第16話 読む系企画者はなぜレビューを記せなかったのか。「ヒューマンシステム 〜生体兵器はヒトでありたい」とSF作品について

 今回はご許可頂いた作品について語りたいと思います。

 カクヨムコン8中間選考を見事通過された、ライトなSFミリタリー。

 みつなはるねさんの作品、


「ヒューマンシステム 〜生体兵器はヒトでありたい」

https://kakuyomu.jp/works/16817139558245119804

 についてです。

 いつも通り先に結論を記します。

 何度も言いますがライトユーザー向けの緩いエッセイですから、気楽に読んで下さい(笑)


・SF作品は設定から情報量が多い。凝った設定から読み手の理解度が試されることがある。気にせず物語を読めばいいが、私はかつてSF作品を書いたことがある。そうはいかない。

 読む系企画者として他にも作品を読むスケジュールを抱えており、評価のみとなった。


・作品の完成度が高かった。高過ぎた。それでもレビューを記すことはあるが、先に挙げた要素が障害となった。


・SF作品はこだわり出せばキリがない。あらゆる知識が必要とされ、あらゆるジャンルを網羅する。未来予測から歴史的事実、法律などなど知識を総動員して書くことだって出来る。

 ゆえにあら探しすればいくらでも出来る。


 事実「プラネテス」という幸村誠先生の、スペースデブリなど宇宙を舞台に描いたSF作品が、元JAXA職員に批判されている。結果その人が炎上したらしい。で、元のツイートは削除となったようだ。

 実名でやったのだから、一つの見解として私は尊重します。ですが、言葉に関してはネタエッセイ芸人でもない限り、選んだ方がいいとも思います(笑)


□読む系企画者としてのこだわり

「ヒューマンシステム 〜生体兵器はヒトでありたい」

 を拝読するきっかけは、私の読む系企画へみつなさんが参加したことでした。

 先ほど確認したところ、拝読して3話で星3を付けさせていただいている。

 評価基準は以前記した通り。


第10話 第二回RTで読む系。採点基準とレビュー問題

https://kakuyomu.jp/works/16817330652317934856/episodes/16817330653323955183


 私はなろうでもカクヨムでも星一つは付けない。たぶん二件ぐらい例外がある程度。


「別に気にせず付ければいいじゃん。星一つでもなろうなら、1000人評価したら2000ポイントだ!」


 確かに事実。ですが大抵は評価数が少なく、なかなか星一つは付け辛い。

 というか、星一つな作品は、


「そもそも作品として成立していない」


 が私の基準。

 ここら辺は皆さんの価値観で付けているでしょうから、基準は様々です。

 評価についてはまたお話しします。


 さて、本作品は実に凝った設定となっています。

 SFらしく技術的な面、戦闘機などの詳細な設定。更に専門用語などSF好きにはたまらない要素が織り込められ、実に読み応えがあります。

 読み応えありすぎて人を選ぶ典型で、素晴らしい作品なのにカクヨムで星は現状232。

 実際は気軽にサクサク読めます。

 腕前から拝察するに、色々と選択肢ある中今の作風になったのでしょう。


 さて、ストーリーはどうでしょう。

 現状序盤までしか読んでいませんが、それでも押さえるところは押さえている。私はそう読み取りました。

 ユーモアもシリアスも交え「人を描いた」実に良質な作品です。

 キャラクターも魅力的。

 それでも投稿サイト、SF界隈で人気なのはVRMMOなど。ゲーム系でしょうか。


 私のVRMMO作品トカレストストーリーはVRMMOが流行っていた頃に投稿したもの。約十年前。

 カクヨムとなろうを比較した際、大体四倍の評価と考えるなら、928ポイントと、トカレストと大差ありません。

 なろう版もありますので、なろうユーザーさんはそちらでも読むことが可能です。


 しかし昔のなろうはもっと評価が付きやすかった。サイトに掲載されている作品数がそもそも違う。書き手の母数が増え、昔より評価が付きにくい。

 こちらまたいずれ。


□曲がりなりにもSF作品を描いていた者として

「SFはニッチなジャンル」

 Transparent Darkという、旧なろうコン2013に一次通過した作品を完結させる為描いていた頃、Twitterでそんな会話をした記憶があります。

 じゃあSFで何が人気なの? となったらやはりVRMMOなど。

 端的に指摘され、VRMMO作品が当時代表作なのに、全くSFと捉えていなかった私は苦笑しました。


 でTransparent Dark。

 こちら設定こそ壮大で、SF的な側面もありますが実際は冒険物語。アドベンチャーです。

 ですがそんなジャンルない……(笑)

