第8話 金銭感覚の違い
物価高がニュースになる中、三木谷家でも節約を意識するようになってきた。といっても実践しているのは菜乃華だけである。
菜乃華はレシートアプリというのを始めた。レシートの写真を撮ってアプリに送るだけでお金がもらえるというものである。一希にも協力を仰ぐべく買い物したレシートはリビングの出窓にある小箱に入れるルールになった。
一希は割と協力的でお財布に入っていた全てのレシートをとりあえず箱の中に入れ、仕事へと向かった。
華咲が昼寝をしている時に、菜乃華は今朝、一希が入れたレシートをさっそく写真に撮ろうとする。全部で6枚あり、2枚がコンビニ、1枚が飲食店、そして喫茶店が3枚あった。日付が水曜、木曜、金曜と毎日通っているようだ。
飲食店は昨日の昼時に利用したようだ。午前中は学校で練習をし、午後は市大会の審判のため別の中学校に行くと言っていたので、その途中で食べたものと思われる。Aランチ1700円と書いてあるレシートを見て、少し羨ましく思う。自分の昨日の昼食といえば家でうどんを茹でて揚げ玉を添えて食べたくらいだ。宗一の話し相手をしながら、華咲に食べさせ、尚且つ自分も食べるという感じで、味わってなど食べていられない。そう考えると一希は1人でゆっくり味わいながらおいしい昼食を食べていたと考えると羨ましいというよりも腹ただしい。
しかし、それ以上に驚いたのが喫茶店のレシートである。3日間毎日利用しているようだが、その金額だ。昨日580円、一昨日580円、先一昨日に関しては720円。中身を見る限り、3日間ともコーヒーだけを注文しているようで、サイドメニューなどは頼んでいない。580円のコーヒーはそのお店のレギュラーメニューで、720円のコーヒーは期間限定のようだ。
菜乃華もコーヒー好きで、昔はよく喫茶店でコーヒーを飲んでいたが、今はインスタントのコーヒーしか飲んでいない。金額にして1杯30円くらいだろう。自分はインスタントコーヒーで我慢しているのに夫は毎日1杯580円のコーヒーを飲んでいたという事実が許せなかった。
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