序章 はじまりの夜④
「簡単そうに言っていますが、あんな
「ええ、それは最初に聞きましたよ?」
その程度が何か、とでも言いたげだった。あまりにも
「ですが、両親と妹が認めるとは思えません」
「貴女の話から判断するに、ご両親は典型的な貴族です。利が不利を上回れば無下にしませんよ。であれば、ただの貴族
「違いません、けど」
問題はその利がまったく分からないということなんですよ。私にはイルヴィスがここまで自信満々でいられる理由がまったく分からなかった。失敗する可能性など少しも感じさせないその態度に、だんだん本当に
「……まあ、他の
「? 何がでしょうか」
「何って、貴方好きな方がいるのでしょう?
「ああ、そういうことですか。……
不思議そうな表情から一変。
すうっと細められたアイスブルーの目は、その
「すみません、ホールが
「私は信用ならないらしいので問題ありません、と言ったんです」
「もしかしてちょっと気にしてます?」
……気のせい、かな?
「まさか。ですがどうしてもお気に
「あの。先ほど
「まあそんなことより、どうです? 悪い話じゃないでしょう?」
「そんなことよりって……」
とはいえ、悪い話じゃないのは確かだ。むしろいい話すぎて逆に
「貴女は
そう言って手を差し出したイルヴィスは、
……だからなおさら、この顔一つで令嬢からマダムまで視線を独り
こんないい人が本当に存在するとは信じられない。もしや妹に婚約者を
「先ほども言いましたが、この話を断っても構いませんよ。まあ、わざわざ自分を苦しめるなんて変わった
「ぜひともご協力をお願いします」
これ以上
そうして差し出された手を取った私に、イルヴィスは「
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