黄金龍ギーツヴァルク


事の顛末だけを伝えるとしよう

過激派グループを丸ごと始末したボクは

その後長に会って全てを報告、既にリリィから

話を通して貰っていたので事はスムーズに運び

たっぷりと報酬を貰って帰還、今はその帰路だ。


「いや、良い収穫を得られた」


ボクが貰ったのは重力の影響を受けない

木と鉱石、そして黒狼族の皮や骨、牙に爪と爪

ようは丸々全てを加工し、山のように背負って

空中を光のような速度で飛んでいる最中だった。


もちろん地上への警戒、及び監視は怠らない

ここではいつ何が起きても不思議じゃないからね

なにか異変があれば即座に感知する必要が……


——おや


「言ってる傍から異変発生だ」


超高速飛行を、翼を大きく広げる事で急停止

体に圧力を受けながら速度を全てゼロにする

止まった理由は、目と耳が異変を察知したからだ

常に広大な範囲に意識を広げているボクにとって


たとえ飛んでいても、他の事を考えていても

少しでも普段と違う状況が起きてなどいれば

即座に反応できるのは、至極当たり前の事だった。


聞こえてきたのは足音

非常にペースの早い、駈けるような足音

そしてその気配に続いて別の、もっと大きな

沢山のが追いかけている様な音


息遣いからは恐怖と不安、そして焦りと後悔

それを追う方からは、単なる食欲と殺意が

血の匂いがする、恐らく怪我をしているのだ。


この走り方は二足歩行生物のそれだ

伝わってくる感情から読み取れるのは知性

身長、体重、息遣いから対象が子供だと断定

そしてボクは、この子供の事を知っている。


両者ともに凄まじい速度で走っているが

追う側の方が僅かに早い、このままではマズイ

子供が捕まるまでは1分半が限界だ!


探知、考察、判断、実行までは一瞬だった

手に入れた素材をその場、つまり空中に固定し

ボク自身は遥か地上へ向けて、直落下を始めた


降り注ぐ雷鳴の如き煌めき

黒狼族相手に見せたそれよりも、遥かに早く

そして気配のない飛行、見る者によってはまるで

瞬間移動をしたんじゃないかと思うほどの速度。


落下開始から、地上へ到達するまでは1秒も掛からず

追われている子供と、追っ手の間に飛び込み

ボクの動体視力は2者の正体を正確に捉えた

時間感覚が引き伸ばされ、視界がゆっくりになる。


追われているのは竜人族の長の子供

追っているのは触れた相手の血液を爆裂させる獣

その数およそ5体、やや人型に近いそいつらは

目の前に現れたボクを、まだ認識していない。


視覚情報が信号となって脳へと伝わり

介入者として判断する為の速度より早かった

故に、その獣共はボクの行動を止められない。


直落下、真っ直ぐ真下に向いたエネルギー

翼の角度の変化と、計算された

先程と同じく、力の向かう方向を強制的に変える。


真横に、奴らの方に。


恐るべき能力を持った人型の獣、しかし

ボクの体に血液は存在しないので無意味だ

吸血種の体内に流れている赤い物質はあくまで

血ではなく、免疫物質に過ぎないのだから。


1体目の首を、すれ違いざまに爪で切断

本人はまだ切られた事にすら気付いていない

2体目も同じ様に始末し3体目、ここでようやく

獣共はボクの存在を認識した、だがそれだけだ。


敵の存在!を意識出来たその時には既に

ボクの五指が、奴の頭部を握り砕いていたから

4体目は攻撃を振るってきた、獰猛な牙の一撃


ボクは奴の、大口を開けて覗いた牙を素手で掴んで

片腕1本の力だけで、斜め下の地面に叩き付けた

割れる地面、巻き上がる土埃、全身の骨が粉砕され

四肢がおかしな向きに折れ曲がっていく。


5体目はボクに拳を振り上げ放ってきた

さすがの反応速度、今の世界に相応しい怪物

肉体性能も頭の性能も良い、まさしく強敵である。


……無論


ボク以外にとっては、だが。


ボクはその場で回った、体を横向きに1回転

すると、背中に生やした羽も釣られて動いた

翼は変幻自在に動かす事が出来る設計をしている。


上下斜め前後に至るまで、あらゆる空中起動に備え

そして、どのような無茶な飛行を行ったとしても

決して壊れ無いように、28重構造を取っている。


故に!翼はそのまま、風をも切る鋭利な刃物

頑丈で壊れにくい血の剣にもなりうるのだっ!


