第18話

「これ、だんだん日記みたいになってねえか? 大丈夫なの?」


「なんだよ?! どこがだよ。きっとあれだな、お前は報告書のなんたるかが分かってないんだな」


「いやなんたるは分かんねえけど、これがだめじゃねえかってのは分かるぞ」


「ほんとなあ。まあいいんだよ、どうせ俺の上はヨシダさんしかいないんだから」


「そういうもんなんすか? ま、いいけど」


「あ、そうだ。おいニッタァ。お前こないだの清算、スーツ代は経費じゃないから出ないよ」


「えー?! なんでっすかあ?! せっかく新調したスーツ、ハルキさんに投げ飛ばされてボロボロなんすよ?!」


「それはハルキに請求しろよ。ダメ、認められない」


「ハルキさーん! もう仕方ないっすから、ハルキさん出してくださいよお」


「なんで俺がお前のスーツ代出さなきゃいけねんだよ、おかしいだろ?」


「だっていっつもハルキさんに騙されてひどい目にあってるんすよ?」


「人聞きの悪いこと言いうなよ、俺がいつお前を騙したんだよ」


「こないだのミヤモトミヤ先生が来てくれた時もひどかったっすよ、ねえ、ツノダさん」


「ほんとだよ、お前、自覚がないんだろうけどほんと女性の扱い方知らないよなあ」


「なんだとっ!? 俺がどれだけモテてるか知らねえだろ」


「ああ、花街のはモテてるって言わないんだぞ。お前もう少し考えて行動しろよ」


「あんたにだけは言われたくねえよ。ファンドリールにほいほい行ってホイホイされた奴になんかな!」


「なっ?! あれはお前、行くだろ? 呼ばれたんだから」


「それこそ美人だったから、とかって理由だろ、どうせ。あ、そうだ、いい機会だから言っとくけどな、おっさんが見つめながら何回も名前を叫びながら呼ぶのやめてもらえる?」


「く~!! お前は、いや、お前らは分かってない! ほんと、俺がどれだけ大変な思いをしてるのかぜんっぜんわかってない! もういい! 帰る!」


「あーあ、ツノダさん、怒っちゃったっすよ。どうすんすか、ハルキさん!」


「知らねえよ、ほっとけ!」


「ほんと二人とも仲がいいっすよねえ」


「「なんでだよ?!」」


「ほら、そういうとこっすよ。あ、ツノダさん、そう言えばさっきアンドウさんが呼んでたっすよ」


「え? アンドウが? ニッタ、なんでそれ早く言わないの?」


「ああ、忘れてたっす!」


「あ、そう。ハルキ、ハルキ、ハルキ~!」


「なんなんすか! さっき言ったばっかりだろ?! 見つめながら何べんも呼ぶなっ!」


「いや、あれだ、こないだの結果、来てるから。あーそうだ、ファンドリールの件も書かないとだなあ」


 そう言ってアンドウの研究室に向かった。



※イレイサー:File05~07_帝都の聖蹟:指令があれば「憑きモノ」を「ないモノ」に消します。

https://kakuyomu.jp/works/16817330651284346461




 次回更新

 2023/02/24 02:00

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