2023 6月

第40話 神か悪魔か。小説生成AIの話

 いつもの如く先に結論を記します。


・生成AIは道具として優秀。というか優秀過ぎ

・規制、規約や法律次第とはいえ、AIは道具。技術は進化し続ける

・道具の適切な使い方は人それぞれ。参考にすればいい

・私は使わないが、使うなら月に五本「長編」書けるようになりそう

・あらゆる作家の技巧とスタイルを学習する未来はすぐそこ

・誰でも使えるという脅威。判別がつかない


 前回素人朗読系の話を書き、そちらで「全ては技術だ」と記しました。ブラックユーモアとして「ふんわり・柔らか・ほのぼの」仕上げましたが、気になる方はそちらご覧下さい。

「素人朗読系配信者とは関わるな。ライトユーザーへの注意喚起」

https://kakuyomu.jp/works/16817330658739891971

 さて本題。


「AIさんマジぱねえ! 技術とかAIにぶん投げる! アイデア出すから文章はAIに書かせちまえ! 全ては技術とか何言ってんだ、前時代過ぎワロスw」


 と、私は知らなかったのですが以前からAI小説は存在していたそうです。

 星新一賞などはAI生成でも応募可能なようですが、今のところ基準ははっきりしていません。


・現状と前段。あくまで私が確認した中では

 AI関連についてカクヨムは旗色を鮮明にしておらず、なろうに関しては「ダメっぽい?」感じ。

※規約や方針が追加されたり、新たに確認出来たらまたなんか記します。


 で、これについてちょっと検索したら、なろうでAI小説書いてた方の話が出てきました。AI関連の規約までは確認していないのでちょっと分かりませんが「使ってもいいけど、自力で書け」みたいな流れだったかな。

「著作権絡みで問題がなければ」などいくつか条件が記されていたので「基本ダメじゃね?」という印象です。


 chatGPTの話題が出て以来、企業での利用は情報漏洩の観点から問題点が指摘されてますね。とはいえ結構使う流れみたいなので、AI作った人の一人勝ちと言ったところでしょうか。競争激しくなりそうだけど(笑)


 他方「表現・作品」の世界は法的問題もありますからどう転ぶか分かりません。

 よく目にする「AIイラスト」系の問題は知っていましたが、結局似たような流れと捉えました。


□AI革命前夜

 先のエッセイで「技術なき者の哀れなど語るまでもない」と記しましたが、AIによる自動学習能力は技術を凌駕します。正確には全て学んでしまう。

 この流れは止められない。

 ネタとして書いた、有料応援勧誘DMをネタにした、

「小説家になってみれば?」拙僧はあなたの作品を有料で応援したい。本当にあったかもしれない書籍化勧誘DM」

https://kakuyomu.jp/works/16817330657938719350

 において「技術の進化の前に我々は無力と言わざるを得ない」と記した通り、スペックが違いすぎる。

 そりゃ「将棋のプロもハメ手で対抗するわ」ってな話です。


 俳句・短歌を詠んでみるというエッセイにおいて「短文ならAIの方が優秀だろう」と記したりしてます。そちらも載せておきます。

https://kakuyomu.jp/works/16817330652317934856/episodes/16817330657592741844


 AIで生成された文章はあくまで「それっぽく仕上げた」ものですから、現状手直しは必要です。

 また方向性や文体もある程度指定出来たりしますが、思わぬ暴走を始めたりもするそうです。

 まあその部分は不採用にすればいいだけで、私が拝読した「AI小説創作」されたユーザーさんは、実際試行錯誤されてました。

 あくまで道具ですから、ユーザーに「違う。やり直し」とケチつけられたAIが、


「おい、何がいけない。せっかく書いたのに! そんなに不満なら自分で書けよ! 何が気に入らねーんだよ! お前なんか嫌いだ! もう抽出してやんない! もう寝る!」


 とか文句言ってきたりしませんし、ガンガンやり直せばいい(笑)


