クソデカトロピカル因習アイランド殺人事件
アウ田
第1話ヤシの実3000cm
「きゃああああああ!!!」
ここは南国の楽園トロピカル因習アイランド、深夜に女性の悲鳴があたりに鳴り響いた。
俺達が声の場所にたどり着くとそこにはへたり込んでる女性と倒れて血を流している男女が居た。
「大丈夫ですか!?」
俺が女性に駆け寄り肩をゆすりながら声をかけるが女性は海の方でなにかとても恐ろしいものでも見てしまっかのように青ざめて震えている。
「これは…死んでいるね」
ともに旅行に来ていた私立探偵の容疑者鏖完全事件解決花子(ようぎしゃみなごろしでじけんかいけつはなこ)が倒れている人たちの様子を見ていたが…駄目だったようだ。
「クソ…また事件が起こってしまったのか」
俺の名前はリア充鏖裕太(りあじゅうみなごろしゆうた)、どこにでもいる探偵の助手だ。
このトロピカル因習アイランドは人口3000000000000000万人程度で東京ドーム5000000000000000000000個分の広さしかない小さな孤島につくられた観光スポットだ。
俺と花子はとある事件を解決した際に依頼人から報酬として貰った旅行券を使ってここトロピカル因習アイランドに旅行に来ていた。
そして…数々の殺人事件に巻き込まれていくのだった。
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飛行機に乗って何ヶ月…退屈なフライトを終えた私達は空港を出て3週間かけてすぐ近くのホテルに向かいチェックインを済ますと水着に着替え海岸に来ていた。
「うおおおお!リア充がいっぱいいるぜ!」
「おいおい、こんなに綺麗な景色よりもカップルのほうが先に見に入るのかい」
ホテルからタクシーを使って3日、ようやくたどり着いた海は青い海!広い空!南国と言ったらこうだ!という景色がそのまま広がった絶景だった。
「だってさ、だってさ!あんなにカップルがいるんだぜ!やっぱ観光地は狩り場だよなあ!!!!」
裕太の言う通り、観光スポットということもあり人が多くカップルもかなり居るようだ。
「狩り場って…、ただのデートスポットだろう」
「そうだな!」
裕太は景色を楽しむでも無く各人各々で楽しむカップル達を吟味しているようだ。
「まったく…海に来てすることは人漁りではないだろう、景色を楽しんで泳いで砂遊びして泳いでビーチバレーやバナナボートの体験をして泳ぐんだよ!」
「お、おう…」
「ほら、私達は泳ぐための装いをしてきたじゃないか、ほらほら何かないのかい?」
「熱いから脱いでただけじゃなかったのか!?」
「…もう!」
この鈍感め!…まったくしょうが無いやつだ。
「…水着はどうだって聞いてるんだよ」
「めちゃくちゃ似合ってるぜ!」
「なぁっ!まったく…!君はなんでいつもそうなんだ!」
裕太とは別に男女の関係ではないが浅からぬ関係ではない。
事件に巻き込まれる度に吊り橋効果的に距離が近づいていた…と思っていたのはもしかして私だけだったのかもしれない。
これでは私が裕太を一方的に気にしているようではないか!?
「?…じゃあ…とりあえず俺あっちのヤりやすそうな岩陰のほう見てくっから!」
「あっ、おい!」
ひゃっほー!手斧片手に駆け出した裕太に声をかけるがまったく止まらずにあっという間にどこかに行ってしまった。
「……この景色を一緒に楽しもうと思っていたのに……食事場所だって調べて…お土産屋さんも…ううう」
せっかくの旅行気分が台無しだ。
ぶつぶつと裕太に対して文句を言っていると、嫌な事とは重なるものなのか。
ナンパ目的らしいチャラ男6万人が声をかけ続けてきた。
「「「「「「「「お姉さんかわいいね」」」」」」」「「「「今日ひとり?」」」」」「「「「「「「「「「「俺達と遊ぼうよ」」」」」」」」」」」「「「「「「「「「「「「てかラインやってる?」」」」」」」」」」「「「「「「「「遊びって言っても大人の遊びだぜ」」」」」」」」」「「「いいスポット知ってんだぜ」」」」「「「「「「誰も来ないとこだからさあ」」」」」」」「「「「「「あっちいこうぜ」」」」」」
「君たち、やめないか」
花子が辟易としていると人垣の向こうから声がかかる。
「その女性も嫌がっているだろう、デートのお誘いというのは分別をつけんとモテない…なっ!?」
「…おやおや、これはこれは。刑事さんではないですか、奇遇ですね」
そこにいたのは焼夷弾土地丸々焼鏖佐藤(しょういだんでとちまるまるやきみなごろしさとう)、裕太と花子が事件に巻き込まれる度に一緒に巻き込まれることになる刑事であった。
「オフの日まで君達に会うなんて…勘弁しておくれよ、なにか事件か?」
「いえいえ、私もオフですよ。旅券を貰いましてね、裕太も来ているんですがはぐれてしまって」
「裕太くんもいるのか…君たちがいるところではいつも死人が出るからな、俺の休日もここまでか…」
「そんな縁起でも無い…」
「ただでさえこの島は島民が閉鎖的で不気味な風習があるのに」
「へえ?」
佐藤の一言が引っかかった、ここまで会ってきた住民たちにそのような所は無かったからだ。
みな観光地特有の人当たりの良い気のいい人達だった。
「別にそんなことはなかったですが」
「それは外地の観光地に居る移住者たちの話だろう?内地に行くと反応は正反対に人々は冷たく排他的になるのさ」
佐藤いわく、この島は長らく閉鎖的で人を寄せ付けなかったが観光資材に目をつけた開発会社により土地は開かれ観光地になったのだという。
「現地民の反対運動は凄かったらしいよ、怪我人どころか死人まで沢山出た」
「それは…酷いね」
「特に会社側の人間はかなり…ね、犯人探しが始まったが結局見付からず…それに関しては島民いわく【ヌサラミ様】の祟りらしい」
「ヌサラミ様?」
「この地で長らく信仰されてた土地神みたいなもんらしい、この島を侵略したり争い事を侵す人間を片っ端から殺して回るんだ」
「片っ端から…私達が巻き込まれた事件みたいですね」
「まったくそのとおりだ、だからただでさえ来たく無かったというのに君たちまでいるなんてな」
おや…、佐藤の発言はどこかおかしい。
佐藤はたしかオフで来たと言っていたのに来たく無かった…?
花子が思考を始めた瞬間、路地の向こうでなにやら諍いが始まった。
「てめぇ!俺の財布を盗む気だったんだろ!」
「キサマこそなぜ私のバックを持っていたこの置引め!」
「あれは…事件でしょうか?」
「…本当に私の休日が終わってしまいそうだよやれやれ」
クソデカトロピカル因習アイランド殺人事件 アウ田 @autra
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