第8話 日本の間違い・前文

『戦後文明論』日本の間違い①

日本の一つの時代の分岐点は安保条約改定であった。実行したのは安倍元首相の祖父岸首相である。固定された安保条約で日本の外交は対米追随一辺倒になってしまった。何も考えなくなったのである(田中角栄の日中国交正常化は評価するが、それもアメリカが先に動いたからだ)。

岸の前の石橋湛山は共産圏諸国(ソ連・中国)とも付き合っていく必要があるという立場であった。当時の自民党の中はこれだけ広いウイングを持っていた。

戦前石橋湛山はジャーナリストで『日本は4つの島で、技術力を磨けば十分やっていける』小日本主義論者であった。植民地経営は良く計算すれば持ち出しの方が多いのだと満州経営の必要などないとした。

岸信介はエリート官僚として期待の星であった。彼は新しい国家経営を夢見て満州国の商工大臣の任についた。総裁選では石橋湛山が辛勝して首相の座に就いたが、軽い脳梗塞を起こして半年ほどで退任した。副総理だった岸が首相の座を受け継いだという経緯があった。

安保反対闘争は戦後最大の大衆運動とされている。ねんねこで子供を背負った主婦までもが警官隊を国会に導入しての強硬採決に「民主主義を守れ」とデモに出た。

ジャパン・アズ・ナンバーワンでアメリカに次ぐ経済大国になった日本、貿易摩擦でアメリカに叩かれた。そのため取った内需拡大策はジャブジャブの金融緩和となり、土地・証券あらゆる金融商品にマネーが向かった。ご存知浮かれバルブ。ノーパンしゃぶしゃぶ(今の若い人には分からないだろうなぁ~)、一介の料亭の女将が500億円もノー担保で銀行融資を受けて証券投資で破綻。無節操な大蔵当局・銀行の乱脈経営は莫大な金融機関の不良債権を生んだ。浮かれタコが自分の足を高いお金を払って食べたようなものだった。その処理に長い時間がかかり、失われた10年、赤字国債による累積債務、10年は30年に、今や日銀が国債を買って株価や政府を支えている。

この二つも大きな問題であるが、これを前置きとして、一番の間違いは、あの東北大震災・原発事故で脱原発に踏み切れなかったことだと私は考える。その辺を次回書いて見ようと思う。

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