回転、のちにブォン……と風が巻き起こり

鼻先に掠める新たな血の匂い、真後ろを向く体

背後には3つに分断されて絶命する化け物の姿。


竜人族の子供がボクの方を見ている

ボクは彼の元へと飛来し、その体を抱えて

今度は上空、翼を大きく動かして空へ離脱。


顔にかかる風圧と耳に鳴る轟音

飛び上がること焼く0.2秒、ボクが飛ぶのを止め

停止した頃には、そこは既に大空の最中あった。


そして、抱き抱えた子供に向かって

ボクはこの様に話しかけるのだった。


「久しぶりだねジッタ、ところで風の剣はどうした

あんな奴らに殺られる様なキミでは無いだろう?」


ジッタと語り掛けられた少年は

ボクの顔を見上げて、この様に答えた。


「——ジェイミー姉ぇ!ありがとう助かった!

ちょっとポカやっちゃって死にかけてたんだ

本当にありがとう!2ヶ月ぶりかな?とにかく


また命を助けられちゃった、お礼するよ

風の剣の事情も話すからさ、複雑なんだ」


パァっと顔を輝かせる彼は、こちらに

深い親愛の念を向けており、2人の関係が

非常に良好なモノである事を示していた。


この世界においてボクは

そこそこ交流を広げているのだった……。


✱✱✱✱ ✱✱✱✱ ✱✱✱✱ ✱✱✱✱ ✱✱✱✱ ✱✱✱✱


竜人族


彼らは非常に屈強な体を持ち、優れた頭脳

更には`風の剣`と呼ばれる特殊な力を持っている。


文字通り風を操る力だ、彼らは風……いいや

もはや風と呼ぶことすらおこがましいほどの

強力なエネルギーを、常に身に纏わせられる。


半径2メートル以内に近付くだけで

吹き荒れる暴力的な力により生き物は死ぬ

全身が細切れに切り刻まれて即死するのだ。


長射程、広範囲を攻撃できる剣としても使えて

数多く居る亜人種の中でもトップクラスの存在

まともに正面からやり合っても勝ち目は無く

`手を出すなかれ`とされる強力な種族だった。


「——それが、ついうっかり間違えて

五感を入れ替える噛み付き虫に噛まれちゃって

風の剣を使えなくなってしまったんだ」


「ああ、それで走り方も変だったのか

上から見てキミだとは分かっていたけど

あんな連中に追い付かれる様なキミではない

何事かと思っていたが、そうかそれで」


五感を入れ替える噛み付き虫とは

牙に猛毒がある無色透明の生き物で、噛まれると

目で音が聞こえる様になったり、耳で視界が

肌で匂い、鼻で食感が味わえる様になったりする。


つまりは五感のシャッフル、時間経過によって

解除されるとの研究結果は出ているものの

この世界において、行動不能は命取りだ。


ボクには効かないが、その他の生物達には別だ

故に幾ら強力な存在でも、どんな力を持ってても

そんな状態に陥れば怪我もするし、死にもする。


そんな滅茶苦茶な感覚状態で

まともに動くことが出来るはずもなく

影響を受けるのは特殊能力であっても例外は無く


彼らは五感とそう呼んでいるが、生態知識のある

ボクに言わせれば五感と言うよりは、器官や神経

それらもランダムで入れ替えられるので


扱える特殊能力があればあるほど

複雑かつ難解に絡み合う結果となり

彼からすれば、どうすれば風の剣を使えるか

どこに集中すれば良いかすらも分からないのだ。


厄介、悪辣、醜悪

生き物を殺す事に特化した生物、自らの手でなく

環境や、他の生き物を利用して殺す最悪な存在。


ある意味では、今のこの環境において

最も適応していると言えるかもしれない

それが、無色透明の五感を入れ替える噛み付き虫

ジッタが死にかけていた理由はそれか。


「それにしては早く走れていたね

感覚を掴んだのか、優秀だなお前は」


「誰しも存在を知ってる虫だからね

わざと噛まれるっていう訓練があるんだ

一族の中でね、いざって時に対応出来る様に」


「効果時間は決まっているとはいえ

後遺症があるかも知れないのに?

随分と思い切った訓練だねぇ」


「少しでも生存率をあげよう

という長の苦肉の策なんだよ

今のところ後遺症は残ったことが無い」


多分一定時間で分解される仕様なんだろう

効果自体が強力すぎる故の副作用なのか

そうしないと自身に影響が出るからなのか

あるいは、無駄なエネルギーを使わない様に

自然に制限を掛けているからなのか。


後々研究する必要がある

毒を抽出して武器にする案もある

他にも色々と活用方法がありそうだ。


「群れまで運んでやろう、丁度用事もある」


「ああ、氷の大地のトンネルの件だね!?