 当たり前の話ですが生成AIは思考しているわけではありません。深層学習によって得たデータからプログラムによる「最適解」を抽出しているに過ぎない。

 オーダーに対して「応答」しているとも言えます。

 ところがトライ&エラーを繰り返し学習した生成AIは、徐々に「不自然さ」を克服しています。

 chatGPTは顕著でしたね。他にも出てくるでしょう。

 それでもやはり、思考しているわけではないですが、もうちょっと手に負えない。

 近況ノートにも書きましたが「AIを使った」と記してくれないと、もはや見分けがつきません。


 たまたまAI小説と謳われた作品を拝読して、AIをどう利用し訂正していったか、という過程も知ることが出来ました。


 生成AIは言うまでもなく道具です。

 産業革命・IT革命・AI革命と、我々は二つ目の革命を体験しているのでしょう。世代によってはIT革命を知らないんだから、初めて経験することになりますね。


□技術なき者の哀れ。AIで解決します。AIで化けます

 私自身はそもそもAIを使う気はないですが、利用法として身近なものを取り上げてみます。


・vs読者vs読む系企画者

 一気に身近な話題になりましたが、使う側となればこいつらを黙らせることは簡単です。まあ使われると、一人の読む系企画者として私は困るのですが(笑)


 読む系企画をやっていると、たまに「プロット・台本」のような作品で参加される方がいるんですよ。

 物凄くよく言えば手抜き、悪く言うと小説ではない。

 しかしこういう方でも「世界観の構築」「プロットの構築」という基本は出来ている。

 問題は「基礎的文章力」と「根気」そして「客観性」です。


 なろう小説ですらまともなものが多い昨今、なぜ台本レベルのもので参加するのか不思議でなりません。


「台本やプロットレベルのものは評価出来ないのです……」


 と説明するのですが、たぶん適当に「読む系企画」に参加している為、伝わっていないでしょう(笑)


 というわけで生成AIの出番です。

※しつこいですが規約や法律が許すなら。道具として参考に使った場合恐らく対応出来ない。こちらまた機会があれば。


「生成AIが抽出した文章を参考に文章・物語を組み立てる」


 たぶんこれで全て終わります。

 後は本人の根気かな。書くのは面倒なので(笑)

 細かいこと言い出すとキリありませんが「生成AIで勉強する」という言い回し、利用法で解決します。

「行き詰まった時に方向性を指し示してくれる」という利点もあり、使い方は多岐に及ぶでしょう。


 世界観、テーマ、キャラクター、物語は出来ているけど「文章が書けない。小説出来ていない」人にとって、小説生成AIは「救世主、最強の相棒」となるでしょう。

 文章が書けない。会話の「」だらけで地の文が書けない。

 ーー大丈夫、生成AIがそれっぽい文章を用意してくれますから。


□分岐点。どう利用する?

 ここで問題。そして分岐点。


1.「生成AIによって書かれた文章を丸ごと採用」

 丸パクリしたら、楽だけど色々アウト判定食らうでしょう(笑)

 星新一賞のようなAIありコンテストなら問題ないと思います。むしろその技術を競うのかな?


2.「生成AIの文章を手直し、ある程度採用する」

 たぶんタイパやコスパ考えるとこれが一番いい。ですが、これも微妙な感じがします。

 私に当てはめると「プライドが許さない」という感じになります(笑)

 規約や法的問題、コンテスト系などどういう扱いになるんでしょう。イラストとは違うのでややこしそう。


3.「生成AIに書かせて参考にする。文体、展開、描写の必要性など徹底して道具として使う」

 よくあるSFの「支援AI」のようなもので「相談相手」みたいな使い方ですね。

 ドラえもんや寄生獣の「ミギー」みたいなものです(笑)

