第4話 そこは終焉、ラスボス戦

GMの想定外の動きによって一時休憩に入った卓、プレイヤー視点にもどりGMと相談タイムに入ることに。


GM「このままの流れだと魔域がこの世界に定着して戦闘なしでセッションがバッドエンドで終わりになっちゃうんでマズイなあと悩んでいます」


青猫あずき「まあ、突発卓で、さらにイレギュラーあったんだしたまにはそういうのも悪くなかと思うよ。でも、それだとAさんが判定あんまりしてないからゲーム的に満足いってないんじゃない?」


プレイヤーA「これはこれで面白い終わり方だけど、せっかく時間取ったんだからクライマックス戦闘くらいはしたいよな〜と思ってます」


GM「ですよね。本当はこの魔神と戦って欲しいんですけど」


プレイヤーA「やっぱりそういうシナリオだよね?」


青猫あずき「じゃあもうさあ、異界の神ラーリスの口を借りて『こうして欲しい』って言うしかなくないですか?」


GM「……汝の為したいようになすがいい?」←異界の神ラーリス(またの名をファラリスの格言)


プレイヤーA「そう言われて『天使様を倒したいです!』とはならないんじゃない?」


GM「だよねぇ」


青猫あずき「こう言うのはどう? 奈落教って『蛮族との大戦中に魔神が蛮族と戦ったことで、結果的に人族が助けられた』っていう経緯があって魔神デーモン信仰してるわけじゃないですか。だから突然、ここの奈落に迷い込んだ蛮族の不意打ちで魔神てんし様が倒されて、その蛮族と海エルフと力を合わせて戦うの」


GM「それを採用します。じゃあちょうどいい蛮族を見つけるまでトイレとか飲み物のおかわり用意したりしててください」


〜〜〜


GM「再開します。儀式によって呼び出された魔神は移動を始め、海エルフ達もそれに続きます。PCたちがそれを追うと、黒い剣のようなオブジェクトが見えます。そう、あの剣が奈落の核アビス・コアです。この空間から脱出する鍵であり、奈落教がそのカケラを蒐集している結晶化した魔力です」


リタ「あの黒剣を砕いてカケラを教会に持ち帰るのが私たちの勤め…!」


GM「そして、召喚された魔神は剣を守るかのようにその場へと降り立ちますが……その時、【遺失魔法スリープ・クラウド】の魔法による眠りへ誘う霧が魔神を覆います!」


ヴァネッサ「…ッ! 魔神てんし様が!」


GM「【遺失魔法スリープ・クラウド】の霧は今度は周りにいた海エルフたちを巻き込み眠らせていきます。茂みに隠れてそれを見ていたあなたがた以外、辺りに起きているものはいません。静寂の中、反対方向の茂みから蛇の頭部を持つ人型の魔物が現れて黒い剣へと手を伸ばそうとします」


リタ「渡すわけには行かない! 茂みから飛び出します」


ヴァネッサ「アタシもそれに続くよ」


GM「では蛇頭の魔物はあなた達を見て驚き魔法の詠唱を始めますので戦闘処理に入りましょう」


=戦闘準備=


ヴァネッサ「それじゃあ魔物知識判定でその魔物の正体を見抜こうとするよ」


(ころころ…)


GM「おっと、知名度ぴったりですね。ではヴァネッサはその魔物が蛇人間ケパラウラだと見抜きます」


ヴァネッサ「げ、レベル6の魔導士ウィザードかよ! そんなの、まともにやりあったら勝てる相手じゃないじゃん」


リタ「何か対策はないのですか?」


ヴァネッサ「MPが切れるまで耐えるしか…っていうか先手を取られて【遺失魔法スリープ・クラウド】を撃ち込まれたら、その時点でゲームオーバーだから」


リタ「それじゃあ先手は譲れないですね。『その核は私たちの物です!』と叫んで相手より先に核の元へたどりつけるように全力疾走します。剣の恩寵ロールプレイ・ボーナス使ってもいいですか?」


