File09_バインランドの悲しき仮面

第28話

 皆様、どうもお久しぶりです。やはりイレイサーたちをまとめられるのは私しかいないと自負してはや数年、ここのところ自信をなくしております、プロデューサーのツノダです。


 今回、私はある重要な任務を例の二人に任せました。


 あ、まあ重要じゃない事なんてないんですけれどもね。聞いてもらえます?


 ほら、いつだったか私が見ちゃいけない、あの、ほら、あれ、国家情報保安局のファイルを覗いちゃって連れて行かれちゃった時にね。

 迎えに来てくれたヨシダ局長がボロっと話しちゃったんですよ。


 あ、ヨシダ局長といえば奥さんが、ほら、例の、あの島の、チョコレート渡されて、私がひどい目にあったやつですよ。その奥さんなんですけどね、ついに実家に帰ったんだそうなんですよ。


 どうせまたヨシダ局長がやらかして怒らせてって話なんですけどもね、まああれですね。うちのように仲睦まじくってのがどうも難しいみたいですね。うちなんてもうほんと仲が良くって。娘はかわいいし。聞きます? この話。


 って話がそれてしまいました。どうも話がそれていけません。そのヨシダ局長からの話なんですけどね。


 どこから聞きつけたのか、旧王国領バインランドで大量の魔獣の骨が発見されたっていうんですよ。


 もうニニラカン大陸にあるメジャーな遺跡やなんかはあらかた掘りつくされていましてね。

 新しく魔獣の骨が大量に発見されるなんてことはなかなかないわけですよ。


 あ、発掘といえば、それ専門の業者もいて、エクスカベーターって言うんですけどもね。またこのエクスカベーターってのが厄介な奴らでね。中には悪徳業者もいるらしいんですよ。まあ国家情報保安局やうちなんかとの取引に悪徳業者なんて入ったらそれこそイレイスされますけどね、って、そういえばこないだ国家情報保安局も発掘業者をモルぺス販売発掘事務に変更したとか聞きましたがなにかあったのでしょうか。知りません。


 あ、また話がそれてしまいました。


 そう。大量の魔獣の骨が出たってことはですよ。その中に魔石、さらには聖石に繋がる手がかりが見つかるかもしれないわけですよ。


 そこで私は例の二人にイレイスではなく、魔獣の骨と魔石についての調査を依頼しました。


 できれば他のイレイサーに頼みたかったんですよ。あいつらときたら壊すは消すは問題を大きくするわで、ほんとろくなことにならないのです。

 しかし悲しいかなどこも人手が足りません。一組は手に蜘蛛の紋章のある連中アブソスを追い、一組はペイドルの町の地下遺跡に潜って調査を行ってましてね。しかたなかったんですよ。


 しっかし、それがまさかあんな悲しい出来事につながるなんてこの時は思っても見ませんでした。

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