私の、想いは
〜沙織視点〜
「ねぇ司、小学校の頃覚えてる? 私がこうやって縁側に2人で座っててさ。一緒に線香花火しながら花火見たこと。凄く懐かしいよね」
「う、うん」
「小学校の頃は2人で一つって言われるほど遊んだり、宿題したりしたけど中学に入って司は陸上部に入って私も美術部に入ってお互いやらなきゃいけないことが多くなっちゃって、お互い友達もできて一緒に話す機会も減っちゃったね」
「いや、それは僕のせいなんだ」
「?」
「沙織も本当は気付いてたから話しかけなかったんだろうけど僕が一方的に避けてたんだよね。僕は臆病だったんだ。好きということが分かったら緊張しないように、って話すことから逃げて。でもいつかは好きって伝えなきゃって思ってたんだけど自分がそこまで乗り切れなくて。結局今回のイベントも大星とか小鳥遊に助けられたし」
「そっか。でも私自身まだ好き、っていう感情は全然分からないし、私的には昔みたいな関係が一番楽しかった。ここで付き合っちゃうと私なんかでいいのかな、とか思っちゃったりする」
多分私は昔から司のことが好きだったのだろう。それを好き、と認めず逃げてきたのは私自身だ。私は何がしたいんだろう。最近本当にそう思っていた。
「あのさ」
5分程沈黙が続いた後、口火を切ったのは司だった。
「僕は沙織のことが好きなんだよ。話さなくなったのって中2くらいからでしょ? 僕はそこから沙織が好きだった。そこから3〜4年経っても忘れられないくらい好きなんだよ。沙織が決める結果がどうであれ、僕はそれが伝えたかっただけ。」
「………」
「これにしても大星達遅いね。荷物運び手伝ってくるよ」
「………」
「じゃあまたあとで」
「ちょっと待って」
そう言いながら私は少し離れた司に飛びついた。久しぶりだ。人にハグをする、っていうのは。
「私、司のことが好きだった。ずっとずっと。だから悲しかった。話しかけてくれなくて。話しかけても逃げられて。それでも、嬉しかった」
「ありがとう、司」
【現代版】童話•童謡(ラブコメ・現代ファンタジー複合) にんじんのへた @sasisueo
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