殺し映え
静寂に支配された空間。
そこには死体処理されたはずの遺体を含め十五体以上の亡骸。不可解なのはそれだけではなく、記念写真のように丁寧に並べ、椅子に座らせ、ひび割れた画面のスマホとカメラが設置。それと彼らが所持していたと思われる武器も同様死体や椅子に立て掛けられていた。
『投稿者:不明』
題名:【殺し映え】
アプリに投稿されていた最後の写真が現像され、床にヒラリと一枚。よく見ると写真の中にいる
とても小さな字で――。
『親愛なる殺し仲間へ 悪友より』と。
※
あれから数ヶ月。
存在すら薄れていたが再び動き始める。
【裏サイト:自殺・殺意勧誘サイトにて】
此処は自殺や殺して欲しいと願う者の集い。そして、ひっそりと殺害後の映えのない写真を見せ合っていた。
S:
『ねぇ、ただの映える写真じゃ面白くないから【殺し】でやるのはどう?』
退屈か。
サイトの経営者である“S”が話を切り出す。
noname:
『いいね!! それやろう』
S:
『あれ、抵抗ないね。もしかして知ってた?』
noname:
『それ、好きだったんですよ。グロいの好きでカッコ良くて前アプリで投票してました』
S:
『へぇー 』
noname:
『確か全員殺されたって話ですよね? 皆、個性的な作品で』
S:
『いた』
noname:
『?』
S:
『人探ししててさ。やっと見つけた。
noname:
『へ?』
S:
『元アプリ関係者探すのが大変で解析するのに時間掛かっちゃってって君には関係ないか。悪いけど画面閉じて此方向いて』
真昼の人気少ないとある駅ホーム。そこに一人立つ不登校こ私服姿の高校生。その肩をトントンッと優しく叩く黒いスーツ姿の男。高校生が恐る恐る振り返るや「殺しに来たよ。――さん」と邪悪な笑みを浮かべ、ホームに電車が到着すると同時に線路へ突き落とした。
電車に轢かれ腕が飛び散り、首が捻れ、四肢が飛び散る。返り血を浴びた“S”は電車とホームの隙間から毒々しく流れる血と此方を見つめる目に目を向け、静かにスマホで写真を撮る。
「あらら、またですか。
先頭車両から降りてきた運転手。困ったにしては愉しげな声で帽子のつばを摘み、顔を見せないよう下げる。
「此処近辺の監視カメラはハッキング済みなのでご安心を。まさかまさか貴方からサポートするよう声かけられるとは思いませんでしたー」
語尾を伸ばす独特な喋り方の中声。運転手はアハハッと笑い歯を見せ笑う。それに“S”は焦るようにスマホを見つめ次の
「無駄話しは良いから片付けて。俺は関係者を消すので忙しいから」
「そうですね……。では、処理しますのでしばしお待ちを」
運転手がその場を離れるや“S”はクスッと笑う。
「よし、また一人引っ掛かった。えっとこの人は……」
【殺し映え】は終わっても彼の“殺し”は終わらない。
【完】
殺し映え 無名乃(活動停止) @yagen-h
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