第5話 照れてる先生も可愛いですね
寧々が服を買い、俺の服も買ったところで1時間が経過し、乃々華との集合場所に向かう。
寧々が抱きついたままで。
「ちょっと!寧々!近すぎです!」
俺たちの状態を見た乃々華が鬼の形相で近づいてくる。
「そんなことないよ!恋人同士はこれくらいの距離感だよ!」
「だから先生の彼女は私です!なので、離れてください!」
乃々華が無理やり俺から寧々を引き剥がす。
ふぅ、ようやく離れてくれた。俺が無理やり剥がすわけにもいかなかったからな。
「ぶーぶー!もう少しくらいいいじゃん!乃々華はまだお兄ちゃんとお揃いの服に着替えてないし!」
「寧々が抱きついてたら先生が着替えられないです!」
「そ、そうだった」
寧々が納得して引き下がる。
「じゃあ、私は着替えてきますので、先生も着替えてください」
「あぁ、わかった」
乃々華が着替えに行くところを確認して、俺も着替えることのできる場所に向かった。
着替え終え、俺は乃々華と合流する。
寧々はその辺りをぶらぶらするとのこと。
「その……なかなか恥ずかしいですね」
「そ、そうだな」
俺たちは真ん中にロゴマークが入ったパーカーを着ており、色は俺が黒で乃々華が白となっている。
恥ずかしいため、慣れるまで少し時間を置き…
「今日はこのまま漫画を描くための画材を買いに行きます。私もいくつか欲しいものがあるので」
「そうだな。俺も欲しいものがあるから、そこにしようか」
「はい。では、さっそく……」
そこまで言って、乃々華が俺の腕に抱きつく。
「!?」
「ね、寧々が抱きついてたので、私も抱きつかないと、その……負けた気がします」
「そ、そんなこと気にしなくても良いが……」
「な、なので、このままショッピングデートです!」
俺は乃々華につられて歩き出す。
寧々とはこの体勢で歩いて乃々華とは歩かないってのはダメな気がするから、我慢するかぁ。それにしても、やっぱり寧々の方が圧倒的大きい……。
「先生。どことは言いませんが、比べたらどうなるか分かりますよね?」
「う、うす。もちろんだ」
俺は乃々華の感触を味合わないように注意しつつ、画材店を目指した。
画材店に到着する。
俺は乃々華に抱きつかれたまま、店頭に並んであるGペンと丸ペンを見ていると…
「先生は何故、パソコンを使って描かないのですか?」
乃々華が聞いてくる。
「そうだな。上手く描けないってところが1番の理由だ。やっぱり、小さい頃から描き慣れたペンと紙の方が描きやすいんだ」
「なるほどです。じゃあ、私もこれからずっと紙とペンを使って先生の側で描き続けます」
「え、俺の側にずっといなくても……」
「いえ、先生から学ばせていただくことはたくさんあります。それに、私は先生のことが大好きなので」
「お、おう…俺も、アシスタントとして乃々華が近くにいてくれると助かるよ」
「い、今のは私の告白に了承しつつ、愛のプロポーズを……」
「違うわ!アシスタントとしてって言ったよね!?」
「あ、先生!あそこに新作のペンが販売されてるようですよ!」
「話を逸らすな!」
しかし、乃々華がこれ以上、俺の言葉を聞く様子がないので、この辺りで終了することとなった。
その後もいろいろと見て周った後、小腹が空いたため、近くの喫茶店に入る。
席に案内されて、俺たちは各々デザートを注文する。
しばらく待つと、俺の“抹茶パフェ”と乃々華の“フルーツパフェ”が届く。
「「いただきます」」
そう言ってお互いにパフェを食べる。
「うん!おいしい!」
「はい!すごくおいしいです!」
乃々華が幸せそうな顔で食べている。
乃々華の幸せそうな顔を見て、癒されていると…
「先生。私のパフェを一口あげますので、先生の抹茶パフェを一口いただいてもよろしいでしょうか?」
上目遣いで聞かれる。
「いいよ、俺も乃々華のパフェが気になってたんだ」
俺は了承し、抹茶パフェを乃々華の手元に持っていこうとすると…
「あー!」
なぜか口を開けて待機する乃々華。
(えーっと……これは食べさせろってこと?いや、さすがに恥ずかしいんだが……)
そんなことを思うが、一向に口を閉じようとしないので、俺は観念して…
「あ、あーん」
乃々華の口元へスプーンを持っていく。
「あーん!」
“パクッ”っと一口食べて…
「とても美味しいです!」
ご満悦の顔をする。
「そうか。それはよかったよ」
「はい!先生からいただいたので10割増で美味しいです!」
「そんな効果は俺にない」
そんなやり取りをしていると…
「先生、抹茶パフェのお礼です!」
そう言って、今度は俺の口元へスプーンを持ってくる。
「じ、自分で食べれる……」
と、説明しようとするが…
「あーんしてください!」
またしても引く気がない。
そのため…
「あ、あーん」
顔を少し赤くしながら“パクッ”と一口もらう。
「おいしいですか?」
「あ、あぁ、おいしいよ」
正直、恥ずかしくて、どんな味がしたか、わからなかったが……。
そんなことを思っていると…
「私たち、本物の恋人って周りからは思われてますね」
「そ、そうだな。ペアルックだし」
「ふふっ、そうですね」
クスクスと乃々華が笑う。
「先生」
「ん?」
「大好きです」
「っ!」
満面の笑みに加え、ストレートに好意を伝えられて顔を赤くする。
「照れてる先生も可愛いですね」
「やめてくれ……」
未だにクスクスと笑っている乃々華に俺はそう言った。
*****
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漫画家の俺、アシスタントである美少女2人から告白される〜断ったはずなのに翌日から2人が俺の彼女を自称してて、仕事場が修羅場と化す。どうやら俺は断り方を間違えたようだ〜 昼寝部 @hirunebu
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