みんな張りきってるよ、何せ快挙だもんね

僕たちって燃費すっごく悪いからねぇ……」


彼ら竜人は非常に強力な生き物だが

何事もそうそう、都合良くは行かないもので

彼らは特殊な食事を必要としている。


見た目としては鉱物の様にも見えるが

その実、微生物の塊である事が分かっている

大変希少な物質であるが故、個数が不足する。


その名も竜石

安直な命名だが分かりやすさはある。


竜人自体の数が多い上、1度の補給量が多く

付近の竜石はここ数千年で取り尽くしてしまい

まもなく底を突くという状況だった。


そこへ、氷の大地を超えた向こう側に

竜石が大量に存在する事をボクが見付けた

リリィはそれを利用、トンネルの案を思い付き

ささやかな報酬と絶大な信頼を得ようと画策した。


それが彼女言うところの地底トンネル

氷の大地を丸々横断する為の安全な経路

その提供及び、途中にある物資の完全譲渡

お互いに利益のある美味しい交渉であった。


要はトンネル兼、地下資源採掘場

彼らはそんな資源必要とはしないので

丸ごと全部譲ってくれるんだそう。


「後は坑道を照らす明かりの確保だけだ

それは今、友達に頼んであるから恐らく

そう遠くないうちにトンネルは完成するよ」


「そうなれば僕達はしばらく安泰だ!」


「埋蔵量的に、向こう3000年はやっていける

これは調査し計算した事だ、情報は確実だよ」


するとジッタは、やや俯いて


「……資源は限りあるから、きっといつかは

完全に立ち行かなくなるんだろうけど……でも

だからって一族の明日を諦める訳にはいかない


何だって、いつかは滅ぶんだから

そんな事気にしたって意味ないよね

滅ばないのはジェイミー達吸血種ぐらいさ」


と、少し悲しそうな顔で言った

この子は賢い、長期的な視点を持っている

それでいて絶望を跳ね除ける精神力がある


長のひとり息子として、次期族長として

いまから必要な物がある程度備わっている

長は、そんなジッタをよく自慢していたな。


だがねジッタ

キミはひとつ間違えているよ。


「ボクらだってやがては滅ぶさ

無論、その時はこさせないがね」


「あはは、どっちなんだろ」


「同じだよ」


「……え?」


「万物は滅ばずには居られない、抗えない

けれど意思ある者の勤めとして、それを

滅びを受け入れて隷属してはならないのさ


だから事実はどうであれ

その`いつか`は、来させないと言ったんだ

キミの、そしてキミの一族がやってる事と同じだよ」


彼はボクの言葉を受けて

ほんの僅かに頬を緩めて


「そっか……同じなんだね……」


と、小さな声で言い

それ以降は喋らなくなった。


ボクは飛行速度を上げて

彼の一族の群れへと急ぐのだった。


✱✱✱✱ ✱✱✱✱ ✱✱✱✱ ✱✱✱✱ ✱✱✱✱ ✱✱✱✱


「——本当に恩に着ます」


そう言って頭を下げるのは


義理人情に厚く、体格は小さいが実力は随一

並外れた風の力を操り、頭は柔軟で懐は広い

目の前にいる男は竜人族の長、アリティカ


ジッタの父親である。


「丁度タイミングが良かった

ボクが居なければ彼は死んでいただろう」


「そんなに酷かったんですか」


「絡まれた相手が悪かった