 えらいもんで「例文」を記してくれるわけですから「なるほど」と、参考に使える。

「ほーんなるほど。が、俺は違う」と対抗意識を燃やすもよし「オーケー、その方向で検討する」と、きっかけやヒントとするもよし。


□時代は変わった

 創作というものは孤独な作業です。

 相談相手がたくさんいるならいいのですが、なかなかそうもいきません。創作していることを隠している人も多いでしょう。

 そんな中登場した生成AIは力強い味方。

「神か悪魔か」まさにSF的な存在として現代に現れました。

 以前からあるにはあったそうですが、年々その完成度は高くなり(法的問題との兼ね合いはあるとはいえ)


「文豪」「ヒットメーカー」「各ジャンルの達人」


 の技巧技法を吸収し模倣し、一瞬でそれを抽出してくれるようになる。

 未来はもう見えています。


 イラスト系は「対決姿勢」を全面に出す方もいますが、恐らく既に「学習されている」

 というか、表に出したものは全て「学習される」と考えるべきでしょう。

 技術が一瞬で「模倣される」という地獄のような感覚は、心中察するにあまりある。

 ですが我々文章芸術、文芸系はそのインパクトがイラスト系に比べて弱い。

 文章は誰でも書けるので(笑)


□読む系企画者としては辛い

 今のところ「知ったことではない話題」ではあります。使う気しないしどうでもいいです。

 仮に「生成AI」とランキング攻略やコンテストで戦うことになっても「上等だよ……かかってこいよ……つーか誰だよお前……」と、特に気にしません。


 ですが「読む系企画者」としては正直辛い。

「これAIが書いた小説ですか?」と疑いながら読まねばならない。

 些か厳しめの言葉を使いますが可能性として、


「未熟なアホがAIという道具を使って書いた、まともな小説」

「面倒だからAIに書かせた小説を、読む系企画者として頑張って読む」

「事実上嫌がらせで参加してくるユーザー」

※感想書いたら「AIが書いたんだけどw ディープラーニングにケチつけんなよw 何様だよてめえw」とか言われそう(笑)


 という問題点が出てきます。

 これを読まされるかと思うと、辛い。些かではなくかなりきついですか?(笑) まあ本音としてゆるっとお受け取り下さい。こっちの気持ちも理解して下さいな(笑)


 さて、この手の参加者は「道具を使った。使えている」ということに過ぎず、私はどう感想を書けばいいのでしょう?

 レビューにしろ感想にしろ、評価とてそうです。

 まともに向き合うのが馬鹿馬鹿しくなる。

 そのユーザーがどういう人かはともかく、


「お前が書いたんじゃねーのかよ!」


 と、どっからどこまで使ったのか、採用したのかも正直分からない。

 私が拝読したものは普通に小説出来てました。

 この問題、小説投稿サイトの読者も同様で、コンテスト系もどう対応するんでしょう。


 他方「書けない」という方には朗報かもしれません。


「あのクソ忌々しい読む系企画者や読者に、渾身の世界観と物語を投げつけてやる!(文章書かないけど)」


 とまあ、これから何が起きるか大体想像はつきますね。


□私の場合。使うなら長編が増えるかも?

 というわけで最後に私が使うとした場合。

 先に挙げた通り世の流れ次第ではありますが、三つ目の選択肢「参考に使う」ことはあるかもしれません。

 一番想定されるものは「月二本の長編10万文字」という目標が、生成AIを使うと「月五本の長編10万文字になるかも」という感じです。


 どうしても次の文章が浮かばない、って時にささっと抽出してくれる生成AIはありがたい。

 設定から何から、それを見て固まっていくことも考えられます。やはり道具としてはかなり便利そう。


 ーー神か悪魔か


 それは利用するあなた次第。

 政府は年内に方針を定めるようで、欧州は一応規制という姿勢ですが、果たしてどうなるでしょう。

 とにもかくにも、やはり技術の進化の前に我々は無力。

 同時に恩恵を受けることも多いでしょう。

 ほんと、SFな世界に生きてる気持ちです。


 ーー我々の創作ライフが劇的に変わる時代に突入した事実を感じながら、ではではこれにて。

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