第7話 卒業式

空がとても、美しい……。

高くて高くて、空を見ていると飛べてしまいそうに錯覚する。


オレ…と宮本さんが離れ離れになって、1年経つ。



『もうすぐ卒業式かぁ〜!』

俺の隣には吉田が居る……。


吉田は宮本さんの話題には触れない。


そして……明那あきなの事も……。

不登校から明けた明那あきなは、不良へと変わり果ててしまったのだ。



誰も俺を責めなかった。

故に辛かった。あんたのせいだ!と責められた方が


余程マシだ。



オレは…女の子すらも幸せに出来ないのか?



落ち込むオレ……そして…

色んな問題を残したままで、


卒業式の練習に励んだのだった。



1日、1日と走り去る様に時が過ぎていく。


4年生で運命の出逢いをした宮本さんとは、

別れたままだ。



お互い好きなのに……

4年生あの時とは違っていた。



オレは考えに考えた。

卒業式しかチャンスはない。


だからこそ、オレは今度こそ素直になる。


そう静かに決意をした。





宮本さんが入場する練習をしている。俺も続いて入場するが……


ラストなんだから!と皆は好きな人に、思い思いの方法で告白していた。


浮き立つクラス内。



(最高でした、良かった。)


きっと卒業生代表としての笑顔を向けて話すんだ。



オレと宮本さんは、

卒業式の時…卒業生代表者として

壇上に上がる。




久しぶりに隣に宮本さんが居る。

ふわんっとフローラルの良い香りが鼻をつく。



悲しい。唯一の繋がりだった。

学校が……もうすぐ終わるんだ。



春になったら、オレは地元の中学校、宮本さんは、芸能界へと

道が決まったと遠巻きに聞いた。



離れ離れの距離が、ドンドンと

遠くなる。



だけど俺たち2人は、

大人の前では無力だと言うことを思い知った。



お互い泣いていた。


切なかった午後、2人で電車に乗り、初めてで最後のデートに

行ったんだ。



結婚式のまねごともしたさ。

指輪交換とかした。だけど……


それは、、、心の中で終わらせた。





俺たちは、前を向いて

演説を始める。練習中だが……


緊張が走る……。すすり泣く声すら愛おしい。


みんなが居て楽しかった。



みんなが居たからこそ、

俺たちは巡り会えた。そう。

終わりから始まる、新たな出逢いに、、、。




宮本さんが一筋涙を流しているとオレはハンカチをさり気なく渡した。



2人きりの秘密の時間。

だけど…バカはバカ正直だな?




練習が終えた途端に……宮本さんは、ガバッ!!!と俺に抱きついて来たんだ!!



『私たち、終わりが始まりよね??!やっぱり2人が良い!』



俺は感動して、涙が溢れた。

『もう、良いのかよ?』


『何が?』

その力は、バカ力だ。

痛えッつーの……全くよ!?



『ショーがねぇな?思い切り愛してやるか!!』



『大好き!!』




みんなが見てる。俺たち2人は

卒業式目前にして、



ようやく素直に慣れた。





END

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惚れっぽい宮本君★と飽きっぽい宮本さん✨ たから聖 @08061012

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