イレイサー：spin-off version：プロデューサーの苦悩

第27話

「なんなんだよ、こりゃあ」

「なんだ？　だめ？」

「ダメに決まってんだろ、トーコに見せたら凍らされちゃうよ」

「そうだよなあ、見せられないよなあ。な、ハルキ。そう言えばあの鎧な、あれ、アンドウちゃんが直してくれたんだけどさ。なんか、大変みたいなんだよ」

「ん？　大変　何が？」

「それがさあ、あの鎧、お前が壊したやつ」

「なんだよ、うるせえなあ。あの時も言ったろ、仕方なかったんだよ、ありゃあ」

「ああ、まあそうなんだけどな。あれ、やっぱりカタデリーのやつらが細工してたみたいなんだよ」

「なんだと？！」

「ああ、そうなんだよ。でな、アンドウが言うにはおそらく奴らは物に＜憑き者＞を宿らせる力があるんじゃないかって言うんだよ」

「ツノダさん、そりゃあ」

「ああ。これまで以上に憑き者落としが厄介になるだろうし、遺物と奴らとの関りも考えていかなきゃいけないだろうな」

「ああ。しかしどうやって遺物に憑き者を、って考えても仕方ねえか。ま、とりあえず俺たちがやる事は変わらねえ。消さなきゃいけねえもんは消すだけだ」

「ああ、ま、そうなんだけどな。いいな、お前は」

「ん？　なにがすか？」

「考えが単純でさ」

「あんたに言われたくねえよ」

「ばっか、お前、俺がどれだけお前たちの事を考えて動いてるのか、って、お前らには伝わらないよなあ」

「まあまあ、ツノダさん。そんなこと言ってもハルキさんに伝わるわけないじゃないっすか。オレはちゃんとわかってるっすよ、ツノダさんがどれだけオレたちの事を考えてくれてるか」

「どうしちゃったの？　ニッタ、お前、なんかすごいな。ちょっと成長したんじゃない？」

「そうっすか？　オレはいつも感謝してるんすよ、ツノダさん」

「お、おう。ドンとこい！　いつでもやってやるぞ、鍋パーティ！」

「なんでお前らちょっと熱血青春しちゃってんの？　ツノダさん、そろそろ来ると思うよ」

「ん？　なにが？」

　そこに一枚の書類が技術部から届く。

「おい、お前ら。なんだこれ？　なんだこれは！　なんでこんな請求額が来てんの？　なにこれ？　え？　いつの？　え？　鎧の修復費用？」

「な、言ったろ」

「いや、お前、これ、年間予算じゃん。無理だよ、これ。どうすんの？　な、ハルキ、ハルキ、ハルキ～！」

　プロデューサー、ツノダの苦悩は続く。

　※イレイサー：File05～07_帝都の聖蹟：指令があれば「憑きモノ」を「ないモノ」に消します。

　https://kakuyomu.jp/works/16817330651284346461

　KAC20233の投稿は2023/03/10お昼12時台にしたいと思ってます！

　期間中、変則的な更新になります。

　よろしくお願いします。

　本作次回更新は賢いヒロイン終了後となります。

　しばらくのお別れとなりますが、再開後、またよろしくね！！