英雄の凱旋

領主様がもうすぐ戻られるらしい。


そのニュースは瞬く間にパエルモ中に広がった。


もちろん、

その知らせは満腹亭にも届いていた。


その知らせを届けに来てくれたのはジョシュア様。ザバスさんも一緒だ。


ジョシュア

「アキラ様。

明後日には父上が戻られる予定です。」


「無事に戻られて良かったですね。」


ジョシュア

「父上が無事に戻ってこられるのもアキラ様のおかげと聞いております。

誠に有難うございます。」


深々と頭を下げるジョシュア様。


「そんな、

改まってお礼を言われると照れくさいですよ。」


ジョシュア

「それで、1つ、ご依頼があるのですが。」


「どうしたんですか?」


ジョシュア

「明後日の夜、

アーサー殿下や周辺の領主たちを招待し、無事に帰国したことを祝して、簡単なパーティーを開きたいと考えております。

是非、満腹亭の料理を提供して頂けませんか?」


「大丈夫ですよ。

ただ、うちは今、小さな子どもや妊婦がいるので、夜は動けないメンバーも多いんです。

給仕に関してはお屋敷の方にもお手伝い頂きたいのですが、可能ですか?」


ジョシュア

「使用人たちも父上の戻りを心待ちにしておりました。喜んで手伝ってくれますよ。」


「では、宜しくお願い致します。」


ジョシュア

「有難うございます。

何か必要なものがございましたら、いつでもお申し付けください。」


ジョシュア様はお礼を言って去って行った。




「ペネロペ様はどうされますか?」


ペネロペ

「私がこの街にいることは公には出来ません。今回はお留守番ですわ。」


「わかりました。

じゃあ、

アリエッタさん、ルーシュさん、カミラさん、フィオのメンバーで行きますか。」


アリエッタ

「オッケー。

メニューはどうするの?」


「そうだな~。

久しぶりのパエルモだからね。

パエルモらしいメニューは欲しいよね。

それから、遠征中は食べられなかった食材とかもいいかな。

何にしようかな。」


パエルモと言えば野菜。

特に新鮮な葉物野菜や果物などは遠征中は食べられなかったと思う。


それから、魚。

最近はベルフォームから魚を運ぶことも増えてきている。でも、まだドバン帝国では食べられなかったと思う。


それにパーティーだから豪華な料理も欲しいよね。


バーニャカウダ

キッシュ

白身魚のムニエル

海老フライ

ローストビーフ

ドラゴンシチュー

などなど


リィズとフィオに用意してもらうことになりました。






そして、2日後。

ついに凱旋。

街は大騒ぎ。

戦いから戻った英雄たちを讃えようと、街の人たちが街道に殺到した。


先頭集団で一際目立つのはアーサーさん。

そしてパエルモ伯爵などの貴族が続く。


市民

「さすがは英雄、アーサー殿下。

輝いてるね。」


実際は派手な鎧を装備しているだけだけどね。


市民

「すごい騎士団の人数だな。」


第2騎士団はバレティアで別れたが、それでも多い。



凱旋した一団を出迎えたのはジョシュア様。


ジョシュア

「アーサー殿下。

この度の大勝利、心よりお祝い申し上げます。」


アーサー

「ありがとう。

君の父であるパエルモ卿をはじめ、皆の奮戦があったからこそ掴むことが出来た勝利だ。


そして、ジョシュア君。

君たちが留守をしっかりと守ってくれたから、パエルモ卿は戦うことが出来たのだ。

君も胸を張るといい。

フフ、今回、留守を守ったことで君も一回り成長したようだな。

顔つきが変わっているよ。」


ジョシュア

「お褒めに賜り、光栄です。

ですが、自分の未熟さを痛感しました。

父のもと、自分を鍛えなおそうと考えております。」


アーサー

「良い心掛けだ。

その気持ちを忘れなければ、パエルモ領は安泰だな。」


ジョシュア

「そうなれるように精進致します。

アーサー殿下、そして皆様。

どうぞ屋敷へ。

戦勝を祝い、料理を用意致しました。

楽しんで頂ければと考えております。」


アーサーさん、

遠征に参加した貴族。

留守番役の貴族。

彼らがパエルモ伯爵のお屋敷に集まった。


パエルモを拠点とする騎士団や参加した兵士はここで解散。

周辺の領から集まった兵士たちは、今日は街の外で野営し、明日から各地に戻っていく。

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