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「江場中出身の河西陽莉です…!えーと、趣味は読書(ただし漫画とラノベに限る)と、音楽鑑賞(ただしアニソンに限る)です!よ…よろしくお願い…します!」

 よし、これで無難に済ませたはずだ。

 そして、明日からの部活紹介や第1回目の授業についての話が終わり、あっという間に入学2日目の放課後。

 ただ、僕にはもうひとつ済ませなければならないことがある。…昨日あの女子生徒が言ってた教室に行って、とりあえず話しだけ聞いて、断ろう!

 階段を登り、空き教室を開け…ようにも…緊張するなぁ…まずはドアをノックして…返事が聞こえない…。でも、昨日は巻き添えを食らったから、僕も遠慮なく…。緊張するけど、ドアを開け…

「やっほ!」

「うわあああ!!!」

「そんな、びっくりしないでよ!ちゃんと来てくれたんだねっ!」

「いや!びっくりしない方が無理があるって!」

「まぁまぁ、とりあえずこの教室に入ろうよっ!」

 わかったよ!入ればいいんでしょ!何を言われようが、僕は適当にでっち上げてでも、すぐ帰るからな!

「さっき、自己紹介で音楽鑑賞が趣味って言ってたよね?」

 ただしアニソンに限る。無難に済ませようとしていたけど、深掘りされてしまってはまずい。ついさっきの自分を後悔する。

「ってことは、部活も始まってないのに軽音楽部に入りたいってことだよね!」

「いや!!!なんでそうなるかな!!!」

「まぁまぁ、これを見てよ!」

 教室には、なんかよくわからないけど、デカいスピーカー…あ、これ、今流行ってる『ぼっち・の・めたる!』で見たやつだ…からと言って、軽音楽部に入るつもりはないはないけど…。

 これは、でっち上げではなく、素直な疑問を投げかける。

「ところで、軽音楽部って先輩はいないのかな?」

「いないよっ!わたしと河西くんと2人だけだよっ!」

 それは好都合だ。

「それじゃ、部活として成り立たないんじゃない…?僕も入れないはずだけど…。」

「そんなの気にすることじゃないよっ!という訳で、ここで私の初ライブ!そして、河西くんは記念すべき観客1人目!」

 それは訳が分からない。

「とりあえず、河西くんはそこの椅子に座って!」

 言われるがままに渋々と椅子に座る。その眼前にいるのは、部屋に放置されているアコースティックギターを手に取って、机の上にドヤ顔で立っている東雲さんだ。

「それじゃ!東雲麻衣、初のステージです!聴いてください!…うわぁ!」

「危ない!」

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