かさぶた

第33話 さいごに

人は生きてるだけで誰かを傷つけたり　誰かに傷ついたりする

そのたびに　目には見えない小さな傷を　心のどこかに負ってしまう

チクチク痛んだり　ズキズキ痛んだり　時に感情が沁みたりすることもある

その傷はやがてかさぶたになり　気づかないうちに剥がれ落ちている

でも　ほんの些細なきっかけで　治りかけのかさぶたを剥がしてしまうときもある

傷が　かさぶたになるまでの時間

かさぶたが　剥がれるまでの時間

それはその人の傷の深さや　自身の治癒力により異なる

でも　心の傷は身体の傷とは違い　綺麗にかさぶたが取れても　傷跡は必ず残る

どれだけ懸命に治療しても　どれだけいい薬を使っても　どれだけ時間がかかっても

決して　元どおりにはならないのだ

それでも　その傷を隠したり　見なかったことにはしないでほしい

その傷跡は　自分が頑張って乗り越えた証

その傷を完治させたのは他でもない　あなた自身なのだ

あなたは傷ついても　それを乗り越えれる力を心に秘めている

今までだって　そう生きて来たんだから

あなたには　それを誇りに思ってほしい

傷つくことを恐れないで

傷つけてしまうかもしれないと　臆病にならないで

傷つく辛さを知っているあなただからこそ　救える傷があるのだから

大丈夫

絶対に　大丈夫

あなたの心には　いつだって”勲章”が輝いているのだから