モモと私。

こぼねサワー

第1話(完結)

 モモとは、私がまだ幼かったころに初めて出会った。


 モモは、生まれてすぐに路傍ろぼうに捨てられ、ずっと里親に育てられてきたんだそうだ。

 そのせいか、とてもさびしがり屋だった。


 おりしも当時、私も母を亡くしたばかりで寂しい思いをしていたから、モモの孤独に深く共鳴した。


 モモは、出会ってすぐに私に打ちとけ、やがて一緒に暮らすようになった。


 モモは毎日、朝になるとフラッとウチを出かけて、夕方になると帰ってくる。

 どこで遊んでくるのやら。


 夜になれば、いつも私の隣にピッタリ寄り添って、体を横向きに丸めて眠る。

 私は、そんなモモがいとおしくて、何度も何度もホオズリをしてやる。

 おだやかで、楽しい日々。


 楽しすぎて、ときどき、ふっと怖くなってしまう。

 モモと2人きりの幸せなくらしが、いつか急に、誰かに奪われてしまうのではないか……と。



 そんな私の不安を見透かしたかのように、モモは、


 「あたしがオヨメに行くときは、

  絶対にアンタも一緒。

  一生ずっと一緒。約束だよ」


 そう笑いながら、私をヒザに乗せて、白く長い指で優しく背中をなでてくれるのだ。



 私は、多幸感に満たされながら、ゴロゴロとノドを鳴らす。

 そして、

 ――もしもモモを泣かせたりしたら、オマエのメダマを引っかいてやるからな!

 ……近い将来きっと現れるであろうモモの未来の恋人に、そう心の中で警告しながら、

「ミャーオ」

 とノンキに鳴いてみせるのだった。





 おわり

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モモと私。 こぼねサワー @kobone_sonar

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