第8話

その8 『博士の課題』


約10日間の試運転を終え、佐藤博士はその結果を振り返った。

「 私は大好きな昆虫の気持ちを知りたいと願い、この装置を開発した。

今回の試運転では、昆虫たちが自分の思っていた以上にはるかに様々なことを感じとり、考えていることがわかった。私はその度に心を動かされた。

自分は虫たちに、昆虫カウンセラーなどと言われ、時々いい気になっていたが、残念ながら彼らにとってあまり満足のいくカウンセラーはできなかっただろう。

それでも、確かにこの装置は人間にとっては驚きや感動を与えてくれるものに違いない。しかし、もしかしたら面白半分に利用され、昆虫たちに辛い思いをさせたりすることはないだろうか。そんなことになったら彼らに申し訳ない。

私は人間だけではなく、昆虫にとっても有意義なこの装置の利用の仕方を提案しなければならない。

しかし、今はまだ考えが見つからない。もうしばらく昆虫たちとの対話を続けることにしよう。」


どうやら博士の試運転はまだまだ続くようだ。

いつの日かこの装置が私たちの元に届いたら、どんな話が聞けるのだろう。楽しみだ。

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昆虫カウンセラー @ohanashiarekore

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