霊能者最強決定戦!?

呂布

第1話 霊能者最強決定戦のお誘い?

僕、佐藤健一は東京の大学に引っ越してきて1年近く経った。東北の田舎から来て、地味で俗に言う陰キャと言った感じだろう。


今は春休み中であと2ヶ月余りで2年生になるのだが、勉強と言うよりバイト、バイトの毎日だ。遊びや趣味と言うより、生活するので精一杯だ…


今は深夜2時を回る時間だが、バイト帰りで家までの道を歩いて帰っている。

普通に歩くと30分近くかかるが、「近道」を通ると10分は短縮出来る。

近道と言うのは大きな「公園」を通るのだが、途中は舗装されていない林の道を抜けなければならない。


しかし世間的には林の道と言うより「公園」がネックとなっている。

ネックの原因はいわゆる「出る」からだ。

何でも十数年前に、殺人事件が起きたらしい。その後から幽霊が出ると、関東近郊で有名な心霊スポットになったらしい…


しかし僕は一切怖くない!生まれて19年間、幽霊や霊現象を見た事も感じた事もない。

肝試しと言うものも行った事があるが、周りがビビったりしていても、何が怖いのか理解が出来ない。霊なんて所詮は幻覚、幻聴の類いだと思っている。


この公園も何度も通っているが、逆にひとけがないのが良いとさえ思う。たまにいるヤンキーやパリピっぽいの方がよっぽど怖い。よく言われている「幽霊より生きてる人間が怖い」


林の道を抜けて公園の真ん中くらいのところに、大きめの池があるのだが。その付近まで来て、とぼとぼ歩いていると人影が見えた。

「うわっ!人がいる」と嫌な気持ちになった。


そして、いつもと様子が違う事に気づく。肝試しで見かけるのは、複数の若い男女が定番なのだが。明らかに1人で突っ立っていた。尚且つ、池の方を向いて黄昏ている雰囲気だった。嫌な予感がした…


家まであと10分くらいで、引き返すとかなり時間のロスだ。やり過ごそうと思い、早歩きでスピードを上げた。

池の周りには灯が微かにあり、その人に10mの距離に近づくと異様な格好に気づいた。スーツを着ているのだが、丈が長いロングスーツ?のような服装でハットを被っているようだ。


こんな深夜に何故そんな格好!?と思いつつ10mくらいの距離を保ち、通り過ぎようたした時に、向こうから近づいてきた。

今まで何もなかったが、嫌な予感は的中した

「変質者だ!!」

だから生きてる人間の方が怖い…


変質者はおもむろに話かけてきた。

「ほぉー…凄いな君」

凄い?!何が?怖いんですけどー!

と心の中で叫んだが、いざそう言う場面になると言葉が出てこない。


近くで見るとかなり長身で、180cm後半くらいあり、60代くらいのおじいちゃんと呼べる年代に見えた。スーツにハットで丸メガネをかけている英国紳士風?執事風?な格好だった。続けてこう言ってきた。

「君は明日から2日間空いてる?良いバイトがあるんだけど」


うわー!宗教勧誘的な感じか、もしくは変態タイプ!!?

と心で叫びつつ、何とか出てきた言葉は

「いえ、間に合っています」

と変な誤解を生みそうだが、無理やりスルーして通ろうとすると、僕の前に立ちはだかったて、手をロングスーツの内ポケットに入れた。


うわっー!危ないものを出してくる!!と流石にダッシュしようと思ったら!

英国紳士風ジジイは紙束のような物を出して

「2日間で100万の報酬を払うよ。」


「ふぁっ?」と思わず声に出してしまった。普通は怪しくて逃げる場面だろうが、立ち止まってしまった。


僕はお金がない…家は片親で裕福とは言えず、仕送りもなく奨学金で大学に通っている。

今まで高時給なバイトを選び、今日も朝から夜のダブルワーク。雑誌の後ろ側に載っているような、怪しい新薬の治験バイトもやった事がある。


10秒くらい無言の時間が流れて、僕が切り出したのは「何をやるんですか?」

怖さもあるが、何かチャンスのような気さえしてしまった。


英国ジジイが口に出したワードは予想外過ぎた「霊能者最強決定戦のサポートを頼みたいんだよ」


この時はこれからの2日間で、僕の人生変える出来事になるとは思いもしなかった。

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