魔剣士学院の悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めました。美味いメシと刀を作って自由気ままに暮らしたい。邪魔する奴は刀でぶった斬る
🔥SOU🍨🔥12月06日より新作投稿開🐳
第一部刀に寄り添う魔術師
悪役公子のとある一日 1-11
第1話悪役転生者は絡まれる
【前書き】
世界観は中世ヨーロッパで、向こうの風習に合わせ秋ごろの入学となっています。
――――――――――――――――
これは龍を斬ったと言う逸話を持つ初代様の遺言らしい。
現代日本からの転生者の俺としては大変疑わしい。
簡単に言えば、自ら剣を打ち、剣を研ぎ、剣を振るう……そう言う一人で戦える剣士に成れという事だ。
初めてそれを聞いた時はカッコいいと思った。現在15歳の俺だが5年ほど鍛冶師の元で修行して気が付いた……分業した方が絶対に効率がいいと思う。
こうして俺は一族が求める独立独行を辞め、剣を振る事を大切にした。
こうして俺は一族の中では変わり者扱いされる存在になった。
まぁ育ててくれた事には感謝はしているけど……
そして我が武の名門クローリー家は、圧倒的に個人技を重視する事から、武門の貴族の間からもそこそこ嫌われている。
貴族と才ある(貴族とコネか金のある)平民が通う事の出来る通称【王立学院】に通っているのだが、上三人の兄上達の剣士としての無双っぷりのせいで、俺は完全に
一体全体。俺が何をやったと言うのだろうか? まだ入学して2か月しかたっていないと言うのに……
現に今、俺は学校の通路で喧嘩を吹っ掛けられている……
「テメェ! お高く留まってんじゃねぇぞ!」
そう吠えたのは、魔法と剣術を組み合わせて戦う【魔剣士】を育成する魔剣士科の生徒だった。
「俺は俺のやる事をやっているだけだ。正直に言って周りにどう思われようとどうでもいい」
俺は衆人環視の中で我がクローリー家で、自分に求められる自分を演じながら
心の中では名門クローリー家の人間として演技するのが面倒だから、ほっといて欲しいと思っている。
「ちょっ待てよ!」
ブン!
肩越しに見えたのは、鈍い銀色の刀身だった。
それは
「――――ッ! 何のつもりだ?」
俺はクローリー家の
「俺と勝負しろ! 真面に授業に出てこないお前が学年最強? 笑わせるんじゃねぇ! クローリー家の出来損ないがぁ!!」
振り返るとそこに居たのは、「言ってやったぜ!」と言った様子ではしゃぐモブ。
ブチン! その言葉で俺の中のナニカが切れた。
「……つまり決闘という事か、場所はどこでする?」
決闘とは、この国やこの学校で揉め事が起こった際に用いられる自力救済の手段の一つであり、学内では医療設備などに優れた修練所を用いる事が多い。
もしこの
「今からだ!」
だが俺は焦らない。
風系統防御魔法の
カン!
「なッ!」
モブAは驚きの形相を浮かべつつも、後方へ飛び一度距離を取り迎撃の構えを取った。
(剣の腕は並み以下だが、精神力と直感に優れているのか……しかし、今の俺の相手ではないな)
「これで分かっただろう? 単純な魔術の展開速度が俺とお前では文字通り次元が違う。貴様の児戯にも等しい剣術では、俺の防御を破る事は出来ない」
これで諦めてくれれば楽なんだけどなぁ……
「腐ってもクローリー家の血統かッ!」
モブは
やはり素直に諦めてくれる訳にはいかないようだ。
(仕方ない。こちらも剣を抜くか……)
白塗り鞘には桜の花弁の意匠が施されており、日本を想起させる美しい
俺は鞘の上部に左手を乗せ鯉口を切り、鞘と腰を引き反りの入った曲刀を素早く抜刀する。
それは美しく、見事な波打つような波紋の入った見事な曲刀……即ち刀。
その中でも太刀と呼ばれるモノだった。
「異国の武器を使いやがってッ! 貴様には我が偉大な祖国への誇りはないのかッ!」
――――と、声を荒げ興奮して
祖国の
それでいいじゃないか……
「ハっ! 祖国の
俺は脚を前後させながら、逆ハの字に開き攻撃の体制を整える。
自ら
そうする事で、上段からの素早い
「さっきは魔術で格の違いを見せてやった。今度は剣技で見せてやる。その
俺は忠告をしてからより一層刀の柄を強く握り、強化した右脚で地面を蹴り、飛び出すようにして斬りかかる。
剣での防御が間に合う前に、刀の
「きゃぁぁぁああああああああああああああああ」
俺は
(良かった刀は無事だな……)
モブAに斬りかかる寸前。刃を寝かせ、金属の棒として殴りつけたのだ。
「殴った感触だと、
ケガをさせるつもりはなかったので譲歩の案を示す。
まぁいくら相手から喧嘩を吹っ掛けられたとは言え、もう少し上手く事を修められる事が出来たかもしれないので、ポケットマネーから治療費ぐらいは払ってもいい。
「誰がお前の金なんかでッ!」
モブAの仲間の一人が声を荒げる。
「そうか……ならチーズ、ヨーグルトなどの乳製品。小魚や大豆、野野菜を食べると回復が早くなる。ソイツのためを思うなら食わせてやれ……」
折角こちらから手を差し伸べてやったのに手を叩かれ、挙句の果てに唾まで吐きかけられたのだ。これ以上こちらから何かをしてやるつもりはない。
俺はモブの集団に背を向けて立ち去ろうとするが……握り拳程の大きさの
俺が得意とする生半可な威力の
しかし染みついたクセで、即座に風精霊の
(はぁ……切り札って訳じゃないけど
「爆ぜろ」
俺は生成した風精霊の
そうすることで一気に貯め込んだ魔力を放出し、集めた空気を爆発させる。
昔、教育番組で見た、爆弾による消火からヒントを得た魔術だ。
ボンと言う音を立てた小規模な爆発によって、火球の炎とその中心点に存在した魔法陣は破壊・消火された。
「なッ!」
魔術を放ったと思われる男子生徒は腰が抜けたようで、情けなく股を開き口をあんぐりと開いて驚いている。
(速度重視の
「もう少し早ければ俺を
まっその時はもっと早くこのカードを切っていただけだが……」
心の声とは別の、芝居がかった口調で言葉を投げかけた。
(おっと少し口調が柔らかくなってしまった。
少し強めに言葉を付け加えよう……)
「まぁせいぜい
こうして俺の演じる。武の名門クローリー家の四男アーノルド・フォン・クローリーの一日は終わるのであった。
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【あとがき】
先ずは読んでいただき、誠にありがとうございます。m(__)m
初めましての方は初めまして、お久しぶりの方はお久しぶりです。作者の
【フリーター転生。貴族に転生したけど、父は長男だが冒険者をしていたので継承権が低い件。俺は精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で、剣と魔法を極め公爵へと成り上がる】
――――でも予告した通り、カクヨムコン8の後半戦に向けて新連載を始めました。
今作も最低1カ月間は毎日投稿を致しますので、応援よろしくお願いいたしますm(__)m
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