背丈よりも長い金色の髪に、真っ白いドレスを纏った乙女が、ユニコーンに乗って陽の光に輝く森を駆け抜ける……実に王道な、ハイファンタジーの幕開けです!
フェルカの森の乙女と呼ばれるシャロンウィンは、賢者サリヴァンダーが残した言葉によって、ロンデルフィーネ王国の救世主としてアルトリア王のもとに招かれます。
ロンデルフィーネ王国に迫るのは、隣国コールボールを掌握した魔女のメルダイン、その力はおろか、自分の力もよくわからないシャロンウィンは、恐れ、迷いながら、それでも優しい人たちに応えようと、健気に立ち上がります。
シャロンウィンと、初めての友達になる少年ジャール、隣国コールボールの王子ブランデンの初々しい三角関係(?)に、アルトリア王の過去にまつわる悲劇、そして不気味に蠢くメルダインの影と、着々と深みを増す物語も目が離せません!
人里から離れて暮らしていた魔法を使える少女が、とある国を侵略してくる魔女と戦う物語となりそうです(レビュー時、現在進行形)
個人的には、少女がこれまで暮らしていた森に思いを馳せながらも、自分の使命をまっとうするため国に残ると決意するシーンの描写がとても好きです。
無垢な少女が、森の中の「もの」を言葉を介さずとも理解し、生きてきた情景を短い文章でとても美しく、愛おしく表現されています。
一方の魔女側は、良い意味で非常にわかりやすく狡猾で知恵も力もある「悪」として描かれています。
両者がどういったかたちでぶつかっていくのかが見どころになるのかと思います。