血液を爆裂させる獣だよ」


「……どうりで、怪我が酷いと」


責任を感じている顔をする彼は生真面目だ

たとえ自分が悪いのでは無いとしても、気に病み

抱え込むタチなので、精神性は少しだけ脆い。


当のジッタは今、治療を受けており

あの分だと問題なく回復出来るだろう。


「これで2度目、貴方にあの子を

助けて頂くのは2度目になりますが

確かあの時も`報酬はツケに`と仰いましたね

しかし、今回はそうも行かせませんよ?」


「無償の働きも、やり過ぎると怖いものだ

当然、今回は謝礼をたっぷり頂こうか」


「もちろん……いつも良くして頂いてますから

そろそろ、流石に忍びないと感じていた頃でした」


彼は待ってましたと言わんばかりに

まるで煙のように姿をフッと消した

それはもちろん、ただの比喩表現であり

実際は単なる身体能力、早いだけだった。


ボクはしっかりと目で追えていた

少々独特な身体の使い方をしているが

一族最強の戦士の動きを、ボクは捉えられる。


いつか手合わせをしたいものだ

謝礼はそれを要求しようと思っていたのだが

既に用意されていた様なので、仕方がない。


彼の者の風の剣を是非味わいたい

願わくばその力を、再現してみたい

ボクにはそんな野望があった。


ちなみに言うと、彼らの言う剣とは

武器としての意味だけでなく、力そのものを指し

それは意志の力であり、心や肉体の強さを表す。


風を操る能力、ボクの持つ血の力と同じだ

体の内側から発露する、1種の免疫の様な物

吸血種とは在り方が違うが、決して別種の

無関係なものだとはボクにはどうも思えない。


まだまだ穴のある仮説だが

実際にその力を全身で受けることで

本当に風そのものを操っているのか

それとも別の何かなのかを確かめたい。


お手合わせ願いたいとは

つまりはそういう事だったが

それは、またの機会にしよう。


「お待たせ致しました、こちら——」


✱✱✱✱ ✱✱✱✱ ✱✱✱✱ ✱✱✱✱ ✱✱✱✱ ✱✱✱✱


など、紆余曲折あり。


竜人族の彼らからたっぷりと褒美を頂き

当初の倍以上に膨れ上がった荷物を抱えて

ボクは自分の洞穴へと戻ってきた。


「ただいま、セントラ」


テーブルの上の花に挨拶をしておく

部屋の中には誰もおらず、リリィはどうやら

黒狼族の長に言伝をして、仕事に戻ったらしい


彼女は基本仕事をサボることはしないので

本当に必要最低限しか休息を取らない。


オマケに今は吸血種になったので

無尽蔵の体力がある、つまりは止まらない


ボクに会いに来たのはジーンに渡すための

捕獲装置を取りに来る為であり、宣戦布告の件を

報告する為であったようだ。


「とりあえず荷物用の部屋だ」


最近になって2階を作っていた

2階と言うよりたんなる倉庫、物置だが

あらゆる素材がそこに収納されている。


自分で気を切って作った階段を登り

バカでかいサイズの倉庫が姿を表す

ボクはそこに、区分けしつつ貰った素材を詰め

手をパンパン!と叩いて下に降りていった。


「さて、何をしようか」


最近の口癖となりつつあるこのセリフ

やることが無い、という意味ではない

むしろ多すぎて何から手をつけようか?

