第46話 - 神の後継者

「ここは?」


テシエスは目を覚まし,当惑した表情であたりを見回した。

いくら見ても見慣れないところで、周りには誰もいなかった。


一面光に満ちた空間。

あの前に誰かがいるのが見えた。

彼が自分を呼んでいることを感じたテシエスは彼のそばに近づいた。


「あなたは誰ですか?」


背が高くて短い茶色の髪に涼しい青い目をしたその男は誰だろうか?


「テシエス。あなたを誕生させてシグラ王に任せた後、私たちが初めて会うんだね。」


テシエスはあまりにも驚いた。


「あなたが私を特別にしてくれた神様ですね。」


「そうだよ。その間とても元気だったようだね。 友達もたくさんできたよね?

シグラ王も父親の役割を立派にしたし。」


「はい。みんな大切な人たちです。 すべてが、神様が私をこの世界で生きるようにしてくれたおかげです。」


「偉いテシエス。」


「神よ。あなたが私を特別に創造し、卓越した能力まで与えた理由は何ですか?」


「それはね。 テシエス。」


神はしばらく言葉を止めた。


「その理由はまさに私の後継者が必要だったからだ。」


「まさか私がですか?」


「長い間一人で過ごしているうちに、ある日ふとこんな気がした。 私も人々と一緒に過ごしてみたらどうかな? 神だからといっていつも人々の上に君臨しているよりは……。」


人々が仰ぐ神でありながらも、時には寂しかったんだなと思うと、テシエスは心が痛かった。


「テシエス、もう私の意味がわかる?」


「はい。だから、神と似た力を持った人間で私を創造したんですね。」


「さあ、どうだ? 私の後継者になる?」


世の中にかけがえのない大切な提案を神から受けたが、テシエスは迷わずにはいられなかった。


‘私が神になったら愛する人たちと過ごすことはできないだろう。 空から見下ろすと彼らの消息は分かるが、私はその人たちと一緒に過ごすことはできない。 ところで、寂しい神様を思うと……あ、どうしよう?’


言えないテシエス。どれくらいの時間が経ったのだろうか?


「神様、私は……。」


テシエスの目から二筋の涙が流れた。神はびっくりした。


「こんな私がいたずらに君を泣かせたのか? 私も心当たりはしていたよ。」


「神様、私……私は。」


神は以前よりも柔らかい声でテシエスに言った。



「こうしたらどう? 私がとても寂しい時やあなたに会いたい時、あなたを呼べば私のそばに来てくれるよね? 友達と一緒に来てもいい。 あ、その魔族の名前がミラベルだよね? 君の友達がここに来たらとても不思議に思うだろう。」


「たぶんそうでしょう。」


テシエスはやっと安心した。


神の無限の寛大さが本当にありがたかった。


「神様、ありがとうございます。」



テシエスは目を覚ますやいなや、シグラ王、セルフェとロンド王子、シュピー、ラミとミラベルの嬉しそうな顔に出会った。

みんなシャイルン王国に来ていた。

テシエスもうれしくて明るく笑った。

セルフェは叫んだ。


「テシエス!あなたの明るい笑顔が大好き!」


話の続き。

いつも世界で一番立派な魔法使いになる夢を持っているテシエスは、同じ夢を持ったセルフェと共に広い世界を歩き回り、その夢を実現するための勉強を続けている。

いつかは叶うその日を思いながら。



ロンド王子とシュピーは結婚した。

リルド王国の長男ロンド王子は次男のリンド王子に王位継承権を譲り、シュピーと妖精の森で暮らしている。シュピーは夫のロンド王子に長寿の薬を与え,長く幸せに暮らせるようになった。

ロンド王子は妻の頼みなら何でも聞き入れて、シュピーは妻の役割に忠実で、今では全く寂しがらない。

真実の愛で結ばれたロンドとシュピーは、人間と妖精の長所だけを兼ね備えた美しくて可愛い子供たちを100人も産んだ。

たまに彼らに会うテシエスは驚いたが、天の意思だと祝福してくれた。


アドリベル王国の王と女王になったミラベルとラミ。

王と女王だが、この前ラミ姫の話を一晩中聞いたミラベルは世の中に好奇心を持つようになり、ラミと一緒に冒険をすることにした。

それで、頼もしい臣下たちに王国を任せてよく旅に出る。

ラミとミラベルはネットガルト王国に行き、ペリシス王に会い、彼の歓待を受けた。

その後も二人は冒険を楽しみながらあちこちを歩き回り、言い争いもしながら仲良く過ごした。


シグラ王は今日もシャイルン王国を治めるのに忙しい。

愛する娘テシエスを待ちながら。


-おしまい-

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永遠の旅路 Whitestar @whitestar

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