夢の中のメッセージ
明転、アカネは友人のマルとの待ち合わせ場所にむかう為に目的地に向かっていた。
アカネ 「今日もいい天気!こんな日は魚に羽が生えて空を飛んでそう!………!!」
慌てて空をみるけどなにもなかった。
アカネ 「さすがに、もう大丈夫だよね?」
キノセが走りながらやってくる。
キノセ 「あら?アカネさんおはようございます」
アカネ 「あ、キノセさん。おはよう、ランニング?」
キノセ 「ええ、なんだか、今日はいつもよりがんばれる気がしまして」
アカネ 「へえ、そうなんだ。なにかいいことでもあったの?」
キノセ 「なんだか、変な夢をみた気がして」
アカネ 「それって、どんな夢?」
キノセ 「それが、なぜだか思い出せないんですの」
アカネ 「そーなんだ」
キノセ 「まあ、とにかく目が覚めたら夢のアイドルになる為にいつも以上にかんばれる気がしたんですの」
アカネ 「うん、きっとキノセさんならなれるよ!がんばって!」
キノセ 「ありがとうございます。それじゃあ、ワタクシはこれで……」
レイタ 「やあ、二人ともおはよう」
アカネ 「あ、おはよう、レイタ。昨日はありがとね」
レイタ 「昨日?なんのことだい?」
アカネ 「あ、なんでもないよ!気にしないで!」
レイタ 「キミはたまに変なことをいうね。まあ、いいさ。僕は、今から図書館に勉強をしに行くところさ。キノセ、キミは相変わらずカラダを鍛えているのかい?頭の方の鍛錬は不足しているんじゃないかい?」
キノセ 「………」
レイタ 「おや?」
キノセ 「……なんでしょう…こんなムカつくことを言われているのに今日は怒る気になれないというか」
レイタ 「?」
キノセ 「むしろなんというか例えていうなら恥ずかしいところを見られてしまったような?そして、なんだか危ないところを助けてくれて感謝しないといけないような?そんな不思議な気持ちですわね…なぜかしら?ヘンね………」
レイタ 「お、おい、どうしたんだいキノセ?風邪でもあるんじゃないのかい!?」
キノセ 「まあ、いいわ。ワタクシはそんなことに腹を立てている暇なんてありませんわ。ワタクシは将来キラキラと光る大舞台でみんなを笑顔にさせる為にもっとがんばらないといけないんですもの」
レイタ 「ちょ!?キノセ!?待ちたまえ!今日のキミは本当におかしいぞ!」
走り去って行くキノセをレイタは追いかける。
アカネ 「がんばってねー!」
マル 「おはようございます」
タケル 「おはよう~」
トウマ 「おはよう」
アカネ 「あ、三人ともおはよう、あれ?今日はトウマくんとタケルとも遊ぶの?」
タケル 「ぼくは待ち合わせだよ」
トウマ 「ぼくは新しい趣味でもはじめてみようとこれからサイクリングに行くつもりだよ」
タケル 「トウマ、また新しい趣味はじめたの?」
マル 「趣味が沢山あることはいいことです。でも、もう何人も増えたいなんて考えないでくださいよ?」
タケル 「ちょ!?マルちゃん!?」
トウマ 「実は昨日までそんなこと思っていたけど不思議と今日はそんなこと思わないかな」
アカネ 「え?そうなの?」
トウマ 「ぼくは一人しかいないし、それに、その沢山の趣味を追いかけてその中のひとつの『夢』を見つけるのも悪くないかなと思ってね」
マル 「いいこといった!成長しましたね!トウマくん!」
トウマ 「え!?どういう意味!?」
マル 「いえいえ、お気になさらずこちらの話です」
トウマ 「すごい気になる言い方だね!?………まあ、とにかくぼくはこれで」
トウマその場から立ち去る。
ハヤシ 「よーし!みんな次の大会は絶対に優勝するぞ!!」
部員 「おお!!!」
マル 「あれは、先輩達の練習ですね。物凄い気合が入ってますね」
女性1 「きゃー先輩ー!がんばってー!」
女性2 「全国制覇いけるわー」
女性3 「すごいわ!消える魔球よー!」
男性 「あのキャッチャーいい音鳴らしやがる」
マル 「先輩も『夢』に向かってがんばっているんですね」
野球部の練習場を過ぎる。
クウタ 「おまたせ!ごめん!またせちゃったね。タケルくん」
クウタとミズキがやってくる。
タケル 「全然大丈夫だよ~」
アカネ 「おはよう、クウタ」
クウタ 「おはよう、いろのさん、まるうちさん」
ミズキ 「…おはよう(空を見つめる)」
アカネ 「どうしたの?空になにかあるの?」
ミズキ 「…なんか、楽しい『夢』をみた気がして」
アカネ 「そうなんだ」
タケル 「じゃあ、ぼくらはこれで失礼するね~マルちゃん昨日はありがとうね~」
マル 「ええ」
タケルとミズキ去って行くがクウタは首を傾げてその場にとどまる。
アカネ 「どうしたの?クウタ」
クウタ 「あ、えっと、なんというかなぜだかわからないけどいろのさんにお礼をいわないといけない気がして」
アカネ 「え?わたしに?」
クウタ 「でも、なんでなのか思い出せないんだよね…」
マル 「………」
アカネ 「そうなんだ、でも、わたしもクウタにお礼がいいたいんだ。『ありがとう』」
クウタ 「え?」
マル 「思い出せなくても気持ちが伝わればいいと思いますよ」
クウタ 「………そうだね、うん!こちらこそ『ありがとう』!」
アカリに気持ちを伝えたクウタはその場を去る。
その後、クウタと入れ替わる形でアオイとマコトが入ってくる。
アカネ 「アオイさん、マコトさん」
マコト 「遠目から夢箱の影響を受けた奴らの様子をみていたがタケル以外はやはり『忘れている』みたいだな」
アオイ 「これで心配する必要はないみたいだね」
マコト 「だが、当事者にしてみれば残念だったな」
アカネ 「え?なんで?」
マコト 「せっかく『夢が叶った』のに『全て幻』だったからな」
アカネ 「んー?そうかな?」
マコト 「?」
アカネ 「今回みんなの夢をみたでしょ?それをみて夢っていきなり叶えちゃうものじゃないのかもと思って…」
マコト 「は?どういう意味だ?」
アカネ 「夢にむかって努力するみんなはすごくてステキで『夢』は『見続けるモノ』でもあるのかなと思って」
マコト 「はあ?わけのわからんことをいうな、夢は、すぐ叶ってしまうことに越したことはないだろう?」
アカネ 「えっと、そうかもしれないけど…」
アオイ 「わたしはアカネの気持ちはわかるな。夢を叶ってしまったみんなよりさっきみた『夢に向かう』みんなの方が素敵にみえたってことでしょ?」
マル 「ええ、夢を追いかける内に自分もどんどん成長していく、『夢』ってそういうものかもしれませんね」
アカネ 「そう!それっ!二人ともありがとー!」
暗転、アカネ以外掃ける。
アカネ 「わたしの夢は『すてきな大人』になること!でも、昨日まで思い描いていたものとは変わっているかもしれない。だけど、トモダチと助け合ってもっともっと成長していく、それが、わたしの夢見る『夢』、『夢の中のメッセージ』だよ!」
おしまい
【台本】夢の中のメッセージ たぬきち @tanukitikaramemo
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