そういう迷いからくる発言だった。


なにせ現状、優先すべき目標がない

どれも別に急がない趣味でしかないが故に

選択に困るという贅沢な悩み。


昔は暇していたボクが

やる事に囲まれて悩む日が来ようとは。


とりあえず機械弄りをするか

あるいは調味料の仕込みを済ませるかな

刻むと甘く、すり潰すと辛くなる葉っぱとか

噛むと味が変わり続ける木の枝などなど


色んな料理に使えそうな変わった素材が

この家には山のように存在している。


1個1個を数千数万を超える方法を試し

効果があった物を記載して派生させる

という非常に根気と時間を要する作業だ。


あとは、かつて人間が残した転移術式

あれの研究および解析も着手していきたい。


と、その時


——バフ


部屋の外から様な音がした

そしてその音は、確実に知っている物だった。


ボクはすぐに洞穴の外に身を乗り出し

そこに来ているであろう来訪者に向けて


「もしや、また何か用かな?龍くん」


と、語りかけるのだった。


✱✱✱✱ ✱✱✱✱ ✱✱✱✱ ✱✱✱✱ ✱✱✱✱ ✱✱✱✱


洞穴の周りを旋回するように飛んでいたのは

この前の絶滅戦線の時、火を食らう怪鳥の生息する

巣へ案内をしてくれた黄金の鱗を持つ龍種だった。


彼はボクが身を乗り出した事に気付くと

旋回行動を止めて方向転換、ゆっくりと

こちらに近付いてきて目の前で静止した。


「ついにヤキ焼きが回ってきたかな?」


などと軽いユーモアを飛ばしながら

黄金龍の瞳をじっと見つめ返す、どうやら彼は

言葉の意味を掴みきれずに困惑している様だった。


「それで、お呼び出しかな?それとも

キミ個人的な興味、あるいは用事かな?」


龍の目は`特に用も言い付けも無い`と言っている

やはりある程度の意思疎通は出来るみたいだな

言葉を喋らない分、目に色々出ている。


ふむ、言いつけでないとすると

やはり個人的な意図がありそうだが

今は監視する意味も特に無いはずだし

警戒の線も、この龍に限ってはない。


と、いうことは


「もしかして見回りをしてくれてたのかい?

周囲の警戒、異常が無いかどうか?などの」


`勝手に読むな`という目をしている

なるほど、彼個人のちょっとした気遣いか

どうやらボクを気に入ってくれたらしい。


ポケットの中から食べ物を取り出し

龍に向けて放り投げてやってみた

すると、やや驚いた顔をしながらも

彼は大口を開けてそれを食べた。


「うまいか」


`突然変なものを投げるな`、などと言いつつ

もぐもぐ、もぐもぐと口を動かす黄金龍

意外と素直で可愛いやつなのかもしれない。


と、ひとつ思いついた。


「背中に載せていただいても宜しいかな?」


`自分で飛べるだろう`という目だが

こういうのはロマンと呼ぶのだよ

飛べるから、なんて何の理由にもならない。


ボクは構わず洞穴から飛び出し

黄金龍の背中に飛び乗った……というより

座標を合わせ受け止めてくれた、と言うべきだ。


「黄金龍ギーツヴァルク、キミの名前だ

拒否権は無い、勝手にそう呼ぶ」


黄金龍ギーツヴァルク、そう呼ばれた彼の龍は

案外満更でもなさそうに翼を羽ばたかせた

懐いてくれると良いんだがね。


「少しだけ、その辺を飛ばないか

龍の背中というものに興味がある」


ボクの言葉に従ってか否か

黄金龍ギーツヴァルクは空中を飛び出し

遥か大空へと飛び立った、ボクを載せて。


リリィがジーンの成果を持ち帰るまで

しばし、こうして遊んでいるとしよう。


「かなり早く飛べるねぇ」


`あんた程じゃない`


対話は進む

その日はそれで終了した。



──────────────────


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