第3話 後書きです「後工程はお客様」「治具」
生産ラインに入ったときに言われました。
「後工程はお客様」
これは自分の作業が終わったら次の工程、作業の人にはお客様だと思って製品を流しなさいとの意味でした。
前方からベビーカーが流れてきます。
最初は前工程のチェックをします。
一瞬でプロはします。
前方の作業が車輪をつけるものだったら、その車輪がしっかりついているかをチェックします。
おかしかったらラインをとめて直してもらいます。
そして自分の工程を行います。
例えば背もたれを固定するリベットを打ちます。
次の工程はお客様ですから丁寧にしっかりと行います。
次の工程の人は僕の作業をチェックして終わったら作業に入ります。
リベットを打つ順番、リベットの置く位置、リベッターを吊り下げる場所は効率よく決まっています。
そしてミスのないようにも考えられています。
まっすぐにしかリベットを打てないようにリベッターに工夫をされていたり、手順を間違えないようリベットの棚に番号が入っていたり…。
これをポカヨケと言います。
ポカ(ミス)を除ける工夫の仕組みですね。
これも生産部が試行錯誤で考えます。
通常販売していない器具なんかもその作業用に作成したりします。
これを治具(じぐ)と言っていました。
ポカヨケ用の治具や効率的に行うための治具、ボタンの場所決めのためにベニヤ板にボタンの位置だけドリルでくりぬいて作ったものとか、ありとあらゆる治具があり造っていました。
「すごいですね…いや…すごい…」
大学時代ヨット部だったので、ヨットって修理しながら乗るようなものでしたので、リベッターとか昔から使っていましたが、こちらの工具がすごいのと、治具なんてものがあることに、その多さに驚きました。
「そうかな…」
高橋さんもラインの“お姉さま”も笑っていましたね。
すでにEDP(情報システム室)に配属が決まっていましたが、生産部って面白いな…と感じました。
他のお話でも書きましたが、僕は品質管理部に配属された吉沢さんと6月の半ばまで生産部にて研修をさせてもらいました。
他の営業や営業事務、財務、海外事業部に配属された仲間はGW後にはそれぞれの部署へ行きましたが、吉沢さんと僕は外部倉庫へ行ったりもしました。
今思えば貴重な体験でしたけれど、
「俺たちはいつになったら仕事できるのかな…」
と語り合っていましたね。
了
椿三十郎と工数分析 @J2130
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