最終話 新しい自分に生まれ変わった男

神様と女神様のイチャイチャを横目にみながら、


残りの魂の珠を手に取ると、


〈ご主人様、お久しぶりです〉


とサブローの声がした。


「久しぶり、サブローまた宜しくね。」


と声を掛けたが…後の2つは見当がつかない…


どうしよう…


あの時の〈G〉では在るまい…


仲間にしてくれとお願いされたのを殺害した覚があるが…〈G〉から転生するために待機していたとか…ないよな?


と恐る恐るそのうち1つを手に取ると、


〈先ほどぶりで御座います…〉


と言われるが…誰?


〈あー、解りませんよね…ザントです。


それと、お兄ちゃん僕だよ。〉


とドルクの別人格?の声がした。


すると、またザントさんの声で


〈魂の欠片のドルちゃんは、そのままでは転生出来ないから、神様にお願いして一緒にしてもらいました。


俺は、すでにドルクの一部と錬金術で混ざっていて、すんなり一緒になれましたので…


旦那様のお役に立てるチャンスとドルちゃんに世界は嫌な事ばかりじゃ無い事を見せるチャンスを頂けると聞いて待機しておりました。〉


と話してくれた。


なるほどね…では最後は


最後の珠を握ると、


〈……〉


何も喋らない…


「ドルクでしょ?」


と、俺が語りかけると、


〈誠に申し訳ない…


アノような呪いが埋め込まれていたとは…


本当にすまない…〉


と謝るドルクに、


「もう、良いよ…一緒にあのジジィをやっつけに行ってくれるかい?」


と俺が問うと、


〈無論です主様、我が自我を保つ為に産み出しだ別の精神にまで、生きる機会を与えて下さり感謝します。〉


と答えてくれた。


やっぱり、ドルクの心を守る為の別人格だったんだね〈ドルちゃん〉は…


珠の中身が解った所で、


イチャイチャしている神様に、


「そろそろ良いっスか?」


とお邪魔な声をかけてみた。


すると、女神様が、


「ん、もう!…焼きもち?」


と聞いてくる…


「どちらかと言うと、〈胸焼け〉です。


粗方準備が出来たのですが…、


細かい転生についてお伺いしたいので…


宜しくお願いします。」


と言うと、


神様が、


「土屋君の魂に刻まれたスキルの〈異世界言語〉と〈アイテムボックス〉はそのままだけど、その他のスキルは無くなっているから新たに取得する必要があるよ。」


と教えてくれた。


続いて女神様が、


「はい、はーい、次は私ね。


土屋君?には、〈ハイエルフ〉に転生して貰います。


魔力は馬鹿みたいにあるから、私の神力で作った〈スキル図鑑〉をあげちゃいます。


魔力と引き換えに好きなスキルが手に入る、超神様級のアイテムだから無くさないように…


まぁ、捨ててもすぐに戻ってくる機能付きだけどね。


で四体のお供は、ダーリンの友達の地球の神様から地球っポイ〈神獣〉の姿を教えてもらったから、


ダーリンと頑張って作ったんだもん、


ねー!」


と言うと、神様も


「ねー!」


とやっている。


神様が机を〈コンコン、〉とノックすると瓶に詰まったリアルな粘土細工みたいな四神獣人形が〈ポン〉っと現れた。


…7つ珠を集めるタイプの〈龍〉と同じ原理か?…


瓶の中の、


白虎にミー

朱雀にサブロー

玄武にザント・ドル

青龍にドルク


が溶け込むと、四体の神獣が現れた。


女神様が、


「四体には神界で暮らしてもらいますが、


土屋君が〈スキル図鑑〉で〈神獣召喚士〉を取得すればいつでもお出かけできるし、


神獣は大きさを小さく出来るからダンジョンだって一緒に行けるから、


早い目に取得してあげてね。


それと、ジジィ達を殺す為の〈神殺し〉と〈呪い無効〉も全員分お願いね。」


と説明を受けた。


〈結構大変そう…〉


と、心配になりながらも俺は、


「解りました。」


と答えると、


女神様が、


「では、私の神力で転生させるわよ。」


というと、小太り神様が、


「僕の残ってる神様パワーで出来る最大のバックアップ、〈アイテムボックスに食糧とお小遣い〉を入れとくから!


お供の魂の定着とかに使っちゃったから、あんまりサービス出来なくてゴメンね。


でも、


お菓子は多めに入れとくからね!!」


と付け足す…



そして…「いってらっしゃい!」



と、夫婦に送りだされた。



気がつけば街道の側の大木の根元で目を覚ました。


〈あー、なんか懐かしいな、この感じ…〉


ポケットに手を突っ込むと、


『ちゃっちゃと殺っちゃってね。』


と女神様からであろうメモ書きが入っていた。


〈 で、ここは、ドコ…?〉


と辺りを見回しても解らない…


「サラ達が待ってるからチャッチャと片付けよう…」


と呟き、とりあえず歩き出す…





ー これは、自分を変えようとして、予想以上に変わってしまった男の物語 ー



住む世界も身分も…最後には人種までも…



それが彼にとって、幸せだったか?不幸だったか…?


しかし、これだけは胸を張って言える。


そこそこ頑張ったから、


将来寝たきりに成っても思い出す過去は、結構バラエティーに富んだ〈カラフル〉な思い出になるだろう…


ハイエルフの寿命から寝たきりになるのは未だ未だ先だけど…


新しい自分に生まれ変わった男の物語がまた始まる。

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新しい自分になる!とは言ったけど、 ヒコしろう @hikoshirou

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