第52話ダンジョン七日目7

 金属同しがぶつかり合い。甲高い金属音が隧道ずいどうに響きわたる。

 刹那の鍔迫り合いの間に互いの顔を睨み合うと、少し距離を取り互いに剣戟けんげきを幾度も放つ。

 

 数度……否、数十回互いに剣を打ち込むと疲労のためか、様子を伺うためか長い鍔迫り合いに持ち込まれた。

 ショートソードがよほど業物なのか、《魔法》が付与された刀に刃が食い込む。



「――――ッ!」



 100万オーバーの現代刀も今回で寿命が尽きそうだ。

何とか堪えてくれ!! と祈り願いながら変身前に放ったショートパンチの要領で、体重を乗せた前蹴りフロントキックをお見舞いする。



「グヴォッ!?」



 予想外の《魔法》が付与された前蹴りフロントキックによって、与えられた衝撃と呪いカースの痛みに身悶える。

 隙を逃すまいと、前に倒れようとするベクトルを利用して相手の腹を足の一本を斬り落とす。



「――――ッ!?」



 ぼとりと、水分を含んだ肉塊が落ちる音がする前に、次の手に移る。



「『南無八幡大菩薩なむはちまんだいぼさつ』」



 左下段に構えるような姿勢になる。

 左逆手で短剣を鞘から払い横なぎに払う。

 腹部の中央付近でピタリと短剣を止めると、刀と右手を上手く使い短剣の柄と柄に引っ掛け


 グチュリ! と言うやけに水っぽい音を立てて金色に輝く刃が挿入されて行く……

 皮鎧のようにしなやかで強靭な皮膚と筋繊維を断ち、臓物を刻み、抉り、かき混ぜるようにグリグリと刃を動かし呪いカースで確実にダメージを与える。



「――――ン゛ッ!!」



 【形容し難きモノ】は苦悶の表情を浮かべ原因を取り除こうと、爬虫類を想起させる足をバタバタと動かす。

 腹を捌くように一閃し一度距離を取る。

 その距離凡そ5メートル。



「結構戦えるじゃねーかよ……」



 肩で息をしながらポツりと呟いた。

 手汗で滑りそうな二振りの柄をぎゅっと握りしめ、地面を蹴り再び接近する。

 切腹のように裂かれた腹に手を当て、大量の血が流れ己が命が短い事を悟った【形容し難きモノ】は覚悟を決めたように、ショートソードと小丸盾バックラーを構え邂逅する。


 振りかぶった刀とショートソードがぶつかり合うと、刀は砕けた。



「え――――?」



 破砕された刀が細かい破片となって、キラキラと輝きながら視界内で飛散していく……

 何十、何百と言うモンスターを素人が斬りって居たのだ。いつダメになるのかは時間の問題だった……それが今と言うのはと言うしかない。


 その様子を見て、【形容し難きモノ】の醜い顔が歪んだ。

 わらっているのだ。

 それは勝利を確信し気の抜けた笑いだった。


 だが俺は諦めない。


――――動け、動け! 動け!! 今ならまだギリギリ勝機はあるっ!!


 覚悟を決め半歩踏み込めば届く距離を一歩踏み込んで、僅かに残った刀身で受け流パリィつばを使って相手のショートソードを絡めとる。


今だ!!


 勢いを利用してショートソードを弾き飛ばすと、大きく振り上げ無防備になった右半身に身を捩り、小丸盾バックラーと距離を取りながらあらゆる生物の弱点である首を狙うため、飛躍しショートソードの閃をひらめかせた。


ザン!


 金色に輝いたショートソードの横なぎにより、【形容し難きモノ】の首は一刀の元に切り伏せる。


 ぼとり、と言う水っぽい音を立て生首が落ちる。


 二度殺したのだ。もう甦って来ることはないだろう……だが念のため回復薬ポーションを飲みながら暫く警戒する。


 3分経っただろうか?


