Alleluia MOEluia BLuia! アルテム・カエレスティス

マリアさまのところに行った教え子

　それは夏の遠足で、海に行った時の事だった。

「ここ、ほんとにうみ？」

「そうだよ。ナミは初めて？」

　1人の小学生が、不思議そうに海を見て、そして泣き出してしまった。

「しんぷさま、うそついた！　ここ、うみじゃない！　しろくないし、あおくない！」

　えーんえーんと泣き出す女児に戸惑っていると、そうだそうだ、と、別の男児が噛み付いてきた。

「このうみ、茶色で黒い！」

　ビシッと指を指すので、なにか見えるのか、と、屈み込む。あらら、と、納得した。2人の小学生を担ぎ上げ、自分の目の高さに持ち上げる。すると2人は、ここが海だとわかったようだった。

「ここ、マリアさまに会える海なんだ！」

「シスター！　一度子供たちを駐車場に登らせてやってくれ。見えてないぞ！」

〜〜〜

「なんだ、ナミ。マリア様に会いに行ったのに、帰ってきたのか。」

「離婚して辛くて、今にも死んでやるって行っていたのに。」

「あの時のままだ。きれいだよ、ナミ。」

〜〜〜

　九十九里浜（くじゅうくりはま）。

　千葉県東部にある日本最大の砂浜。富士、箱根の火山から噴出した火山灰など、鉄を多く含む浜辺であるため、黒い砂浜として有名。

　3.11の後、潮流によって多くの水死体が流れ着いた。