わからない僕

 翌日、教室に着いたけど、特にやることがなかったから周りを見渡す。

 クラスメイトは昨日と同じく同じ中学だった人達同時で話している。

 そして、件の女子生徒は…やはり昨日と同じく教室、はたまた廊下にある掲示物などを、キラキラした眼差しで見て回っていた。

 そのまま視線を窓の外に向ける。そして、ぼんやりと昨日の出来事を思い出す。なんとか無難にやり過ごす方法はないのかな。

 そんなことをぼんやり考えていたら、担任の先生が教室のドアを開ける音が聞こえた。

「このクラスの担任になった◯◯だ。数学I・Aの授業も担当する。ちなみに趣味は情報工学や医学の論文を読むことだ。授業は君たちが分かりやすいよう展開していくよう努めるし、質問があったら遠慮なく訊いて欲しい。」

 すごいインテリな趣味だなぁ。

「はーい先生!早速質問いいですか!?」

「もちろん。私が答えられる範囲であれば答えるぞ。」

「先生が論文を読むのが趣味になった切っ掛けは何ですか!?」

「それは…。」

 気になって当然だ。だって…。

「この時代、情報工学や医学は凄まじい勢いで発展している。そういった現代の科学は非常に興味深いもので、私の好奇心を刺激させられてばかりだ。まるで、私の中にある謎めいた好奇心が義務感を覚えるとさえ感じる程のものだ。特に、AIの発展を医学に如何に活かすかということに私は強い興味を持っている。そして、それらを理解するには数学の知識は必要不可欠だ。私が数学教師になったのは、君たち若い人達にも現代科学に興味を持って欲しいからだ。もちろん無理にとは言わんが、一人でも興味を持ってくれたら嬉しい。」

 周りのクラスメイト達も一部を除いて目を丸くしている。

「…少し語りすぎてしまったな。長話になって申し訳ない。」

「いえいえ、早速先生のことを知れて嬉しかったです!ありがとうございます!」

 僕も嬉しかった。僕にはわかる。この先生にはオタク気質がある。きっと、こちら側の人間だ。

 それより気になったのは…質問したのが件の女子生徒であることだ。彼女は嬉しそうな、そしてどこか安心したような表情を浮かべている。

「これ以上、私が長話をしても退屈だろう。それでは、次は君たちに自己紹介をしてもらおう。」

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