フィクションかノンフィクションかは誰も知らない恋のお話。
城崎芽依
初恋と呼ばせて。 完
31歳の時に出会った
17歳の男の子。
まさか3年後に恋に堕ちるなんて。
本当にまさかだった。
一瞬だった。
誰にも言えない恋。
正しい恋では無い。
どんな訳があっても正当化はしてはいけない。
人間は本当に自分勝手。
毎日の平凡で些細な幸せ。
それだけで素敵で最高で十分なはず。
それなのに馬鹿だよね。
正しい恋とは何だろう。
一度感じてしまった胸の高鳴り。
一度感じてしまった幸せな毎日。
おはよう。頑張ってね。大好き。可愛い。
お疲れ様。会いたい。愛してる。おやすみ。
結果何も壊れなかったから良かっただけ。
誰も傷つかなかったから良かっただけ。
傷ついたのは私の心だけ。
当たり前。自業自得。
人生は何が起こるかわからない。
あの頃に戻れたら。
なんて馬鹿みたいな事を考える。
一度壊れてしまったら元には戻らないのに。
壊れるのも一瞬。
優しい人。
優しい人は突然居なくなる。
揉めたく無いからだって。
誰かが言ってた。
それは優しさなのかな。
私にはわかんないな。
優しさってなんだろう。
「ごめん。無理やと思う。」
この言葉に私は何故すぐに
「わかった。」
って言わなかったんだろう。
言わなかったんじゃないか。
言えなかったんだ。
追える立場じゃないのに追ってしまった。
大人の女になれなかった。
すぐに手を離していれば
また連絡出来たのかな。
なんてまたバカみたいな事を考える。
どうしても繋がりは無くしたく無かった。
良い思い出にして欲しかった。
エゴだってわかってたのに。押し付けて。
彼はいつから私を好きで居てくれたんだろう。
『気付いたらご飯が喉を通らんくなってた。』
って恥ずかしそうに話してくれた事が
忘れられない。
「遅くまでごめんね。」
じゃなく
「遅くまでありがとう。」
と言ってくれる優しい彼が
大好きだった。
あの時をやり直せたら
また元通りに、、、
なんてまたばかみたいな事を考える。
日常になっていた彼との連絡。
それが無くなって空っぽになったみたいで。
彼が居ない時の私はどんな生活を
送ってたんだっけ。
まさか自分がこんなにも依存してたなんて
気付きもしなかった。
いつの間にか彼より私の方が好きになってた。
先に溢れ出したのは彼なのに
いつの間にか彼以上に私が溢れて溺れてた。
何が良かったのかどこが良かったのか。
一言で言える。
全て。
あー馬鹿だ。笑
自分でも笑っちゃうくらいどっぷり。
沼る。ってこういう事かぁ。
34歳が20歳に、、。
世間的に見れば本当にただの馬鹿。
うん。
本当に馬鹿だったなと自分でも思う。
でも後悔は無い。
馬鹿になるくらい
人を好きになれたんだから。
なんて自分を正当化してみる。
自分に対しての後悔。
彼に対しての後悔。
後悔は無い。
ぐるぐる巡る。
私の人生にとって素敵な日々だった事。
幸せな時間を過ごせた事。
小さな幸せが周りに沢山ある事。
自分を大切に思ってくれている人が居る事。
人は出会いと別れを繰り返して
成長していく。
出会う人とは出会うべくして出会い。
別れる人とは別れるべくして別れる。
人が恋に堕ちる瞬間って
いつ来るかわからない。
年齢も関係ない。
全ては一瞬。
彼の中に私の記憶はあるのかな。
私の中に彼の記憶はあるのです。
今の幸せを大切にしよう。
そう気付かせてくれる為の恋だった。
なんて自分勝手に馬鹿みたいに良いように考える。
さようなら。私の初恋。
***********
バイト先が同じなだけ。出会いから3年。
「俺が辞めても忘れへん?」
「忘れるわけないやん」
「やばい。溢れてもうたかも。」
「......うん。......私も.....」
恋はいつ始まるかわからない。
いつから始まっていたのかも。
これから先の事も。etc......
フィクションかノンフィクションかは誰も知らない恋のお話。 城崎芽依 @yunon_01
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