黒成の車

 言語や文字によって伝えることが困難な時代、彼らは染められた色で、暦を表現した。

 赤は殉教の血。紫は慎み。青は天。緑は平和。黒は喪失…など。

 そして、白はというと。


「神父様、ストラにシミでもありましたか?」

「ああ、いや、なんでもない。」

 修道女から洗濯物を受け取り、ローマンは「白」のストラを手にした。白服アルバと比べれば悲しいほどに汚れて灰色がかっている。

「おい、いじけ虫。」

「…俺親父のそういうとこ嫌い。」

「まぁまぁ。オレのの話だろ? お前のストラはいつまでもよろこびに至らないと。」

「未熟者ですみませんねぇ!」

 初代教会の服は、完璧な白で、輝いている。あんな色のストラが着けたい、と、思っていると、父は駐車場を指さした。

「オレの服の理屈って、ようはアレだから。」

 見てみると、セダンが白く光り輝いている。

「だから、気にすんな。。」

「なんだそれ。」

「「罪深い女」とかは関係ない。。」


※可視光※

 最も光を吸収するため、反射せず見える色は「黒」。可視光は光の吸収率の高さにより白に近づくが、強烈な太陽光などによって場合、黒でも白く見える。

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