モモと私。
こぼねサワー
第1話(完結)
モモとは、私がまだ幼かったころに初めて出会った。
モモは、生まれてすぐに
そのせいか、とてもさびしがり屋だった。
おりしも当時、私も母を亡くしたばかりで寂しい思いをしていたから、モモの孤独に深く共鳴した。
モモは、出会ってすぐに私に打ちとけ、やがて一緒に暮らすようになった。
モモは毎日、朝になるとフラッとウチを出かけて、夕方になると帰ってくる。
どこで遊んでくるのやら。
夜になれば、いつも私の隣にピッタリ寄り添って、体を横向きに丸めて眠る。
私は、そんなモモがいとおしくて、何度も何度もホオズリをしてやる。
おだやかで、楽しい日々。
楽しすぎて、ときどき、ふっと怖くなってしまう。
モモと2人きりの幸せなくらしが、いつか急に、誰かに奪われてしまうのではないか……と。
そんな私の不安を見透かしたかのように、モモは、
「あたしがオヨメに行くときは、
絶対にアンタも一緒。
一生ずっと一緒。約束だよ」
そう笑いながら、私をヒザに乗せて、白く長い指で優しく背中をなでてくれるのだ。
私は、多幸感に満たされながら、ゴロゴロとノドを鳴らす。
そして、
――もしもモモを泣かせたりしたら、オマエのメダマを引っかいてやるからな!
……近い将来きっと現れるであろうモモの未来の恋人に、そう心の中で警告しながら、
「ミャーオ」
とノンキに鳴いてみせるのだった。
おわり
モモと私。 こぼねサワー @kobone_sonar
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
契約不履行/こぼねサワー
★15 エッセイ・ノンフィクション 完結済 1話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます