面にめり込んだままそう思う。


「なんじゃつまらん。妾の事を楽しませてくれるんじゃ無かったのか?」

「そんな事は一度も言ってない」

『だがお前が逃げて良いことにはならないよ』

「わかってる、わかってるんだでもさもう勝ってこ無いじゃん」

「お主誰と話しておるんじゃ?」

「だって力の底を測れないほどの強者だぞ勝てるわけないじゃん」

『いや知らんて戦えそして勝て』

「無理すぎるだろって!」


それでも立ち上がる。


「ずっと一人で喋ってお主頭大丈夫か?殴られすぎておかしくなったか?」

「大丈夫じゃないよ」


その時少女?は背中がゾクッとした。


「いいのういいのうならば存分に殺し合おうぞ!」

「一方的な虐殺の間違いだろ!」


互いの拳がぶつかる。

結果は言うまでもない少年の負けだそのまま顔面を殴られ吹っ飛び壁にぶつかる。

と言うかめり込む。


「ガハッッッッ!」


口から血が出る殴られたところが腫れている。

それでも壁から出ていき立ち向かう。


「ハッ!そうでなくてはつまらんぞ」

「こっちだって負けてられないんだよ!」


何故少年は動けるのだろうか。

全身の骨が折れ一部内臓に突き刺さり右腕はもう動かないそこまでして何故いまだ挑みつずけるのだろうか、だがそれも限界が来る少年は立っているのが精一杯で指の一本すら動かせない。


「俺は……まだ…死ぬわけにはいかない……」

「もう無理じゃろよく頑張ったよ主はせめてもの情けだ妾が名前を聞いてやろう」

「—————だ」

「いい名ではないかならばこちらも名乗ろう妾はクレナイと言う—————よ今楽にしてやろう」

「はっ!お前に……出来るか…よ」

「いつまでも強気じゃよ一体それがいつまで続くかな?」


少年の目の前に手が現れ死んだと思った次の瞬間声が聞こえたクロノスでも誰でもない声だけど今までよく聞いてきた声が聞こえた。


『エマージェンシーエマージェンシー復讐の女神の使徒が絶命の危機を検知、早急に原因の排除を開始、意識を切断しオートモードへ移行します。オートモード開始これよりデストロイ

「なっ!」


少年が何かを言う前に意識が途切れる。

クレナイは手応えを感じなかったしっかり殴ったはずなのに殴った感触がしなかった。

後ろから不意に機械のような声が聞こえる。


「あなたを滅します」

「なっ?!」


後ろを見るとそこには少年はいたがどこかおかしい見た目はそこまで変わってはいないが別人にしか見えない。

がそんなことを考える時間を少年?はくれなかった。

いつのまにか腹に刺さっていた手が抜かれ今度は腕を切り落とそうとする。

すぐに右腕を引こうとするが切る方が一手はやかったため右手を捨て距離を取る。


「はぁはぁびっくりした。なんだ急に別人みたいになって。いやと言うかお前誰じゃ?」

「答える義務ありますか?」


間合いを一気に詰め二等分に切ろうとするが難なく避けられる。


「最初はびっくりして反応出来んかったがもう反応できる」

「そうですか。アーカイブに接続見た目から敵を検索……結果【原初の紅クレナイ】と判明勝てる確率0%

プランを変更【リベンジ】を使用する」

「今度は何をしようと言うのじゃ無駄無駄」

「これをやった後は彼の魂にズレが生じてしまうのでやりたくは何のですが滅するためにはしょうがないですね。【未来から復讐の前借りリベンジ】」


その瞬間黒い霧のようなものに包まれる。

未来から復讐の前借りリベンジ】とはスキル【リベンジ】の真名である。

詳しい事はおいおいね。

ともかくこのスキルを使うと未来の自分の力を前借りできる、だけどデメリットもあって前借りできるのは一人一回まで例えば20年後の自分の力を借りたらもう20年後の自分の力を借りる事は出来ない、それに一度負けたと心の底から思わなくちゃいけないんだじゃないとこのスキルは使用できないまあそれ以外にはデメリットはあまり無いから強いとは思うよ。


「なんじゃこれわ。殴っても蹴っても切り裂いても全くはらえん中で何が起きているんじゃ?」


霧が晴れる。

ゾッとする何故かそれはさっきまでと何かが違うからだ。

今すぐに殺さなければいけないと思わせられる。

霧から現れた何かを殴る。

だが指一つで止められる。


「復讐叶わず10年我が右は血に染まり我が左は傷に染まる消えわしない無くなりはしない変わりはしない【黒黒黒刻ダークロノス】」


黒かった真っ黒なだったまるで宇宙みたいにそれが空間を侵食していった。

あれに触れてはいけないと本能が告げている逃げろとだが逃げようにも散々少年を殴って至る所にぶつけてきたので出口が塞がってしまっていて逃げ場がない。

腕に纏わりついてきた。


「なんじゃこれわ!はがせん」


剥がそうとするが接着剤みたいに貼っついていて剥がせない。


「夢を見ていたかった幸せな夢を悲惨な現実ではない鏡の世界そんな幻想の中にいたかった【幻想鏡げんそうきょう】」


いくつもの鏡が現れる形は様々で四角だったり丸かったり三角だったり、その鏡すべてがクレナイを映す。


「今度はなんなんじゃ?!って動けん足にまで纏わりついておる?!」


いつのまにか宇宙みたいななにかは足にまで纏わりついていて身動きが取れなくなってしまった。


「【復讐リベンジ】」


そう言った。

クレナイの意識は完全に無くなり魂は消滅したそして少年はその場に倒れ込み【未来から復讐の前借り《リベンジ》】の代償を払う。


「お前が……」「クロノス!」「やめろー!」

「なおとー!」「死なないで」「逃げて!」

「止まるな!」「お前が…最後の……希望だ」


「はっ!夢……なのか?なんだったんだ今のは妙にリアルだったけど」

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怪物農家〜農業してたら勝手に強くなるなぜ?〜 @kakukaki

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