第一章 都合のいい令嬢、やめます①
翌朝、目が覚めて体を起こそうとした私の頭に
ゆっくり起き上がって、昨日のことを思い返す。冷静になった今考えると、大変
イルヴィスの馬車に乗った私は、
「アマリア! 昨日のアレはどういうつもりなの! 納得のできる説明をなさい!」
そう声を
外聞を何よりも気にする母は、
今日も母がヒステリーを起こすことは予想できていたから、いつものように
「おはようございます、お母様。ええと、昨日のアレ、とはいったい何のことでしょうか」
鋭い痛みを
「言い逃れをするつもり!?
「醜態、ですか。私は少々ワインをたしなんだ記憶しかないのですが」
「まあ! 酔っ払って外で眠ったというのに、少々ですって!?」
実際には五
『計画』では仲が良いところを両親たちに
だからといって私が適当に話せば、細かいところで話に
ここは覚えてないことにして、母に言わせた方がいいだろう。
「ふざけないでちょうだい! あんなみっともない姿を人様に晒しておいてよく言えたものね!」
「ごめんなさい、本当に覚えてないんです」
「覚えてないというのなら教えてあげます! 貴女は、ウィリアムという婚約者がありながら一人でパーティーに行った上、酔っ払って他の男に送られて帰って来たのよ!」
何が楽しくて妹と寝た婚約者とパーティーに行かなくてはならないのか。確かにああいう夜会に女性が一人で参加するのははしたないけど。そもそも昨日のパーティーは現実
「はしたなく酔いつぶれるなんて、本当になんて
「──えっ?」
頭痛で聞き
「貴女には
ウィリアム・ウスター、私の婚約者。今一番聞きたくない名前だけど、母は気にせず話を続けた。
「だいたい、貴女なんかが公爵様に相手にされるわけないじゃない!」
妹が姉の婚約者と寝るのはいいんだとか、なんで私が誘惑したと決めつけるのとか、いろいろ言いたいことはあるのに思考がまとまらない。イルヴィスの正体に気を取られて、母のヒステリーが
(こうしゃく……公爵? イルヴィスが公爵様?)
この国に公爵は四人いるが、一人を除いたらみんな家庭を持っている中年男性か女性だ。
(それにランベルトって、イルヴィスも名乗っていたじゃない! なんで気づかなかったの!?)
ウィリアムのことしか頭になかった私でも聞いたことがある有名人だ。若くして公爵になった恐ろしく美しい男って、言われてみればイルヴィスと共通点がある。所作も洗練されていたし。
……あれ。もしかしなくても、私が
「ウィリアムが貴女と結婚しなかったら、
勢いよく揺さぶられて、
「っアマリア! 貴女どういうつもり!?」
私の行動を
「奥様! ランベルト公爵様がお見えです!」
妹に婚約者を取られたら見知らぬ公爵様に求婚されました 陽炎氷柱/角川ビーンズ文庫 @beans
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