黒いローブの男

第22話

 ついに、ついに現在最大の謎、黒いローブの男についてを報告したいと思います。


 どうも、ここの所、本当についていないプロデューサーのツノダです。


 それが今朝もなんですけどね、家を出ようとしたら娘が私を呼ぶわけですよ。


 パパ行かないで、ってそんなこと言われたら仕事になんか行ってられないじゃないですか。ですからね、ヨシダさんに連絡したんですよ。


 そしたら烈火のごとく怒られましてね。


 あの人ほんとわかってないんですよ、プロデューサーの仕事ってやつを。


 ああ、いけない、のっけから愚痴ってしまいました。


 以前お話したペイドルの遺体消失と領主代行の異変なんですけどね、やっぱりファンドリールが噛んでたみたいで、まあこれが私の力と言いますか、先見の明と言いますか、例のイレイサーがファンドリールを追いかけていましてね。


 その過程で出てきたのが黒いローブの男なんです。


 この黒いローブの男、オルサスと名乗ってるらしいんですが、こいつ、実はあの事件、動くミイラ事件の時に行方不明になってた学芸員のハイアットだったって言うんですから驚きました。


 しっかしそんなことあります?


 あれ? ちょっとおかしくないですか?


 確かあの動くミイラ、例のイレイサーからはガセだったって報告を受けてるんですよ。


 この件についてはいずれ例のイレイサーを問い詰めてやるつもりです。


 あ、話がそれました。


 まあそのハイアットが、まあ姿は黒いローブでほっそい青白い身体だったらしいですけど、まあそいつが、オルサスと名乗ってたわけですよ。


 オルサスっていえばあの博物館のミイラなんですよ。


 あのミイラ、カタデリー信仰の神官オルサス・ゲーリングの成れの果てって言われてましてね。


 問題はここなんですよ。


 例のイレイサーとも話しましたが、現在ここニニラカン大陸ではオルドゥアズ教が唯一教なんです。


 カタデリー信仰は邪教とされ、大昔には二大宗教だった時代もあるみたいなんですが、現在では教会と国家情報保安局の監視どころか駆逐対象になってましてね。


 我々イレイサーのイレイス対象になる遺物の中にも奴らが狙ってるものが多くてどうしても敵対しちゃってるわけです。


 ですので、表立って自分はカタデリー信仰だって言える人なんていないわけですよ。


 んで、そのオルサスはカタデリー信仰の神官で、紫の聖石を杖に埋め込み、空間魔法を操るってやつなんですよ。



 何が問題かわからないですよね。


 ええ、大丈夫です。


 私もです。




 ※イレイサー:File05~07_帝都の聖蹟:指令があれば「憑きモノ」を「ないモノ」に消します。

 https://kakuyomu.jp/works/16817330651284346461




 次回更新

 2023/02/28 02:00

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