 死んだと言わんばかりに微動だにしないので、本当に死んだんだと要約脳が理解できた。

 魔石を剥ぎ取り、武器を奪って何時もと違って最短コースを走って行く……

 ゲートを超え先にシャワーを浴びると、体が熱い事に気が付いた。暖かいハズのシャワーが生暖かく感じるのだ。



「不味いかな……」



 シャワーから上がって服を着替え、買い取り待ちをしている間に体が少しづつ怠くなってきた。長時間の死闘による疲れからだろう……


 整理券を受け取ると、直ぐにランプが点灯し機械音声で自分の番号が呼ばれる。



「お待たせ致しました。拾得物をこちらにお願いします」



 受付の人がそう言うと、カウンターの下の部分が空き取得品が吸い込まれていく。



「ライセンスと振込先の銀行カードをお願いします」



 俺はカードを提出する。



「確認いたします。今日は数は少ないんですね……」


 

 少し心配そうな表情と声音で、雑談と言った雰囲気で話しかけて来てくれた。



「強敵が居まして……」


「命あっての物種ですから、パーティーを組むとか安全マージンは十分確保してくださいよ?」


「あははは……切実に欲しくなりました。パーティーメンバー」


「前回も言ったけどJSUSAジェイスーサでは、パーティー募集のサービスも行っていますのでご利用ください。

 それと前回も前々回も申し上げた通り、申し訳ありませんが、マジックアイテムやそれに類似する品の買取査定には、確認作業に少々時間がかかります。今この場で査定額を算出する事が出来ないので、お預かりしさせて頂き、後日査定額を通知するという流れに、なりますがご了承ください」


「分かりました」


「お金は銀行口座への振り込みですね。武器が未定ですので、1,2週間で査定が完了しますのでその時にお支払いいたします」


「お預かり証明書にサインお願いします」



 証書にサインをする。慣れたもんだ。



「こちらがお控えとなっています、なくさないようにお願いします。本日は御利用ありがとうございました」


「ありがとうございます」



 時計を見ると約束の時間を30分オーバーしていた。



============


【あとがき】


 まずは読んでくださり誠にありがとうございます!


★付きレビューコメントを頂けると、更新を加速するかもしれません。

レビュー文章が合計10個になりましたら翌日あたりに+1話更新をお約束します!



 皆様の応援のおかげで1万PVを安定して超えれるようになりました。PCも一週間ほどで届き設定をしながら、辞書に単語を覚えさせながら書いているので、ストックは94話までと飛んで10話ほどありますが筆が快調ではありません。

 ウインドウズ11のライセンスが認証されていないとBTOで買ったのに表示されるので一度メーカーにだすかもしれません。その時は申し訳ありませんがストックなどの都合上投稿頻度を下げるかもしれません。(修理に出しました4月18日)

 作者はストックがある程度ないと続きが書けなくなるため



 あとセリフと地の文の改行を1行にするかに行にするかでも悩んでいます。ご意見有ればお気軽にお申し付けください。


 誤字脱字も多い事と思いますが、「コレ違うんじゃね?」と思ったりこっちの表現の方が良いと思う、などありましたらお気軽にコメントを下さい。更新中の作品のコメントは全て目を通しており返信もしておりますので、こういうストーリーがいいなどお気軽にお申し付け下さい。


読者の皆様に、大切なお願いがあります。

少しでも


「面白そう!」


「続きがきになる!」


「主人公・作者がんばってるな」


そう思っていただけましたら、

と嬉しいです!

つまらなけば星一つ★、面白ければ星三つ★★★

読者の皆様が正直に、思った評価で結構です!


最新話か今表示している左上の✖ボタンを押していただきの広告バナー下までスクロールして頂くとそこから★とレビューを入れられます!


またコメントを入れて頂けるともっと嬉しいです。

作者のモチベーションが上がって最高の応援となります!

どうぞ、よしくお願い致します。m(__)m



作者の旧作もお勧めです。順番は新しい順です


ハイファン「魔剣士学院の悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めました。美味いメシと刀を作って自由気ままに暮らしたい。邪魔する奴は刀でぶった斬る」

https://kakuyomu.jp/works/16817330649742962025/episodes/16817330649866158494


ハイファン「フリーター転生。貴族に転生したけど、父は長男だが冒険者をしていたので継承権が低い件。俺は精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で、剣と魔法を極め公爵へと成り上がる」

https://kakuyomu.jp/works/16817330647772947762/episodes/16817330647877332453


ハイファン「公爵家から追放されたハーフエルフの俺は、序盤のイベントで勇者を庇って死ぬモブに転生したので、死亡フラグを回避する為に槍と魔術で最強になりました。俺はハーレム王になって新天地で領主として楽しく暮らしたい」

https://kakuyomu.jp/works/16817139557348161268/episodes/16817139557348902055

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