 致し方なくSF空想科学に投稿。

 インド周辺から地理を調べ、タジキスタンを舞台に物語は進みます。


「一体どれだけ調べれば描けるの……」


 と嘆きの歌が聴こえてきそうな世界観でした(笑)


 私はSF愛読者ではありません。

 ガンダムぐらいなら語れますが、ハードなSFは難易度が高い。

 例えば「パワードスーツ」一つ描くとしても、


「もう精霊さんがなんか身体強化してくれた」


 と書けるライトなファンタジーのがどれだけ楽か(笑)

 SNS界隈では、本格ファンタジー論議で未だに揉めてるらしいですが、いつまでやるの?

 専門知識が必要な作品は、参考文献から監修さんまで付けて描く。ファンタジーは大体何かから参考にしたり、歴史を参考にしたり自分で考えて描きます。


 SFも無論同様ですが、正確な知識がハードSFなら求められる。

 ライトなサイエンスファンタジーとは一線を画す。


「ヒューマンシステム ~生体兵器はヒトでありたい」


 は結構凝ってます。

 人によって捉え方は異なるでしょうが、私はかつて人工知能やアンドロイドをかなり適当に描いた者として、頭が下がる思いです。


 本来は「もっと気楽に読んで欲しい」と、みつなさんは思ってるかもしれないので、皆さん気軽に読んで感想など記してみて下さい。

 ライトなSFミリタリー。作者さんはあらすじでそう紹介しています。

 確かに。ライトに読んでいいですよね。


□最後に。ホーキング博士の言葉。そして過去のSF作品があまり描かなかったある事実

「文化文明圏で技術の発展の捉え方は異なる」


 SFは未来を描く作品。

 そしてSF作品があまり描かない、あるいは両立させない要素を挙げて締めとさせていただきます。

 車椅子の物理学者ホーキング博士は、いくつかの仮説を我々に遺しました。


「AIの発展は人類にとって危険」

「遺伝子操作により人類の格差は更に広がる」


 確かに。ですが私はこれに一つ加えたい。


「文化文明、宗教的要素から、技術の発展による恩恵をよしとしない地域は必ず存在する」


 日本はロボット犬などにもお墓をつくる、実に多様な国です。

 一つの神を崇める国家とあまりに違う。

 AIはいずれ人間が脳内に取り入れる、あるいは外部接続として利用することになるでしょう。

 そして遺伝子操作は現実となり、あらゆるものが「操作、デザイン」出来るようになるかもしれない。

 ホーキング博士はこれらによる格差を懸念していました。

 人間が超人類となる道、への懸念ですね。


 さて、これらを頭に入れると、SFは実に可能性を秘めた魅力的なジャンルです。

 同時にややこし過ぎて描く側も読む側も、なんか色々大変。


 なぜ「ヒューマンシステム」のある登場人物は一話で、事前に目的の場所を調べていなかったのでしょう。


 ユーモアを利かせた笑える展開なのに「なぜ前もって調べなかった……? 地図から映像から、確認出来たろう?」と、無粋な突っ込みを入れることも可能(笑)

 SFに限らず物語の流れや登場人物の思考、あるいは設定に細かくこだわる人がいます。

 私は「知ったこっちゃない」と一蹴しますが、さてあなたはどちらでしょう。


 あれですか、本格ファンタジー議論ですか。

 知らんがな、今日はSFのお話です。

 そんなこんなのSF創作話。

 本日はこれにて終了とさせていただきます。

 事情からちとややこしい話は割愛したので、こちらまたいずれ。

 作品紹介の許可いただき、本当にありがとうございます。

 カクヨムコン8短編部門の分析、どうかご無理なさらず。

 ではでは。

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