地球と僕と君との最後の一日
詩音
世界の終末と二人の恋
「緊急速報です。今日の午後1時26分、地球に
そのニュースが報道された瞬間から世界は大混乱に
明日が地球最後の日だ。つい先日、緊急速報で地球に隕石が落ちてきていることがニュースで報道された。その報道を信じて絶望感に
僕はそのニュースを知ったのは、学校の授業中で隠れてスマホを見ていた時に知った。だけど、その時はそんなわけあるかと流石に信じなかった。学校から帰宅してテレビをつけてみるとどの番組もその隕石について報道していた。
それから隕石が落ちてきていることが本当なんだと分かった。
今日は仲の良い親戚や友達に最後の別れの
目覚ましが鳴っているのを止めて、重い体を起こす。今日はいよいよ地球最後の日だ。本当に隕石が落ちてきているのかはこの世界のお偉い人にしかわからない。なぜなら、僕たち
隕石が落ちてきていても世界は活動しなければならない。発電所や刑務所、警察署、学校、スーパー、などは営業しなければならない。しかし、今日だけは誰もが自由に行動しているだろう。隕石など落ちてくるわけないと、仕事に
家から出る。家族には少しの間だけ散歩してくると伝えたが帰るつもりはない。家族には申し訳ないけど、僕は家族よりも最後を過ごしたい大切な人がいる。
大切な人との待ち合わせ場所の公園に着いた。
彼女はブランコに座っていた。
「おはよう」と僕は挨拶をする。
「おはよう」と彼女は答えてくれる。こんな当たり前な挨拶でさえ今は特別に感じる。
これからの予定はもう決まっていた。彼女との思い出のある場所に行くことになっている。まずは彼女と初めて出会ったところである中学校に向かった。
彼女は僕とは釣り合わないくらい
中学校には職員さんが一人いた。やはり今日は誰も登校してきていないらしい。僕と彼女も知っている、昔からこの中学校で働いている職員さんだ。こんな日も働いているなんてこの学校が好きなのか、もしくは真面目なんだろうなと思った。職員さんに教室を見回りたいと言ったら
「今日は特別だよ」と校内に入れてくれた。
以前授業を受けていた教室に
「
「私、
「どうして?」と彼女に問いかけた。
「あの時、同じクラスになってなかったら、今一緒にいないかもしれないから。」
「そうかもね」
「おいおい、そこは同じクラスになってなかったとしても一緒になってたよって言うとこでしょ」と彼女はツッコんだ。
「ごめんごめん」と僕笑った。彼女も
僕が修学旅行中に班行動をしなければいけないのにそれを抜け出して彼女に会いに行ったりしたことなど懐かしい話をした。当時の彼女は僕のことが少し苦手だったらしい。それから、体育館やプールをまわったあと、中学校をあとにした。
隕石は夜の午後十時頃に落ちてくるらしい。今は午前十時だからあとちょうど十二時間くらいだ。そんなことを考えていると、お腹が空いていることに気づいた。
「お腹空いたから何か食べない?どこか開いてる店を探しに行こ」と彼女に
「お弁当作ってきました!」と彼女が
中学校の近くに広い公園があるからそこで食べることにした。公園のベンチに座る。彼女が作ってきた弁当を開けると唐揚げや卵焼き、ブロッコリーにトマト、アスパラガスの肉巻きなどが入っていてどれも美味しそうだ。
「いただきます。」と言って唐揚げを口に
「もしかして口に合わなかった?」と心配そうな顔をして言ってきた。
「いや、美味しすぎてなんか感動しちゃってさ」
「なにそれ」と彼女は笑った。
「ごちそうさま」
「おいしかった。ありがとう」と彼女に感謝を伝えた。
「うん!」と彼女は満足気にして返事をした。
次は公園からは少し離れた、彼女と初めてデートした遊園地に向かう。
遊園地に着いた。従業員がいないので遊園地は営業してなかった。
「やっぱり開いてなかったかー」
「どうする?」と彼女が聞いてきた。答えはもちろん一つしか思い浮かばなかった。
「不法侵入します!」と彼女に言った。僕たちも犯罪者の仲間入りだ。誰もいないようなので入ったことがバレることはないだろう。
「了解です!」と彼女もかなりノリ気だった。
入場するところを飛び越えて入ると、懐かしい景色が目に映った。
「一、ニ年ぶりだね」と彼女は言う。
「うん。全然変わってない。」
この遊園地は僕たちが生まれる少し前にできたらしい。だから乗り物は新しいわけではないけど初めて彼女と来た時はなぜかどの乗り物も
それから、回らないコーヒーカップや動いていないジェットコースター、営業していないフードコートをまわって、彼女と当時来た時の思い出話などをした。
動いてない観覧車に座って
「本当に隕石って落ちてくるのかな?」と彼女は言った。
「わからない。でもきっと明日は来るよ」
「そうだよね、」と彼女はどこか不安の
少し暗くなってきた。冬に近づいているのがわかる。少し肌寒い。残り時間的にも次に行くところは最後の場所になりそうだ。そこは今まで行ったどの場所よりも彼女との二人を感じることができて、静かで落ち着く場所。
僕たちが通っている高校の近くまできた。目的地は高校の裏にある山の
「夜の山は少し
「確かに」と僕は余裕があったので笑って見せた。
少し
「やっと着いたね」と彼女は伸びをする。
山の頂上に登る道は階段があって登りやすいが、体力的な面で疲れた。
「綺麗」と彼女が
ここからは僕たちの育ってきた町が見える。あまり都会とかいではないがそれでも家の明かりがイルミネーションのように綺麗に光っている。
「爽くんあと少しだね」
「うん」
「
「ん?」
「好きだよ」
「私も好き。爽くんと離れたくないよ。」
麗奈は泣いていた。僕も彼女も死は怖かった。僕は今にも
「爽くん。
「もちろん。来世でも僕はきっと君に
「約束だよ。」と麗奈は微笑んでいた。
「うん。」
麗奈の手をしっかり
「麗奈また明日、おやすみ」
「うん。おやすみ!」
目をつぶる。
僕たちが生まれて、ご飯はんを食べて、運動をして、眠って、恋をして、死を迎むかえる。それは、宇宙の歴史からしてみればちっぽけなことかもしれない。だけど、僕たちの
地球と僕と君との最後の一日 詩音 @Shion_minato1106
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