GM「承認します。先制判定にボーナス修整を加えて計算してね」


リタ「(ころころ…)12にボーナス+4して先制値16です!」


GM「こちらの先制値は13です。剣の恩寵ロールプレイ・ボーナスに救われた形だね」


ヴァネッサ「……ふぅ。ひとまず助かった」


リタ「なんとかなりましたね。それでここからどうしますか?」


ヴァネッサ「まずリタは前線エリアで蛇人間ケパラウラと乱戦エリアを組んでくれ」


リタ「OK。前衛配置ね」


ヴァネッサ「これで少なくとも【遺失魔法スリープ・クラウド】での全滅は避けることができたな。とはいえ、敵は【絶掌ブラスト】の魔法で高威力の魔法攻撃しながら 《 マルチアクション 》宣言して近接攻撃も同時に叩き込んでくる魔物だからなあ。なんとかMPなくなるまでHP回復魔法で耐えてダメージレースに持ち込む…のは分が悪いか? いっそ、蛮族を退ける神聖魔法【バニッシュ】のランダム状態異常で狂暴化の目が出るのにかけるか?」


GM「確かに狂暴化すれば魔法は行使できなくなるね。とはいえ、狂暴化するかどうかはダイスの出目次第だけど」


ヴァネッサ「(魔法一覧メイガスアーツをめくる…)あっ、これだああああ!!」


GM「おっ、何か思いついた?」


=先手1ラウンド目=


ヴァネッサ「剣の恩寵ロールプレイ・ボーナスの使用を申請! 『魔神てんし様に手を出して、我が神の御手から逃れられると思うなよ!』と叫んで神聖魔法を行使します」


GM「いいでしょう。承認します。達成値ボーナスを受けてどんな魔法を使うんですか?」


ヴァネッサ「異界の神ラーリスの特殊神聖魔法【マナ・シンク】! HPではなく、MPの方にダメージを与える異界の神ラーリス信者だけが使える魔法だ!ボーナス+4して、19点目標での精神抵抗を要求する!」


GM「(…ころころ)……お見事! こちらの精神抵抗は15でした」


ヴァネッサ「汝の為したいように為すが良い! MPを9点減少させるッ!!」


GM「蛇人間ケパラウラのMPはこれで残り8点になりました。消費MPが12点の【遺失魔法スリープ・クラウド】は使えなくなり、【絶掌ブラスト】は一度しか撃てなくなりました」


リタ「この勢いに私も乗らねばなりませんね。〈呪われしバスタードソード〉で近接攻撃します。命中達成値は12です」


GM「うおー、気合を見せろ蛇人間ケパラウラ! 回避判定の達成値13! かわした」


=後手1ラウンド目=


GM「では蛇人間ケパラウラの手番。 《 マルチアクション 》宣言してリタに牙による近接攻撃と【絶掌ブラスト】の2回攻撃。まずは目標値13の牙から」


リタ「避けて見せます! 13ちょうどで回避です」


GM「だが魔法は避けることはできまい。16目標で精神抵抗要求!」


リタ「(…ころころ)18で抵抗です。ダメージを軽減します」


GM「ちっ、5点だけ与えて手番終了」


=先手2ラウンド目=


ヴァネッサ「【セイクリッド・ウェポン】の神聖魔法で蛮族である蛇人間ケパラウラへのリタの命中判定と攻撃ダメージを上昇させるぜ!」


リタ「助かります。これで今度は外しません! 回避15要求です!」


GM「(…ころころ)お見事、回避14なので命中です」


リタ「【セイクリッド・ウェポン】の賜物です。 《 かいくぐり 》と剣の呪いアビス・カースの恩恵でクリティカル率を大幅上昇させて……3回転、32ダメージです」


この一撃が決定打となり、蛇人間ケパラウラ戦は私たち2人が勝利を収めた。


GM「では、あなた達は見事に魔神を自身の従者として使役しようとしていた邪悪な蛇人間ケパラウラを討伐しました。これで、この場に立っているのはあなた方2人だけです。この後、どうしますか?」


リタ「黒き剣をバスタードソードで破壊します」


GM「では見事、魔域を攻略しました。異空間である奈落の魔域シャロウ・アビスはじきに消えるでしょう。空間に穴が開き元の世界へ帰ることができます。これにてセッション・クリアです。」


リタ「これで異界の神ラーリス様の課した試練を乗り越えた、ということですね」


ヴァネッサ「ああ、帰ろう。奈落大教会私たちの家へ……」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

SW2.5リプレイ「黒点海域の贄」 青猫あずき @beencat

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